行方知れずとなった林菱(りんりょう)を救出するため、袁今夏(えんきんか) は危険を顧みず、ある屋敷への潜入を試みます。しかし、そこには二人の想像を超える巧妙な罠が仕掛けられていました。一方、陸繹(りくえき) は朝廷で続いていた塩税の不正問題を追及し、ついに黒幕を追い詰めるための重要な証拠を掴みます。愛する者を救おうとする者、巨悪を暴こうとする者、それぞれの正義が交錯し、物語は緊迫の度合いを増していきます。
「花様衛士~ロイヤル・ミッション~」あらすじネタバレ50話
今回は、これまで以上にハラハラする展開が待っていました。悪の親玉・厳世蕃(げんせいはん)の策略が冴えわたり、今夏と仲間たちが絶体絶命のピンチに。一方で、我らが陸繹(りくえき) は朝廷で巨大な悪に立ち向かいます。
厳世蕃(げんせいはん)の非情な罠!明かされる今夏の出自
前回、厳世蕃に捕らえられてしまった林菱(りんりょう)。彼女を救うため、今夏と丐叔(かいしゅく) は厳府の外で見張りを続けます。そこへ現れた一台の馬車。残された林菱(りんりょう)愛用の頭油の匂いを頼りに、二人は馬車を追跡し、とある屋敷にたどり着きました。林菱がここに囚われていると確信した今夏と丐叔(かいしゅく) は、夜を待ち、救出作戦を決行します。
深夜、屋敷に忍び込んだ二人は、女中を脅して案内させ、ついに密室で縛られている林菱を発見!しかし、これはすべて厳世蕃が仕掛けた巧妙な罠でした。三人が合流した途端、部屋に仕掛けられていた迷香が焚かれ、あっという間に意識が朦朧としてしまいます。
そこへ姿を現したのは、ほくそ笑む厳世蕃。彼は丐叔の命を盾に、今夏に衝撃の事実を告白させます。そう、今夏の亡き母・林荷が、林菱の姉であること、つまり今夏が夏然(かぜん)事件の生き残りであることを…。追い詰められた今夏は、ついにその事実を認めざるを得ませんでした。目的を果たした厳世蕃は、今夏を連れ去り、丐叔を容赦なく打ちのめします。林菱は、愛する丐叔を救うため、彼のそばに留まるという屈辱的な約束を涙ながらに受け入れるのでした。
朝廷を揺るがす陸繹(りくえき) の告発
その頃、陸繹は別の戦場で火花を散らしていました。彼は塩運司の不正が記された帳簿を手に、徐大人(じょたいじん)と面会。この帳簿こそ、厳党が後ろ盾となっている塩運使・顔邵瓊(がんしょうけい)を失脚させるための切り札です。
朝廷の場において、徐大人(じょたいじん)は二冊の帳簿を嘉靖(かせい)帝に提示。そこには三千両もの差額があり、塩税の巨額な横領が明らかになりました。追い詰められた顔邵瓊(がんしょうけい)は「倭寇のせいだ」と見苦しい言い訳をしますが、民の苦しみを訴える徐大人に一蹴されます。激怒した嘉靖(かせい)帝は、推薦者である厳嵩(げんすう)を叱責し、顔邵瓊を詔獄へ投じるよう命じました。
父の制止、そして仲間たちの結束
この一件が、陸繹の仕業だと気づいた厳世蕃は、怒りに震えます。一方、詔獄で顔邵瓊を尋問する陸繹は、倭寇が使っていた鳥銃の弾簧という決定的な証拠を突きつけ、事件の黒幕が「司馬長安」と名乗る厳世蕃であることを暴き出します。
しかし、陸繹がさらに通倭案を深く追及しようとした矢先、父である陸廷(りくてい)から待ったがかかります。皇帝の猜疑心を煽ることは、陸家にとっても危険だと案じたのです。病で弱った父の言葉に、陸繹は一旦捜査を止めざるを得ませんでした。
そんな中、今夏と丐叔が一晩中帰ってこないことを知った袁大娘(えんたいじょう)たちは、二人が林菱を助けに行き、危険な状況に陥ったと察知します。楊岳(ようがく) は急いで陸繹に助けを求め、上官曦(じょうかんぎ) も今夏を救うために立ち上がりました。
愛する今夏の失踪を知った陸繹は、父の制止を振り切り、迷わず厳府へと乗り込みます。しかし、厳世蕃は「袁今夏(えんきんか)など知らない」と、しらを切り通すのでした。
『花様衛士~ロイヤル・ミッション~』第50話の感想
今回は、正義と悪、愛と策略が複雑に絡み合い、息つく暇もないほど濃密な一時間でした。特に、厳世蕃の用意周到かつ非情な罠には、改めて彼の恐ろしさを感じさせられます。ただ悪事を働くのではなく、人の心を巧みに利用し、最も残酷な形で相手を追い詰めるやり方は、まさに悪のカリスマと言えるでしょう。一方で、朝廷という公の場で、証拠を武器に巨大な権力に立ち向かう陸繹の姿は、彼の揺るぎない正義感と知性を際立たせていました。愛する今夏が囚われていると知った瞬間に、父親の制止すら振り切って厳府へ向かう彼の行動は、クールな仮面の下にある熱い想いを浮き彫りにします。物語の核心である過去の事件と、現在の危機が繋がり、登場人物それぞれの覚悟が試される、非常に見ごたえのある回でした。
つづく