師・溫客行(ウェン・コーシン)が鬼谷の谷主であるという衝撃の事実を知った張成嶺(ジャン・チョンリン) は、復讐心に燃え、稽古に没頭する。一方、二人の間の誤解を解くため、周子舒(ジョウ・ズーシュー)は鬼谷へと向かうが、そこで彼を待ち受けていたのは、溫客行を追い詰める各門派との大規模な戦闘だった。武林の猛者たち、そして最強の剣仙・葉白衣(イエ・バイイー)も加わった乱戦のなか、物語は誰も予想しなかった悲劇的な結末を迎える。登場人物たちの運命が大きく交差し、物語が激しく動き出す、見逃せないエピソード。

「山河令」あらすじネタバレ32話

今回の『山河令』第32話は、ティッシュ箱を抱えて見ないと大変なことになりますよ…。物語が根底から覆るような、あまりにも衝撃的な展開が待ち受けていました。信じていたものが崩れ、守りたかったものが手のひらからこぼれ落ちていく…。そんな絶望と悲しみが凝縮された、忘れられないエピソードです。

すれ違う心、募る復讐心

前回、七爺(チーイえ)こと景北淵(ジン・ベイユエン)に助けられた張成嶺(ジャン・チョンリン)。沈慎(シェン・シェン)と高小怜(ガオ・シャオリエン)のもとに無事送り届けられましたが、彼の心は穏やかではありませんでした。沈慎(シェン・シェン)から、敬愛する師父・溫客行(ウェン・コーシン)こそが、両親の仇である鬼谷の谷主だと聞かされてしまったのです。信頼と裏切りの間で引き裂かれた成嶺は、泣き崩れた後、ひたすら武術の稽古に打ち込みます。その目的はただ一つ、溫客行(ウェン・コーシン)への復讐でした。

一方、周子舒(ジョウ・ズーシュー)は七爺(チーイえ)と大巫(ダーウー)の治療のおかげで傷も癒え、久しぶりに穏やかな時間を過ごしていました。しかし、そこへ成嶺の世話係が駆け込んできたことで事態は一変。成嶺が溫客行への復讐を誓っていると知った周子舒(ジョウ・ズーシュー)は、二人の間の誤解を解くため、自ら鬼谷へ向かうことを決意します。

白鹿崖の死闘、絶望の淵へ

周子舒が青崖山の麓にたどり着いたとき、すでに状況は最悪の局面を迎えていました。なんと、趙敬(ジャオ・ジン) が率いる武林の各門派が鬼谷討伐を掲げ、溫客行を白鹿崖に追い詰めていたのです。

崖の上で、たった一人で大勢を相手にする溫客行。彼はすでに重傷を負い、追い詰められていました。趙敬(ジャオ・ジン) たちが嘲笑する中、溫客行は懐から武庫の鍵を取り出し、これが欲しければ俺を殺せと挑発します。そこへ、復讐心に燃える成嶺も沈慎と共に現れ、事態はさらに混沌としていきます。

溫客行は、いっそ成嶺の手にかかって死のうと覚悟を決め、一切抵抗しないと約束します。しかし、まさに成嶺が剣を振りかざそうとしたその時、空から舞い降りた人影がいました。周子舒です。

誰であろうと、彼を傷つけることは許さない

周子舒はボロボロの溫客行を背にかばい、固い決意で皆をにらみつけます。しかし、その時、最強の刺客が現れます。伝説の剣仙、葉白衣(イエ・バイイー)です。

葉白衣(イエ・バイイー)は問答無用で溫客行に襲いかかり、周子舒が助けようとするも、鬼たちに阻まれ身動きが取れません。その乱戦のさなか、成嶺が放った暗器が溫客行の胸に命中。よろめいた溫客行は、そのまま足を踏み外し、深い崖の下へと落ちていってしまいました。

周子舒も後を追って崖から飛び降りますが、時すでに遅く、彼の腕は空を切るだけでした…。溫客行の死(とされる状況)を目の当たりにした趙敬は高笑いをあげ、蝎王(さそりおう)は武庫の鍵を探すよう皆を扇動するのでした。

知己を失った悲しみと、新たなる決意

周子舒が意識を取り戻したのは、宿の一室でした。階下から聞こえてくる噂話で、溫客行の遺体が見つかったことを知り、彼はあまりの衝撃に血を吐いてしまいます。

その頃、趙敬は祝宴を開き、今回の最大の功労者として蝎王(さそりおう)を皆に紹介し、自分の義理の息子であると宣言します。

周子舒は、五湖盟に安置された溫客行の亡骸と対面します。知己の無残な姿をこれ以上辱められたくない一心で、彼は燃え盛る薪を遺体のそばへ蹴り込み、燃え盛る炎の中で静かにその場を去りました。駆けつけた顧湘(グー・シアン)は、主人の死を知り、悲しみのあまり気を失ってしまいます。

たった一人の知己を失った周子舒の悲しみは計り知れません。彼は溫客行が崖から落ちた場所で酒をあおり、これまでの旅路を思い出します。そして、自らの命を縮めることを覚悟の上で、体内に埋め込まれた七竅三秋釘をすべて抜き去りました。残された時間で、溫客行が果たせなかったことをやり遂げるために。

一方、趙敬は英雄大会の再開を宣言し、自らが武林の盟主になるという野望に酔いしれます。しかし、その裏では、葉白衣が後悔の念に苛まれ、蝎王は趙敬の卑劣な本性を知り、彼に深い幻滅を覚えていたのでした。

『山河令』第32話の感想

この第32話は、物語の根幹を揺るがす悲劇的なエピソードでした。周子舒と溫客行がようやく互いを唯一無二の知己と認め合い、穏やかな未来が見えかけた矢先の出来事だっただけに、その衝撃は計り知れません。特に、周子舒が崖から落ちていく溫客行に手を伸ばすも届かないシーンは、あまりにも美しく、そして残酷で、胸が締め付けられました。

また、このエピソードは、周子舒の行動を通して知己という存在の重みを改めて突きつけてきます。彼は溫客行の亡骸を自らの手で火葬し、彼の遺志を継ぐために己の命を削る覚悟を決めました。これは単なる友情を超えた、魂の結びつきの証明です。一方で、趙敬の薄っぺらい勝利宣言や、彼に利用され心を冷ましていく蝎王の姿が、真の絆とは何かを対照的に描き出しており、物語に更なる深みを与えています。

つづく