龍淵閣の謎を追う周子舒(ジョウ・ズーシュー)一行。周子舒は、弟子の張成嶺(ジャン・チョンリン) に厳しい修行を課すが、その裏には彼の成長を願う切実な想いがあった。一方、溫客行(ウェン・コーシン)はそんな二人を複雑な心境で見守る。その頃、五湖盟では趙敬(ジャオ・ジン) が新たな盟主となり、その権力を使い、江湖に不穏な影を落とし始めていた。旅の途中、一行は宿で束の間の休息を得るが、そこで周子舒と溫客行(ウェン・コーシン)は互いの秘めたる想いに触れることになる。それぞれの正義と過去が交錯し、物語は新たな局面へと向かっていく。

「山河令」あらすじネタバレ17話

師の顔、友の顔、そして…

物語は、華山派で傷を癒す曹蔚寧(ツァオ・ウェイニン) と、彼に付き添う顧湘(グー・シアン)のシーンから始まります。柳千巧(リウ・チェンチャオ)と于丘烽(ユー・チウフォン)が見舞いに現れますが、この二人がなぜ一緒にいるのか?柳千巧(リウ・チェンチャオ)は、于丘烽(ユー・チウフォン)が羅浮夢(ルオ・フーモン)を救うのを手伝う見返りに、五湖盟に殺された彼の息子の仇討ちを手伝う約束をしたと淡々と語ります。なんとも危うい取引ですが、顧湘(グー・シアン)は抜け目のない于丘烽に注意するよう、柳千巧に釘を刺すのでした。

一方、我らが周子舒(ジョウ・ズーシュー)と溫客行(ウェン・コーシン)一行は、龍淵閣の真相を探る旅の道中。周子舒(ジョウ・ズーシュー)は、馬に乗る自分の後ろから縄で繋いだ張成嶺(ジャン・チョンリン)に流雲九宮歩の修行を課し、まさにスパルタ教育の真っ最中です。何千回も歩法を繰り返し、ヘトヘトになった成嶺が休憩を懇願しても、周子舒はあと一刻追加だと容赦なし。要領が悪いなら、人より先にやるしかないという厳しい言葉は、彼なりの愛情なのでしょうが、見ている溫客行(ウェン・コーシン)は心配でたまらない様子。この二人の教育方針の違いがまた面白いですよね。

夜、野営で溫客行が作った魚のスープを囲む一行。成嶺の素朴な疑問に答える形で、周子舒は龍淵閣と琉璃甲の成り立ち…容炫(ロン・シュエン)が龍雀(ロン・チュエ)に武庫の創設を託した経緯を語ります。しかし、その正確な場所は誰も知らない、と。伝説の武庫の謎が、旅の目的を一層際立たせます。

暗躍する者たち

その頃、江湖では大きな動きが。趙敬(ジャオ・ジン) がとうとう五湖盟の盟主の座に就き、高崇(ガオ・チョン)を鬼谷と結託した裏切り者として断罪。見事なまでに悪役の道を突き進んでいますね。さらに彼の野心は止まりません。五湖盟からの離脱を考えていた巨鯨幇の幇主・汪默軒のもとへ、腹心の蝎王(さそりおう)を引き連れて自ら乗り込みます。趙敬(ジャオ・ジン) が毒蝎と手を組んでいたという衝撃の事実が明かされ、反発した汪默軒は蝎王(さそりおう)によってその場で惨殺されてしまうのでした。趙敬の腹黒さと、彼に仕えながらもどこか満たされない表情を見せる蝎王の関係も、今後の見どころになりそうです。

心の内を明かす夜

宿に着いても、周子舒の張成嶺(ジャン・チョンリン)への厳しい修行は続きます。見かねた溫客行が助言をすると、成嶺は気を乱してしまいますが、これをきっかけに彼の経脈が非常に広く、武学の才に恵まれた天賦の才の持ち主であることが判明します。これには葉白衣(イエ・バイイー)も惜しいな、頭が残念だと相変わらずの毒舌ぶり(笑)。

その夜、溫客行と葉白衣(イエ・バイイー)は酒を酌み交わします。酔った溫客行は、葉白衣にいつもの飄々とした態度とは違う、棘のある言葉を投げかけ、見かねた周子舒に部屋へ連れ戻されます。

一人残った葉白衣は、周子舒の内傷が深刻なことを見抜き、治療を勧めますが、周子舒はこれを静かに断るのでした。

そして、この回のクライマックス。部屋で飲み直す溫客行のもとを周子舒が訪れます。溫客行は、周子舒に死んでほしくないと心からの想いを吐露します。お前に哀れまれたくないし、偽りの仮面で取り繕われるのもごめんだと返す周子舒。それに対し、溫客行は本心だと断言します。

周子舒は、そんな彼を優しく寝台に運び、残された時間を大切にする。お前が俺に心を開いてくれる日を待ちたいと語りかけます。その言葉を聞いた溫客行は、自分の正体を知られたら、今の友人という関係さえも失ってしまうのではないかという深い苦悩に沈むのでした…。

『山河令』第17話の感想

今回のエピソードは、登場人物たちの内面が深く掘り下げられ、物語に一層の奥行きが生まれました。特に印象的だったのは、周子舒と溫客行の関係性の変化です。周子舒が張成嶺に見せる厳しさは、彼自身の命の期限と、弟子を一人前にしたいという焦りの表れでしょう。一方で、友である溫客行に対しては、彼の抱える闇ごと受け入れようとする深い包容力を見せます。酔って本音を漏らす溫客行と、それを受け止める周子舒の夜のシーンは、本作の白眉と言える美しさと切なさでした。また、趙敬の悪事が本格化し、物語の対立構造が明確になった点も見逃せません。彼の策略によって、江湖の秩序が崩壊していく様は、今後の展開への期待を大きく抱かせるものでした。静かながらも、キャラクターの心情が激しく動いた、非常に見ごたえのある回でした。

つづく