龍淵閣の主・龍雀(ロン・チュエ)は、自らの最期を悟り、後事を周子舒(ジョウ・ズーシュー)と張成嶺(ジャン・チョンリン) に託します。その死をきっかけに、これまで謎に包まれていた溫客行(ウェン・コーシン)の過去と、彼が背負う深い悲しみが明らかになります。知己の苦しみを知った周子舒は、彼を光の中へ導こうとしますが、溫客行の心の傷はあまりにも深いものでした。一方、江湖では五湖盟の新盟主・趙敬(ジャオ・ジン) がその野心を露わにし始め、新たな争いの火種が生まれようとしていました。
「山河令」あらすじネタバレ20話
葉白衣(イエ・バイイー)の言葉によって悟りを開いた龍雀(ロン・チュエ)は、ついに覚悟を決めます。彼は周子舒(ジョウ・ズーシュー)を呼び、龍淵谷の地図と武庫の機関図、そして龍淵閣の機関術をまとめた書物を託し、後継者を探すよう頼みました。そこで周子舒(ジョウ・ズーシュー)が推薦したのは、なんと張成嶺(ジャン・チョンリン)! これには龍雀(ロン・チュエ)も喜び、成嶺は晴れて龍淵閣の正式な弟子となりました。
しかし、安堵したのも束の間。龍雀は、長年自らを縛り付けてきた鎖を断ち切るよう、溫客行(ウェン・コーシン)に懇願します。鎖を断てば命がないと知る溫客行(ウェン・コーシン)は必死に止めますが、龍雀の決意は固いものでした。悲しみと葛藤の末、溫客行が剣を振り下ろすと、龍雀はみるみるうちに衰弱していきます。
死を目前にした龍雀を前に、周子舒は溫客行に本当のことを話せと、彼の正体を明かすよう促します。しかし、あまりにも重い過去を背負った溫客行に、その勇気はありません。見かねた周子舒が、彼の代わりに甄如玉(ジェン・ルーユー)殿の息子・甄衍(ジェン・イエン)は立派に成長し、ここにいますと告げました。 その言葉を聞き、恩人の息子が無事だったことを知った龍雀は、安らかに息を引き取ります。
恩人の死、そして自らの口で明かせなかった正体…。すべての感情が限界を超えた溫客行は、龍雀の亡骸にすがりつき、声を上げて泣きじゃくるのでした。周子舒は、そんな彼の姿をそっと見守り、張成嶺(ジャン・チョンリン)を連れてその場を離れます。
その頃、江湖では各々の思惑が渦巻いていました。
- 顧湘(グー・シアン)と曹蔚寧(ツァオ・ウェイニン) :顧湘(グー・シアン)は献身的に曹蔚寧(ツァオ・ウェイニン) を看病。曹蔚寧は、師匠が琉璃甲を持ち去ったのではと疑い、真相を確かめるため清風剣派へ戻ることを決意。顧湘も琉璃甲の行方を追うため、彼と同行することに。
- 于丘烽(ユー・チウフォン)と柳千巧(リウ・チェンチャオ):于丘烽(ユー・チウフォン)は、趙敬(ジャオ・ジン) がかつて羅浮夢(ルオ・フーモン)を捨てた過去を利用して彼を脅し、武庫の秘宝陰陽冊を手に入れようと画策。陰陽冊で容姿を変えられると聞き、柳千巧(リウ・チェンチャオ)もその計画に加担します。
- 趙敬(ジャオ・ジン) と蝎王(さそりおう):五湖盟の新盟主となった趙敬は、その野心を本格化。邪魔者である龍孝(ロン・シャオ)や、過去の真相を知る者たちを始末するよう蝎王(さそりおう)に命令。英雄大会の再開を宣言し、江湖の覇権を握ろうと動き出します。
趙敬の駒であった龍孝(ロン・シャオ)は、溫客行たちに追い詰められると、自ら崖下の洞窟へ身を投げ、薬人を呼び出して食われるという壮絶な最期を遂げました。
すべての決着がついた後、周子舒は溫客行と張成嶺を四季山荘へ帰ろうと誘います。師門に迎え入れ、三人で山荘を再興しようという、彼の優しさがこもった提案でした。しかし、溫客行はこれを頑なに拒絶。かつて師・秦懐章(チン・ホワイジャン)に救われながらも、師門を名乗れぬほど暗く、過酷な道を歩んできた彼の心の傷は、まだ癒えることはないのでした。一人、湖のほとりでたたずむ彼の背中が、あまりにも切ない終わり方でしたね。
『山河令』第20話の感想
今回は、物語の核心に迫る非常に重厚なエピソードでした。特に、龍雀の最期と、それに伴う溫客行の感情の爆発には胸を締め付けられます。これまで飄々とした態度の裏に隠してきた彼の壮絶な過去と深い悲しみが、周子舒という唯一無二の知己の前でついに溢れ出す場面は、本作屈指の名シーンと言えるでしょう。溫客行が自らの正体を明かせず、周子舒が代弁するくだりは、二人の絆の深さと、溫客行が背負う業の重さを同時に描き出しています。一方で、趙敬の本格的な暗躍が始まり、物語全体の緊張感も一気に高まりました。各キャラクターのドラマが緻密に絡み合い、見応えのある回でした。
つづく