倭寇との戦いで重傷を負った陸繹(りくえき) 。しかし、彼は袁今夏(えんきんか)が残る杭州に敵が向かったと知るや否や、傷ついた体を引きずって彼女の元へと急ぎます。その頃、杭州城では、今夏と祁夫人(きふじん)が圧倒的な兵力差の倭寇を相手に、絶望的な籠城戦を強いられていました。弾薬は尽き、兵士たちの士気も下がる中、今夏は必死に仲間を鼓舞します。刻一刻と城門が破られる時が迫る、まさに絶体絶命の危機が訪れていました。
「花様衛士~ロイヤル・ミッション~」あらすじネタバレ43話
命からがら謝霄(しゃしょう) を岸まで救い上げた陸繹(りくえき) 。しかし、彼自身も深く傷ついており、意識を失った謝霄(しゃしょう) を抱えて帰路につくだけで精一杯でした。皆が二人の安否を気遣い、絶望しかけたその時、満身創痍の陸繹(りくえき) が謝霄を連れて帰還。すぐさま二人は手当てを受けます。朦朧とする意識の中、陸繹はどこかの屋敷の前で遊ぶ、幼い少女の夢を見ていました。
その頃、陣営では祁(き)将軍が杭州へ戻るための準備で騒がしくなっていました。倭寇の一部が杭州へ向かったというのです。その言葉に陸繹はハッとします。「今夏(きんか)が杭州にいる!」彼は傷ついた体も顧みず、ベッドから起き上がると、嵐のように杭州へと飛び出していきました。
一方、杭州城では、袁今夏(えんきんか)と祁夫人(きふじん)が甲冑を身にまとい、決死の覚悟で城壁に立っていました。弾薬はわずか8発。それでも最初の攻撃で敵の士気をくじくため、貴重な大砲を使います。なんとか一度は倭寇を退けるも、敵将・董斉盛(とうせいせい)は城内の守備が婦女子ばかりだと見抜き、総攻撃の号令をかけました。
弾薬も尽き、絶望的な状況に陥る城内。兵士たちの士気が下がる中、今夏は声を張り上げます。「希望がある限り、私たちは祁夫人と共に杭州を守り抜ける!」その凛とした姿は、人々の心を奮い立たせました。
しかし、倭寇の猛攻は凄まじく、ついに城壁を乗り越えてきます。激しい戦闘の中、内通者であった敏児(びんじ)が倭寇の刃に倒れ、城門も突破されてしまいました。今夏や楊岳(ようがく) 、祁夫人が城下の敵に立ち向かい、血で血を洗う死闘を繰り広げます。もはやこれまでかと思われた、その瞬間――。
地響きと共に、祁将軍(きしょうぐん)と陸繹が率いる援軍が到着!馬から降り立った陸繹は、戦場の喧騒の中、一心に探し求めていた今夏の姿を見つけます。目が合った二人。言葉はいりません。陸繹は駆け寄り、硝煙の立ち込める戦場で、強く、強く今夏を抱きしめるのでした。
戦いが終わり、杭州城が守られた安堵の中、陸繹は今夏の腕の中で意識を失います。彼が重傷を負ったまま、ただ彼女のために駆けつけてくれたことを、今夏はようやく知るのでした。
意識を取り戻した陸繹は、そばで眠る今夏の顔を優しく撫でます。そして、彼女のために命さえ惜しくない、と真っ直ぐな想いを伝えました。今夏が陸繹に請われて口ずさんだのは、幼い頃の童謡。その歌声を、薬を届けに来た林菱(りんりょう)がドアの外で耳にし、凍りついたように立ち尽くすのでした…。
『花様衛士~ロイヤル・ミッション~』第43話の感想
今回は、絶望的な籠城戦の緊迫感と、それを乗り越えた先にある感動が胸を打つ回でした。特に、圧倒的な戦力差にも屈せず、兵士たちを鼓舞する今夏の姿には、彼女の持つ芯の強さが表れていて心惹かれます。そして何と言っても、陸繹の今夏への深い愛情には感服させられます。自らも深手を負いながら、ただ一途に今夏を救うためだけに杭州へ駆けつける姿は、本作の白眉と言えるでしょう。戦場で再会し、言葉もなく抱きしめ合うシーンは、二人の絆の深さを象徴する名場面でした。物語の大きな山場を越え、登場人物たちの関係性がより一層深まった、見応えのある一話です。
つづく