崖から落ちた楊岳(ようがく) は猟師に救われるが、大怪我を負い動けずにいた。一方、陸繹(りくえき) と今夏は、淳于家の娘・敏児(びんじ)への冷遇に憤りを感じ、屋敷を出る。捜査を進める二人は、厳世蕃(げんせいはん)が各地の土地を手に入れていた真の目的である、秘密の鉱脈の存在を突き止める。しかし、その背後では厳世蕃の非道な陰謀が着々と進んでいた。登場人物たちがそれぞれに過酷な試練に直面し、物語はより一層シリアスな局面へと突入していく。

「花様衛士~ロイヤル・ミッション~」あらすじネタバレ36話

いやはや、今回は本当に息が詰まるような展開でしたね…。前回、崖から落ちてしまった楊岳(ようがく) ですが、幸いにも山中の猟師に助けられ、一命は取り留めていました。でも、大怪我で身動きが取れず、上官曦(じょうかんぎ)を想いながらもどかしい日々を送ります。

一方、陸繹(りくえき)家のお屋敷でお世話になっていましたが、どうにもそこの家族の空気がおかしい。嫁に行った娘の敏児(びんじ)に対する態度が、まあ冷たいこと!息子が帰ってきたお祝いの席で、敏児はまるで邪魔者扱い。挙句の果てに、兄の啓児(けいじ)は「嫁に行った女は他人だ」「女は賠銭貨(金食い虫)だ」なんて言い放つ始末。

これには我らが今夏ちゃん、ブチギレ寸前!今にも飛びかかりそうな彼女を、陸繹(りくえき) がすんでのところで止めました。さすがにこんな家にはいられないと、二人はさっさと宿駅へお引越し。陸繹(りくえき) は、今夏をなだめつつも、実は淳于家を自分たちの捜査に巻き込まないための配慮でもあったんですね。さすがです。

二人の捜査は、厳世蕃(げんせいはん)が手に入れた土地に隠された秘密へと迫ります。そこには、なんと秘密の鉱脈と武器の部品を作る製錬所が!厳世蕃(げんせいはん)が各地の娘を娶っていたのは、嫁入り道具の土地に眠る鉱脈が目当てだったという、とんでもない陰謀が明らかになります。

陸繹と今夏は、現場を押さえようとしますが、そこに厳世蕃(げんせいはん)本人が登場。例のごとく、ねっとりとした視線で今夏をからかう厳世蕃に、陸繹の怒りは頂点に。しかし、今は動く時ではないと、ぐっとこらえてその場を去るのでした。陸繹は、これ以上今夏を危険な目に遭わせないと、固く心に誓います。

その頃、謝霄(しゃしょう) は、心身ともに疲れ果てた上官曦(じょうかんぎ)をやっとの思いで見つけ出します。楊岳(ようがく) の捜索は、今夏の力を借りることになりました。

しかし、物語はここから一気に闇へと突き進みます。

陸繹が鉱山の件を皇帝に密告したことを知った厳世蕃は、すべての証拠を消し去るために動き出します。そして、その矛先は、彼の秘密を知ってしまった敏児に向けられました。

厳世蕃は、敏児を連れて淳于家へ。そこで彼女に、世にも恐ろしい選択を迫ります。「お前の手で、この者たちを殺せ」と。目の前には、両親と兄、そして侍女の姿が。敏児がためらっていると、厳世蕃の部下が無慈悲に侍女を殺害。恐怖に震える敏児に、厳世蕃はさらに「家族を殺すか、自ら死ぬか選べ」と刀を握らせます。

その瞬間、父親が息子をかばい、その刀で自ら命を絶ちました。しかし、悪魔の所業は終わりません。厳世蕃は、残された母と兄をも冷酷に殺害。目の前で家族全員を失った敏児の、魂からの絶叫が響き渡るのでした…。

知らせを受けた陸繹が駆けつけると、そこには魂が抜けたようになった敏児が一人。彼女は陸繹の腕の中で、さも悲劇のヒロインであるかのように泣き崩れるのでした。

そして、もう一つの悲劇が。山小屋で療養していた楊岳が、ついに顔の包帯を解きます。鏡に映ったのは、痛々しく残る長い傷跡…。自分の顔に絶望した彼は、すべてを壊すかのように暴れ、やがて床に崩れ落ちて泣き叫ぶのでした。

登場人物たちの心が、次々と砕け散っていく…。あまりにも過酷な回でした。

『花様衛士~ロイヤル・ミッション~』第36話の感想

今回は、物語の暗部が容赦なく描かれ、登場人物たちが直面する過酷な運命に胸が締め付けられました。特に、厳世蕃が見せつけた人間の心の最も醜い部分と、それによって敏児が絶望の淵に突き落とされる様は、強烈な印象を残します。彼の行動は単なる悪役のそれを超え、人の尊厳そのものを弄ぶ悪魔の所業として描かれており、物語に凄まじい緊張感と深みを与えています。一方で、顔に癒えない傷を負った楊岳の絶望もまた、痛々しく心に刺さりました。守るべきもの、信じていたものが次々と崩壊していく中で、陸繹と今夏がどのように正義を貫き、傷ついた仲間を救っていくのか。希望の光がどこにあるのかを、必死に探したくなるような重厚な一話でした。

つづく