昏睡から目覚めた溫客行(ウェン・コーシン)は、周子舒(ジョウ・ズーシュー)と意見を違え、激しく対立する。そして、これまで謎に包まれていた彼の壮絶な過去と、復讐を誓った理由が、ついに顧湘(グー・シアン)に語られる。一方、周子舒の身体には、彼の命の期限が迫っていることを示す静かな異変が起きていた。そんな中、溫客行(ウェン・コーシン)は一つの大きな決断を下す。それは、かけがえのない家族である顧湘と曹蔚寧(ツァオ・ウェイニン) を、自らの血塗られた道から遠ざけ、旅立たせることだった。
「山河令」あらすじネタバレ23話
今回も『山河令』がとんでもないエピソードを叩き出してきましたね。溫客行(ウェン・コーシン)の過去の扉が少しずつ、しかしあまりにも痛々しく開かれていく23話。早速、その中身をじっくりと見ていきましょう!
昏睡する溫客行(ウェン・コーシン)と、明かされる過去の断片
前回の衝撃的な展開の後、溫客行は丸一日以上も昏睡状態に。そばで付きっきりで看病する顧湘(グー・シアン)の口から、彼が子供の頃から時々こうして気を失っていたことが語られます。もう、この時点で胸が締め付けられますよね…。
周子舒(ジョウ・ズーシュー)が顧湘(グー・シアン)と交代し、溫客行の脈を見ていると、不意にその手を強く掴まれます。目覚めた溫客行!しかし、彼の口から飛び出したのは、周子舒(ジョウ・ズーシュー)が沈慎(シェン・シェン)を逃したことへの激しい怒りでした。なぜ殺さなかった!と、両親の仇を討ち損ねたことに激昂します。
それに対し周子舒は、沈慎(シェン・シェン)たちは長年、良心の呵責に苦しんできた。罪はあっても死罪には当たらないと静かに諭します。そして、お前の力を向けるべき本当の敵は趙敬(ジャオ・ジン) だろうと。この周子舒の言葉に、溫客行はしぶしぶながらも怒りを収めるのでした。この二人の間の、信頼と緊張感が入り混じった空気がたまりません。
孟婆湯でも消せない、血の海の記憶
場面は変わり、蝎王(さそりおう)の元。彼は柳千巧(リウ・チェンチャオ)と、心を病んでしまった羅浮夢(ルオ・フーモン)を牢に捕らえていました。蝎王(さそりおう)は、執着を忘れさせるという孟婆湯の処方箋を探してくるよう柳千巧(リウ・チェンチャオ)に命じます。
そして、この孟婆湯こそが、溫客行の過去の核心に繋がっていたのです。
彼は顧湘に、自らの壮絶な過去を語り始めます。幼い頃、鬼谷の主に拾われた彼は、無理やり孟婆湯を飲まされていました。しかし、両親を惨殺された血の海の記憶は、薬ごときで消え去るものではなかったのです。その記憶が蘇るたびに激しい頭痛に襲われ、彼は苦しみ続けてきました。仇は、一人残らず殺す――その誓いが、彼の生きるすべてだったのです。
どうして今まで話してくれなかったの!と涙ぐむ顧湘に、溫客行はお前を巻き込みたくないと告げ、曹蔚寧(ツァオ・ウェイニン) と共に清風剣派へ行き、幸せに暮らすよう促します。自分の復讐は、あまりにも暗く、血塗られた道だから…。
兄の祈り、そして旅立ちの朝
溫客行の想いは本物でした。彼は曹蔚寧(ツァオ・ウェイニン) を呼び出し、顧湘を実の妹のように大切に思っていること、二人で数えきれないほどの苦労を乗り越えてきたことを打ち明けます。明日、あの子を連れて行ってくれ。そして、一生かけて幸せにすると誓ってくれと。まるで娘を嫁に出す父親のような、兄の切ない願いでした。曹蔚寧が天に誓うのを見て、溫客行は心から安堵の表情を見せます。その一部始終を聞いていた周子舒が、溫客行をからかうシーンは、束の間の癒しでしたね。
しかし、そんなやり取りの中で、不穏な伏線が…。周子舒が飲んでいたお酒を一口もらった溫客行は、酸っぱくて渋いと顔をしかめます。その瞬間、周子舒は自分の味覚が衰え始めていることを悟るのです。釘の呪いによって、彼の命の灯火が少しずつ消えかけていることを示す、あまりにも静かで残酷なシーンでした。
そして翌朝。曹蔚寧と顧湘の旅立ちの時が来ます。溫客行、周子舒、張成嶺(ジャン・チョンリン)が見送る中、うちの湘をくれてやると冗談めかす溫客行に、正式な手順を踏んで、必ずお嫁に迎えます!と力強く宣言する曹蔚寧。この二人の未来に、幸多からんことを祈らずにはいられません。
『山河令』第23話の感想
今回のエピソードは、登場人物それぞれの覚悟と愛情が深く描かれ、非常に見応えがありました。特に、溫客行が背負ってきた過去の重さが具体的に語られたことで、彼の行動原理に説得力が生まれ、キャラクターの奥行きが一層増したように感じます。孟婆湯を飲んでも消せないほどの憎しみと、顧湘の幸せを心から願う兄としての愛情。その二つを内包する彼の姿は、痛々しくも美しいものでした。一方で、静かに進行する周子舒の病状は、物語全体に切ない影を落とします。彼の穏やかな表情の裏にある覚悟を思うと、胸が締め付けられます。顧湘と曹蔚寧という希望の光が旅立っていくラストは、彼らの未来への祝福と、残された者たちの過酷な運命との対比が鮮やかで、心に残る名場面でした。
つづく