四季山荘に最大の危機が訪れます。忠実な部下である韓英(ハン・イン)を救おうと力を尽くす溫客行(ウェン・コーシン)。一方、周子舒(ジョウ・ズーシュー)は仲間たちを守るため、そして過去と向き合うために、ある重大な決断を下すことになります。時を同じくして、溫客行は悪夢によって封印されていた過去の記憶を呼び覚まされ、抑えきれない激情に駆られます。また、別の場所では顧湘(グー・シアン)と曹蔚寧(ツァオ・ウェイニン) も新たな争乱に巻き込まれており、それぞれの物語が大きく動き出す、緊迫感に満ちたエピソードです。
「山河令」あらすじネタバレ29話
いやあ、今回の『山河令』29話は、これまで積み上げてきたものが一気に崩れ落ちるような、息もつけない展開でしたね。穏やかだった四季山荘での日々が、まるで幻だったかのように、登場人物たちは過酷な運命の渦に飲み込まれていきます。
忠臣の死と知己の決断、燃え落ちる四季山荘
物語は、周子舒(ジョウ・ズーシュー)を探して平安(ピンアン)銀荘へ急ぐ場面から始まります。しかし、頼みの綱の銀荘は固く閉ざされ、焦りが募るばかり。
その頃、四季山荘では、溫客行(ウェン・コーシン)が満身創痍の韓英(ハン・イン)を救おうと、必死に内力を注ぎ込んでいました。しかし、韓英の傷はあまりに深く、もはや手の施しようがない状態でした。韓英は、偽の瑠璃甲を巡る晋王(しんおう)の罠にはまった自分を救おうとする溫客行(ウェン・コーシン)に、これ以上内力を無駄にしないでほしいと懇願します。自分の計画が原因で忠実な韓英を死なせてしまったと、溫客行(ウェン・コーシン)は罪悪感に苛まれます。
そこへ天窗の刺客たちが襲来。張成嶺(ジャン・チョンリン)が応戦し、駆けつけた周子舒(ジョウ・ズーシュー)も加勢しますが、時すでに遅く、韓英は自ら心脈を断ち、息絶えていました。愛する弟分であり、忠臣であった韓英の亡骸を抱きしめ、溫客行は号泣。悲しみと内力の消耗で、ついに意識を失ってしまいます。
周子舒(ジョウ・ズーシュー)は、意識のない溫客行と韓英の亡骸を成嶺に託し、密室へ隠れるよう指示します。そして自らは、晋王(しんおう)の刺客・段鵬挙(ドゥアン・ポンジュー)の前に一人で進み出るのです。かつての仲間や思い出が詰まった四季山荘が、段鵬挙の命令一下、業火に包まれていくのを、周子舒は囚人車の中からただ見つめるしかありませんでした。美しい四季の風景が灰燼に帰す光景は、彼の心を深くえぐりました。
暴かれる正体と芽生える疑念
一方、顧湘(グー・シアン)と曹蔚寧(ツァオ・ウェイニン) は、清風剣派で穏やかな日々を過ごしていました。しかし、その平穏も長くは続きません。毒蝎が操る薬人の大群が清風剣派を襲撃したのです。
命からがら後山の洞窟へ逃げ込んだ一行でしたが、そこで范懐空(ファン・ホワイコン)は衝撃的な言葉を口にします。薬人を操っているのは鬼谷の谷主、溫客行だと。敬愛する溫客行が、江湖を恐怖に陥れる大悪党だと聞かされ、曹蔚寧(ツァオ・ウェイニン) は愕然とします。
悪夢が呼び覚ます過去の仇
意識を失っていた溫客行は、悪夢の中で忘れていた過去を思い出していました。幼い頃、両親と共に穏やかに暮らしていた村に、武庫の鍵を狙う趙敬(ジャオ・ジン) が現れたのです。両親は鍵の在り処を言わなかったために、趙敬(ジャオ・ジン) によって追い詰められ、殺されてしまいました。その一部始終を、幼い溫客行は隠れて見ていたのです。
悪夢から覚めた溫客行は、両親の仇が趙敬(ジャオ・ジン) であったことを確信し、復讐の怒りに燃えて密室を飛び出していきます。成嶺が必死に止めようとしますが、もはや彼の耳には届きません。
そこへ、焼け落ちた四季山荘に大巫(ダーウー)と七爺(チーイえ)が到着。彼らは周子舒が捕らえられたことを知り、暴走する溫客行をひとまず制圧。成嶺から事の次第を聞き、事態の収拾に乗り出すのでした。
『山河令』第29話の感想
今回のエピソードは、物語が大きく転換する、まさに嵐のような回でした。これまで育んできた絆やささやかな幸せが、容赦なく破壊されていく様に胸が締め付けられます。特に、周子舒がたった一人で罪を背負い、故郷である四季山荘が燃え落ちるのを見つめるシーンは、彼の絶望と覚悟が痛いほど伝わってきました。一方で、溫客行は韓英を救えなかった無力感と、蘇った過去の記憶によって、復讐という名の衝動に突き動かされていきます。お互いを深く想いながらも、すれ違い、別々の道を進まざるを得ない二人の運命が、あまりにも切ないです。各地で火の手が上がり、それぞれの正義と憎しみが交錯する中、物語がどこへ向かうのか、固唾をのんで見守るしかありません。
つづく