淳于敏(じゅんうびん)の結婚を祝うため、和解の酒宴に臨んだ袁今夏(えんきんか)。しかし、それは彼女を陥れるための卑劣な罠でした。気づいた時には見知らぬ屋敷に閉じ込められ、絶体絶命の危機に瀕してしまいます。一方、今夏の身に起きた異変を察知した陸繹(りくえき) は、危険を顧みず救出へと向かいます。この一件をきっかけに、これまで心の奥に秘められてきた陸繹の強い想いがついに明らかに。二人の関係が新たな局面を迎える、見逃せない重要なエピソードです。宮廷では藍青玄(らんせいげん)が形勢逆転の好機を掴みます。
「花様衛士~ロイヤル・ミッション~」あらすじネタバレ35話
ことの発端は、あの淳于敏(じゅんうびん)の企みからでした。彼女は嫁ぐ前に袁今夏(えんきんか)と和解したいと偽り、二人きりの酒宴に誘います。すっかり信じ込んだ今夏が差し出された酒を飲むと、たちまち意識が遠のき、その場に倒れてしまいました。そう、すべては今夏を自分の代わりに司馬府へ嫁がせるための卑劣な罠だったのです。
何も知らない陸繹(りくえき) が見守る中、花嫁の顔を隠した花轎は司馬府へ。そこで目覚めた今夏は、自分が逃げられない状況にあることを悟ります。窓から逃げようにも見張りが固く、ついには手足を縛られてしまう始末。
絶望する今夏の前に現れた婚礼衣装の男、その顔を見て今夏は凍りつきます。なんと、結婚相手の司馬様とは、あの宿敵・厳世蕃(げんせいはん)が成り代わった姿だったのです! 厳世蕃(げんせいはん)は今夏の抵抗をものともせず、彼女の衣を剥ぎ取ろうとします。
まさにその瞬間! 扉を蹴破って飛び込んできたのは、我らが陸繹様! 今夏が辱められている姿を目の当たりにした陸繹の怒りは頂点に達します。「その結婚は偽りだ!」と叫び、厳世蕃に挑発されながらも、力ずくで今夏を奪い返します。そして、衣もはだけた痛々しい姿の彼女を、しっかりと抱きかかえてその場を去るのでした。
部屋に戻り、ショックで震える今夏。彼女が「私のために厳世蕃と敵対して、後悔しませんか?」と尋ねると、陸繹は振り返り、彼女を強く抱きしめます。
「他人が私を踏みつけるのは我慢できる。だが、お前を傷つけることだけは絶対に許せない」
そう言って、陸繹は初めて自らの想いを告白し、今夏の額に優しく口づけを落としました。涙ながらに彼の胸に顔をうずめる今夏。ついに、二人の心が固く結ばれた瞬間でした。
一方で、この騒動の元凶である淳于敏は、厳世蕃のもとへ引き渡され、その夜、彼女は自らの行いの代償を払うことになります。
宮廷では、藍青玄(らんせいげん)の予言通りに災害が起こったことが証明され、彼は嘉靖(かせい)帝の信頼を取り戻すことに成功。また、重傷を負った上官曦(じょうかんぎ)の助けを受けながらも、必死に楊岳(ようがく) の行方を捜し続けていました。
厳世蕃が淳于敏との結婚にこだわった理由、それは嫁入り道具に含まれる「土地」にあるのではないかと、陸繹と今夏は新たな陰謀の匂いを嗅ぎ取るのでした。
『花様衛士~ロイヤル・ミッション~』第35話の感想
今回は、陸繹の深い愛情がこれ以上ないほど明確に示された、物語の大きな転換点となる回でした。普段は冷静沈着で、本心をめったに表に出さない彼が、今夏が危機に陥った途端、怒りを爆発させ、全てを敵に回す覚悟で彼女を救い出す姿には胸を打たれずにはいられません。特に「お前を傷つけることだけは絶対に許せない」という台詞は、彼の今夏への想いの全てが集約されており、このドラマ屈指の名場面と言えるでしょう。厳世蕃の底知れぬ悪意と、それに対峙する陸繹の決意が鮮やかな対比となり、物語に一層の深みを与えています。ヒロインの危機という王道の展開ながら、キャラクターの感情が丁寧に描かれており、非常に見ごたえのある内容でした。
つづく