弟が殺人の罪を犯したことで、淳于家の娘・敏(びん)は司馬家への望まぬ嫁入りを迫られる。助けを求めてきた敏に対し、陸繹(りくえき) は非情にも思える態度を取るが、その裏にはある思惑があった。一方、杭州を訪れていた上官曦(じょうかんぎ) が何者かに誘拐され、絶体絶命の危機に瀕する。時を同じくして、都では道士の藍青玄(らんせいげん)が、お忍びで訪ねてきた嘉靖(かせい)帝を相手に大胆な賭けを持ちかけていた。それぞれの場所で起こる事件が、やがて大きな渦となっていく。

「花様衛士~ロイヤル・ミッション~」あらすじネタバレ34話

窮地の淳于家:仕組まれた縁談と陸繹(りくえき) の非情な一手

物語は、淳于家の長女・敏(びん)が窮地に立たされるところから始まります。彼女の弟・啓(けい)が妓楼で司馬(しば)家の使用人を殺害するという大事件を起こしてしまったのです。これにより、皇商としての淳于家の立場は大きく揺らぎます。

この機に乗じて司馬家は敏との縁談を強引に進めようとします。絶望した敏は、想いを寄せる陸繹(りくえき) に「妾にしてほしい」と助けを求めますが、陸繹は「力になれない」と冷たく突き放します。その非情な態度に、そばで見ていた袁今夏(えんきんか)も思わず彼を責めてしまうほど。

しかし、陸繹には深い考えがありました。彼は敏に「仮死状態になる薬」を渡し、婚礼のあとに服用するよう指示します。これは、淳于家を守り、司馬家の横暴を逆手に取るための危険な賭け。敏はすべてを捨て、陸繹の策に乗ることを決意するのでした。

崖っぷちの二人:楊岳(ようがく)、生死をかけた逃亡

その頃、杭州ではもっと直接的な暴力が吹き荒れていました。なんと、上官曦(じょうかんぎ) の手下である董斉盛(とうせいせい)に誘拐されてしまったのです!

この暴挙は、厳世蕃(げんせいはん)の指示に背いた董斉盛の独断でした。知らせを受けた翟蘭葉(てきらんよう)は、二人を救おうとしますが、董斉盛に「どちらか一人しか助けさせない」という非情な選択を迫られます。苦悩の末、翟蘭葉は楊岳を解放。

意識を取り戻した楊岳は、翟蘭葉が密かに渡した小刀で脱出していた上官曦と合流します。しかし、喜びも束の間、すぐに追っ手に追いつかれ、二人は崖っぷちまで追い詰められてしまいます。楊岳は愛する上官曦を守るため、董斉盛と壮絶な格闘の末、共に崖の下へと転落していきました…。

皇帝の試練:藍青玄(らんせいげん)、命がけの予言

一方、京の都では、嘉靖(かせい)帝が不老長寿の丹薬に不満を抱き、噂の道士・藍青玄(らんせいげん)の元をお忍びで訪れていました。藍青玄は、相手が皇帝であることを見抜きながらも、一切臆することなく堂々と渡り合います。

そして、「10日以内に東南で暴乱が起きる」と大胆な予言をし、皇帝が身につけていた玉牌を賭けの対象にするのです。これは、自らの才覚と度胸を皇帝に示し、信頼を勝ち取るための、まさに命がけの賭けでした。

『花様衛士~ロイヤル・ミッション~』第34話の感想

今回のエピソードは、登場人物それぞれが背負うものの重さと、彼らが下す決断の過酷さが胸に迫る回でした。特に印象的だったのは、陸繹の非情に見える優しさです。敏を冷たく突き放しながらも、裏では彼女が生き延びるための唯一の道を準備する。その策はあまりにも危険で、彼女に大きな犠牲を強いるものですが、そこに彼の深い思慮と覚悟が感じられました。また、愛する人を守るために身を投げ出した楊岳の姿には、彼の誠実さと愛情の深さが表れており、心を打たれずにはいられません。宮廷の権力闘争、江湖の義理と人情、そして男女の愛憎が複雑に絡み合い、物語に一層の深みを与えています。それぞれのキャラクターが己の信念と向き合い、厳しい運命に抗おうとする姿から目が離せません。

つづく