男装の麗人・袁今夏(えんきんか)は、淳于家の令嬢・敏児(びんじ)から熱烈な想いを寄せられ、困惑を隠せない。陸繹(りくえき) に促され、ついに自分が女性であることを明かすが、それが敏児の心を深く傷つけ、新たな愛憎劇の幕開けとなってしまう。一方、陸繹は今夏に対して不器用ながらも優しさを見せ始め、二人の関係に微妙な変化が訪れる。その裏では、烏安幇が殺人の濡れ衣を着せられる事件が発生。恋模様と江湖の陰謀が複雑に絡み合い、物語は新たな局面を迎える。
「花様衛士~ロイヤル・ミッション~」あらすじネタバレ32話
乙女心の勘違い!今夏、ついに正体を明かす
前回、淳于家の令嬢・敏児(びんじ)にすっかり気に入られてしまった我らが袁今夏(えんきんか) はとっくに彼女の恋心を見抜いており、「早く女だと白状しろ」と今夏を急かします。しかし当の今夏は「まさか!」と信じないどころか、「陸繹(りくえき) 様こそ、敏児のこと気にしてるんじゃないですか?」なんて、あらぬ方向へ嫉妬の炎を燃やす始末。
そんな中、敏児が夜なべして刺繍したという「並蒂蓮(へいたいれん)の香り袋」を手に、今夏のもとへやって来ます。並蒂蓮は、一つの茎から二つの花が咲く蓮。つまり、夫婦円満や深い愛情を意味する花です。これにはさすがの今夏も「マズい…!」と真っ青。
敏児は「陸繹様のような方には、私なんて釣り合わない。でも、袁公子…あなたのことなら…」と頬を染め、ついには「一緒に駆け落ちしましょう!」とまで言い出す始末。もう後には引けないと覚悟を決めた今夏は、ついに髪をほどき、自分が女であることを明かします。信じていた相手に裏切られたと感じた敏児の純粋な恋心は、怒りと憎しみへ一変。お茶をぶちまけ、化粧道具を叩きつけ、今夏を部屋から追い出してしまいました。
不器用な優しさと、すれ違う想い
部屋を追い出され、呆然とする今夏の前に現れたのは、陸繹でした。彼は黙って今夏の顔についた化粧の粉を拭い、敏児にかけられたお茶で火傷した手に、そっと薬を塗ってくれます。さらに乱れた髪を直そうとする陸繹の不意打ちの優しさに、今夏の心臓はドキドキ。この一部始終を、部屋の陰から敏児が憎しみのこもった目で見つめていたのでした。
その後、七夕の「簪花(しんか)大会」に誘われた今夏。これは独身男女のお見合いパーティーのようなもの。敏児はわざと陸繹の腕に絡みつき、「袁捕快(ほかい)も参加するなんて、はしたない」とチクリ。それに対し陸繹が放った「お前たち二人は、確かに違うな」という一言が、今夏の心を深く傷つけます。
もちろん、陸繹の真意は「お前は敏児のように、根に持ってネチネチと人を攻撃するような女ではない」という褒め言葉。しかし、そんな彼の本心など知る由もない今夏は、すっかりヘソを曲げてしまうのでした。男と女って、どうしてこうもすれ違うんでしょうかねぇ。
恋の嵐の裏で、忍び寄る新たな陰謀
今夏への恋が憎しみに変わった敏児は、彼女への復讐のため、陸繹との縁談を進めることを決意します。女の嫉妬は怖いですね…。
その一方で、江湖では新たな火種が。謝霄(しゃしょう)が倭寇の情報を追っていると、なんと烏安幇(うあんほう)が「親子を殺して荷を奪った」という無実の罪を着せられてしまいます。混乱の中、訴え出た親子は何者かに連れ去られ、その裏では董斉盛(とうせいせい)と、その黒幕である毛大当家(もうだいとうか)が暗躍。どうやら彼らの次の狙いは、今夏のようです。
物語の終盤、今夏は侍女の策略でまんまと酔わされてしまいます。屋根の上で千鳥足になる今夏を、呆れながらも助けに来た陸繹。彼の顔をじっと見つめた酔っぱらいの今夏は、とんでもない秘密を暴露します。
「私、陸繹様に口づけしたことあるんですよ!」
かつて薬を飲ませるためにした、あのキス。酔った勢いでの衝撃告白に、陸繹はどんな顔をしたのでしょうか…!
『花様衛士~ロイヤル・ミッション~』第32話の感想
今回は、登場人物たちの感情が複雑に絡み合い、物語に一層の深みを与えた回でした。純粋な恋心を抱いていた敏児が、真実を知った瞬間に憎悪へと心を支配されていく様子は、見ていて胸が痛みました。しかし、彼女のこの変化が、これまでなかなか進展しなかった陸繹と今夏の距離を縮めるきっかけになっているのが皮肉であり、物語の巧みなところです。
特に印象的だったのは、陸繹の静かな優しさです。言葉少なながらも、火傷した今夏の手当てをする場面は、彼の不器用な愛情が垣間見え、思わず引き込まれました。そして、ラストの今夏の酔った上での「キス告白」。シリアスな展開が続く中、クスッと笑えるこの場面が絶妙な緩衝材となり、物語のバランスを保っています。恋愛模様とサスペンスフルな事件が同時に進行し、それぞれの糸がどう絡み合っていくのか、今後の展開からますます目が離せません。
つづく