厳世蕃(げんせいはん)の策略により、陸繹(りくえき) は苦しい立場に立たされる。一方、傷の癒えた袁今夏(えんきんか)と師匠の楊程万(ようせいばん)から、自身の出生にまつわる衝撃的な真実を知らされることに。それは、陸繹との関係を根本から揺るがす、あまりにも過酷な宿命だった。愛と憎しみの間で引き裂かれ、二人の間には深い溝が生まれてしまう。時を同じくして、陸繹の父・陸廷(りくてい)もまた、長年抱えてきた秘密と後悔を胸に、ある重大な決断を下そうとしていた。

「花様衛士~ロイヤル・ミッション~」あらすじネタバレ52話

これまで幾多の困難を乗り越え、確かな愛を育んできた陸繹(りくえき) 。しかし、運命は二人をあまりにも残酷な真実へと導きます。今回は、二人の関係を根底から揺るがす、衝撃の事実が明かされるエピソードです。

厳世蕃(げんせいはん) の覚悟

愛する今夏を救うため、政敵である厳世蕃(げんせいはん)に汚職の証拠を渡してしまった陸繹(りくえき)は、それが厳世蕃(げんせいはん)に弱みを握らせる結果になったと陸繹を非難します。しかし陸繹は、「今夏は私の弱点だが、同時に私を守る鎧でもある」と静かに語るのでした。彼は、厳世蕃がこの切り札を、最も効果的な瞬間まで温存していたことを見抜いていました。倭寇との内通という重大な罪に関わる証拠だったため、厳世蕃もすぐに行動せざるを得なかったのです。この一件で、陸繹は改めて厳世蕃の恐ろしさと、これから始まるであろう過酷な戦いを覚悟するのでした。

引き裂かれた二人、暴かれた血の仇

傷が癒えた今夏を都の喧騒から遠ざけようと、叔母の林菱(りんりょう)は共に都を離れる決意をします。しかし、今夏の心には師匠である楊程万(ようせいばん)の不可解な態度が引っかかっていました。今夏と林菱(りんりょう)に問い詰められた楊程万は、ついに重い口を開き、衝撃の事実を告げます。それは、今夏の一族・夏家を滅亡に追いやった事件の主謀者の一人が、なんと陸繹の父・陸廷(りくてい)であるという、信じがたい真実でした。

まるで雷に打たれたかのような衝撃を受ける今夏。そこへ現れた陸繹に、彼女は震える声で「知っていたの?」と問いかけます。怒りに燃える林菱(りんりょう)は陸繹に斬りかかりますが、今夏はとっさに陸繹をかばい、叔母に「やめて」と泣きながら土下座するのでした。愛する人と、家族の仇。その間で引き裂かれた今夏は、最後に陸繹から贈られた思い出の腕輪を外し、涙ながらに彼を突き放すことしかできませんでした。

父の懺悔と遺志

陸繹と別れた今夏は、陸廷に呼び出されます。陸廷は、今夏が夏家の生き残りであると知っていたことを認め、かつて夏然(かぜん)に許しを請うも聞き入れられなかった過去を語り、自らの過ちを懺悔しました。今夏に復讐のための匕首を差し出しますが、彼女はそれを拒み、夏家の汚名をそそぐことを要求します。陸廷は、長年密かに保管していた夏家の冤罪を晴らすための密書を今夏に手渡し、新しい帝が即位するまで待つよう告げました。

その直後、陸廷は血を吐いて倒れ、陸繹は初めて父が重い病に侵されていることを知ります。密書に刻まれた年月の跡から、父がずっと以前から後悔し、冤罪を晴らす機会をうかがっていたのかもしれないと気づく今夏。しかし、屋敷の外に佇む陸繹の背中を見ても、声をかけることはできませんでした。

病床の陸廷は、死の床で陸繹に厳家を打倒するための計画図を託します。厳嵩(げんすう)に近づいたのは、罪の証拠を集めるためだったという父の告白を聞き、父子の間の長年のわだかまりが少しだけ解けていきます。しかし、厳家の没落を見届けることなく、陸廷は息を引き取りました。

父の死の知らせを仕事中に聞いた今夏は、ただ呆然と立ち尽くすばかり。陸家の屋敷に掲げられた白い弔いの布の下で、魂が抜けたように立ち尽くす陸繹の姿を、彼女は物陰から涙ながらに見つめるのでした。父の遺志と、厳家への復讐という重い使命が、今、陸繹の双肩に託されたのです。

『花様衛士~ロイヤル・ミッション~』第52話の感想

これまで積み重ねてきた二人の絆が、あまりにも残酷な真実によって引き裂かれる、非常に胸が締め付けられる回でした。愛する人が一族の仇の息子だったと知った今夏の絶望と、彼女を守るために真実を告げられず、結果的に最も深く彼女を傷つけてしまった陸繹の苦悩が痛いほど伝わってきます。

特に印象的だったのは、これまで権力者のイメージが強かった陸廷の人間的な側面が描かれたことです。彼が単なる悪役ではなく、長年罪の意識に苛まれ、密かに贖罪の道を探していたという事実は、物語に一層の深みを与えました。父の遺志を継ぎ、孤独な戦いを決意した陸繹と、愛と憎しみの間で揺れ動く今夏。二人の未来がどうなってしまうのか、固唾をのんで見守るしかありません。

つづく