崖から落ちて行方不明となった楊岳(ようがく)たちが心配する中、陸繹(りくえき) は杭州で起きた名家滅門事件の調査を進める。事件の鍵を握るとみられる役人・呉守緒(ごしゅしょ)に接触を図るが、彼の周りには不穏な空気が漂っていた。一方、楊岳の失踪をきっかけに、上官曦(じょうかんぎ)は自身の本当の気持ちに気づき、大きな決断を下す。それぞれの思いが交錯する中、陸繹と今夏は調査の過程で危険な倭寇の集落に足を踏み入れてしまう。果たして二人は無事に切り抜けられるのか。そして、楊岳の運命は…。

「花様衛士~ロイヤル・ミッション~」あらすじネタバレ37話

崖から落ちて行方不明になった楊岳(ようがく) が必死に捜索するも、丸一日経っても手がかりすら見つかりません。そこに楊岳(ようがく)や林菱(りんりょう)たちも杭州に到着し、悪い知らせに心を痛めます。皆が絶望に沈む中、陸繹(りくえき) だけは冷静に今夏を慰め、「楊岳(ようがく) は必ず無事だ」と励ますのでした。その言葉が、どれほど今夏の心を支えたことか…。

その頃、上官曦(じょうかんぎ)は、楊岳を失った(と思い込んでいる)ことで、自分の本当の気持ちに気づきます。彼女は烏安幇(うあんほう)のすべてを謝霄(しゃしょう) に託し、自分は楊岳を探すことに専念すると宣言。あまりの変わりように謝霄(しゃしょう) は戸惑いますが、彼女の決意は固いものでした。

そんな中、街で上官曦(じょうかんぎ)は偶然にも楊岳らしき人物を見かけます。しかし、彼は顔を隠し、すぐに姿を消してしまいました。諦めきれない上官曦(じょうかんぎ)は、自分を尾行する怪しい男たちを利用し、わざと捕まることで楊岳をおびき出す作戦に出ます。案の定、楊岳が助けに現れましたが、彼は頑なに自分の正体を認めようとしません。上官曦が無理やり笠を取ると、そこには痛々しい傷跡が刻まれた楊岳の顔が…。

「こんな顔では君の隣にいられない」と卑下する楊岳。しかし上官曦は、彼の外見など全く気にしていませんでした。「生きていてくれれば、それでいい」と、彼女は力強く楊岳を抱きしめるのでした。ようやく仲間のもとへ戻った楊岳ですが、その心はまだ固く閉ざされたままです。

一方、陸繹(りくえき)家の滅門事件の裏にいるであろう呉守緒(ごしゅしょ)という役人と接触を図ります。しかし、呉守緒の屋敷で待っていたのは、彼の養子の亡骸でした。倭寇の仕業だと嘆く呉守緒ですが、どうにも芝居がかっている様子。

今夏の鋭い観察眼で、事件現場が近くであることを突き止めた二人は、とある村にたどり着きます。そこは、なんと倭寇の拠点だったのです!旧知の悪党・王麻子(おうまし)と再会し、呉守緒が自ら養子を倭寇に差し出したという衝撃の事実を知ります。多勢に無勢、陸繹(りくえき) は機転を利かせて銀子をばら撒き、その隙に今夏を連れて脱出!命からがら逃げ出した後、ばら撒かれた銀子を「もったいない!」と嘆く今夏と、彼女の怪我を心配する陸繹のやり取りには、思わず頬が緩んでしまいます。

その裏で、厳世蕃(げんせいはん)の魔の手が静かに動いていました。配下の翟蘭葉(てきらんよう)が、催眠術で楊程万(ようせいばん)から林菱(りんりょう)の過去を聞き出します。林菱(りんりょう)には、幼い頃に行方不明になった姪がいること、そしてその姪こそが、かつて厳家によって滅ぼされた夏(か)家の孫娘であることが判明。厳世蕃(げんせいはん)は、その娘を見つけ出し、林菱を再び自分のものにしようと企むのでした。

物語のラスト、呉守緒から陸繹のもとへ、大量の金銀財宝と二人の美女が届けられます。もちろん、これは陸繹を味方に引き入れるための罠。今夏はすかさず陸繹の前に立ちはだかり、「殿は私が守る!」とばかりに美女たちを追い払おうとするのでした。陸繹も心得たもので、美女たちを自分から遠い部屋に住まわせるよう手配します。

二人の絆の強さと、忍び寄る新たな陰謀。それぞれの愛と苦悩が交錯する、見逃せない回となりました。

『花様衛士~ロイヤル・ミッション~』第37話の感想

今回は、複数の物語が同時に進行し、非常に密度の濃いエピソードでした。特に心に残ったのは、楊岳と上官曦の関係性の変化です。これまで自分の気持ちに素直になれなかった上官曦が、楊岳の危機をきっかけに、彼への深い愛情を自覚し、行動に移す姿には胸を打たれました。一方で、顔の傷によって心を閉ざしてしまう楊岳の苦悩も痛いほど伝わってきて、二人の未来がどうなるのか、切ない気持ちで見守ってしまいます。

また、陸繹と今夏の信頼関係も、さらに深まったように感じます。倭寇の巣窟という危険な状況でも、互いを信じ、機転を利かせて乗り越える姿は頼もしい限りです。そして、危険な目に遭った今夏を心から心配し、不器用ながらも優しさを見せる陸繹の姿には、彼の人間的な魅力が溢れていました。厳世蕃(げんせいはん)の新たな悪だくみも明らかになり、物語が大きく動き出す予感をさせる、非常に重要な回だったと言えるでしょう。

つづく