宿敵・厳世蕃(げんせいはん)の手に落ちてしまった袁今夏(えんきんか) は彼女を救い出すため、厳府へと乗り込みますが、厳世蕃は卑劣な交換条件を突きつけます。愛する人を救うため、そして一族の過去と向き合うため、陸繹(りくえき)はこれまで守り抜いてきた誇りを捨て、大きな決断を迫られることに。しかし、その先には、二人の関係を根底から揺るがす、あまりにも過酷な真実と試練が待ち受けていました。

「花様衛士~ロイヤル・ミッション~」あらすじネタバレ51話

今回は、愛する人を救うため、錦衣衛の冷徹な指揮官・陸繹(りくえき) が、そのプライドも何もかも投げ打つ姿が描かれます。

悪魔の囁きと、血に濡れた真実

陸繹(りくえき) が厳府に乗り込み、袁今夏(えんきんか)を渡すよう迫るも、もちろん厳世蕃(げんせいはん)はしらを切ります。しかし、その裏では、捕らえた今夏を拷問台に縛り付けていました。

「夏家の仇を討つ!」と叫ぶ今夏に対し、厳世蕃(げんせいはん)は歪んだ笑みを浮かべ、残酷な真実を告げます。「お前の本当の仇は、陸繹の父親、陸廷(りくてい)なのだ」と。かつて夏家を弾劾する上奏文を書かせた黒幕こそが陸家だったという衝撃の事実。信じがたい言葉に今夏が激しく抵抗する中、厳世蕃は彼女の髪から簪を抜き取り、部下にさらなる拷問を命じてその場を去るのでした。

父子の対立と、愛のための屈辱

厳世蕃は、今夏の簪をわざわざ陸繹のもとへ届けさせます。愛する人が危険に晒されていることを確信した陸繹は、再び厳府へ。厳世蕃は、今夏を助けたければ、彼の罪の証拠となる顔邵瓊(がんしょうけい)の口供を持ってこいと要求します。

陸繹は父・陸廷(りくてい)のもとへ駆け込み、口供を渡してほしいと土下座して懇願します。しかし、陸廷は「女のために腑抜けたか!」と一喝。息子の必死の訴えにも耳を貸しません。追い詰められた陸繹が「彼女は夏然(かぜん)の孫娘なのです!」と叫んだ瞬間、陸廷の表情が凍りつきます。ついに父は折れ、陸繹に口供を手渡しました。

命がけの救出劇、そして残された深い傷

口供を手に厳府へ戻った陸繹。しかし、厳世蕃はそれを読むなりビリビリに破り捨ててしまいます。そして、狂気の笑みを浮かべ、今夏の居場所を知りたければ「ひざまずいて私に請え」と命じます。

ためらいなく、陸繹はその場に膝をつきました。錦衣衛としての誇り、陸家の御曹司としての尊厳、そのすべてが砕け散った瞬間でした。満足げに笑った厳世蕃は、「家族が死んだ場所にいる」というヒントだけを与えます。

陸繹は、廃墟となった夏家の屋敷へと全力で疾走します。仕掛けを破り、屋敷の奥へ進むと、そこには冷たい水の中に浮かぶ今夏の姿が…。体中に釘を打ち込まれ、もはや意識もありません。林菱(りんりょう)が震える手で釘を抜き、陸繹は蒼白な顔で横たわる今夏を見つめます。かつて雨の夜に「私は痛々しくない?」と尋ねた彼女の言葉を思い出し、陸繹は「痛々しすぎる…」と、絞り出すような声で呟くのでした。

目覚めた彼女の冷たい瞳

幸いにも今夏は一命を取り留めます。しかし、意識が戻り、そばに付き添う陸繹の姿を見た彼女の瞳は、氷のように冷たく、「なぜ私を助けたの?」と問い詰めます。陸繹はその視線から逃げるしかありませんでした。

一方、証拠の口供を破棄させた厳世蕃は、まんまと罪を逃れます。そして、今夏が生きていると聞いても余裕の表情。彼は知っていたのです。陸繹と今夏の関係に、決して抜けることのない、最も深く、最も痛い棘を打ち込んだことを…。二人の恋路は、拷問具についた錆よりも、さらに深く蝕まれ始めていました。

『花様衛士~ロイヤル・ミッション~』第51話の感想

これまでの物語が、まるで序章であったかのように感じさせられる、非常に重厚で心を揺さぶる回でした。陸繹が今夏のためにプライドを捨て、仇敵である厳世蕃に土下座する場面は、彼の愛の深さを痛いほどに描き出しています。しかし、その必死の行動が、皮肉にも二人の間に決定的な亀裂を生んでしまうという運命の残酷さには、言葉を失います。厳世蕃の策略は、物理的な拷問以上に、人の心を巧みに破壊するものであり、その非道さには改めて戦慄しました。ようやく意識を取り戻した今夏の、陸繹に向ける冷たい視線は、これからの二人のいばらの道を示唆しているようで、見ているこちらの胸も締め付けられます。甘い恋物語から一転、血と裏切りにまみれた宿命の物語が、本格的に幕を開けた回だと言えるでしょう。

つづく