龍淵閣の主・龍雀(ロン・チュエ)がついに重い口を開き、20年前に起きた悲劇の真相を語り始めます。武庫設立の本当の理由、若き英雄たちの輝かしい友情、そして彼らを引き裂いたある事件…。溫客行(ウェン・コーシン)が信じてきた物語は覆され、周子舒(ジョウ・ズーシュー)は彼の側で静かに真実を見つめます。一方、葉白衣(イエ・バイイー)が頑なに追い求める答えとは一体何なのか。今まで散りばめられてきた謎が一点に収束していく、物語の核心に迫る必見のエピソードです。

「山河令」あらすじネタバレ19話

いやあ、今回の『山河令』は本当に息をのむ展開でしたね!今まで謎に包まれていた20年前の出来事が、ついに龍雀(ロン・チュエ)の口から語られ始めました。溫客行(ウェン・コーシン)がずっと信じてきた物語が、ガラガラと音を立てて崩れていく……。彼の揺れる心を思うと、こちらまで胸が締め付けられます。

ついに明かされる真実、武庫設立の本当の理由

龍淵閣の洞窟で、息子の龍孝(ロン・シャオ)からなぜ陰陽冊で自分を救ってくれなかった!と激しく罵倒される龍雀。溫客行(ウェン・コーシン)は、そのあまりの言い分に耐えかね、龍孝を黙らせてしまいます。

そして、ついに物語の核心へ。葉白衣(イエ・バイイー)や周子舒(ジョウ・ズーシュー)が見守る中、溫客行(ウェン・コーシン)は龍雀に問いかけます。高崇(ガオ・チョン)が武庫を開けるよう脅迫し、容炫(ロン・シュエン)があなたを騙して武庫を造らせたというのは真実か?と。

しかし、龍雀の答えは衝撃的なものでした。それは龍孝のでたらめだ。武庫は、私が心から望んで容炫のために造ったものだ。

えええ!?って感じですよね。溫客行が抱いてきた憎しみの前提が、ここで覆されてしまうんですから。彼の呆然とした表情が忘れられません。そんな彼を支えるように、そっと肩に手を置く周子舒(ジョウ・ズーシュー)の姿に、二人の絆の深さを感じずにはいられませんでした。

龍雀によると、かつて周子舒(ジョウ・ズーシュー)の師匠・秦懐章(チン・ホワイジャン)を介して出会った彼らは、共に江湖を旅する義兄弟のような仲間でした。武庫は、彼らの理想と友情の証として、皆で協力して建てたものだったのです。

英雄たちの悲劇、友情が引き裂かれた日

では、なぜ彼らの関係は崩れてしまったのか?

龍雀が語ったのは、あまりにも悲しい悲劇でした。ある日の手合わせ中、高崇(ガオ・チョン)の剣が誤って容炫の腕を傷つけます。しかし、その剣には三尸毒が塗られていたのです。容炫を救うため、彼の妻であり神医谷の達人であった岳鳳儿(ユエ・フォンアル)は、禁術である陰陽冊を使ってしまいます。

その結果、容炫は一命をとりとめたものの正気を失い、愛する妻・岳鳳儿をその手で殺めてしまうという最悪の事態に…。そして、正気を失ったまま江湖の猛者たちに追われ、命を落としたのでした。

さらに衝撃の事実が続きます。岳鳳儿は死ぬ前、武庫の鍵を神医谷の弟子であった甄如玉(ジェン・ルーユー)――そう、溫客行の父親に託していたのです。

容炫の死後、江湖の者たちは鍵のありかを知る甄如玉と妻を追い詰め、一家は行方知れずとなりました。龍雀は、甄一家を守るため、わざと龍淵閣が武庫を開けられるという偽の情報を流し、追っ手の目を自分に向けさせていたのです。

葉白衣(イエ・バイイー)の告白と趙敬(ジャオ・ジン) の野心

一方で、鍵の行方をしつこく問い詰める葉白衣(イエ・バイイー)。彼を制止する溫客行に対し、葉白衣は容炫は私の弟子だと告白します。これには溫客行も言葉を失うしかありません。

その頃、五湖盟では、高崇(ガオ・チョン)の位牌を前に趙敬(ジャオ・ジン) がほくそ笑んでいました。英雄たちの悲劇を嘲笑い、ついに五湖盟を手に入れたことを誇示する彼の姿は、まさに悪そのものでした。すべての悲劇の裏で、彼が糸を引いていたのではないかとさえ思えてきます。

すべての点が線で繋がり、壮絶な過去が明らかになった第19話。溫客行が背負ってきた運命の過酷さに、ただただ胸が痛みます。

『山河令』第19話の感想

これまで断片的に語られてきた過去の出来事が、龍雀の口から一つの悲しい物語として紡がれた回でした。英雄たちの輝かしい友情が、一つの事故とすれ違いによって、いかに残酷な悲劇へと転落していったのか。その全貌が明らかになり、物語に一気に深みが増したように感じます。特に、溫客行が信じてきた悪の構図が根底から覆された瞬間は圧巻でした。彼の憎しみが、実は父を救おうとした人々の善意や苦悩の裏返しだったと知った時、彼の心中に渦巻くであろう混乱を思うと、非常に切なくなります。善と悪、加害者と被害者という単純な二元論では決して語れない、人間の業の深さが描かれた、重厚で見応えのあるエピソードでした。

つづく