宮中から来た孔(こう)ばあやが去り、盛(せい)家の三姉妹は再び学堂での勉学を再開する。そこで家督を継ぐのは嫡子か賢者かという、皇位継承問題にも通じる難しい議題で討論が始まることに。姉たちから意見を求められ、追い詰められた明蘭(めいらん)は、これまで隠してきた類まれな知性で、見事にその場を切り抜ける。一方、母の死の真相を探る彼女は、敵をおびき出すため、密かにある計画を実行に移していた。
「明蘭~才媛の春~」あらすじネタバレ10話
いやはや、第9話の罰のシーンは見ていてハラハラしましたが、今回の第10話は、その後のそれぞれの思惑が渦巻く、実に味わい深い回でしたね!宮中からやってきた孔(こう)ばあやが盛(せい)家に残した爪痕は、思った以上に大きかったようです。
罰の後、それぞれの胸の内
罰を受けた墨蘭(ぼくらん)は、父・盛纮(せいこう)に甘え、わざとらしく泣きじゃくります。林噙霜(りんきんそう)も得意の被害者戦法で、自分が王若弗(おうじゃくふつ)を怒らせたせいだと涙ながらに訴える始末。盛纮(せいこう)はまんまとその手に乗り、娘の傷を心配してすっかり骨抜きに。
その様子を、盛家の老奥様は冷静に見ていました。眠っているふりをしている者は起こせないと、孔嬷嬷(こうまま)が林噙霜(りんきんそう)の化けの皮を完全には剥がさなかった真意を明蘭(めいらん)に説きます。孔嬷嬷(こうまま)の狙いは、盛纮(せいこう)自身に妾の寵愛も度が過ぎれば、家の災いとなり、ひいては自らの官吏としての評判にも傷がつくと悟らせることだったのです。この深い教えに、明蘭は心から感服するのでした。
一方、大奥様の王若弗(おうじゃくふつ)を寝かしつけながらも怒りが収まりません。しかし、そばに仕える侍女の方がよほど冷静で、庶子と連呼してご主人様の痛いところを突いたのがまずかったと的確に指摘します。でも、プライドの高い王若弗(おうじゃくふつ)には、なかなかその助言が響かない様子…。
明蘭の静かなる逆襲
そんな中、明蘭は母・衛恕意(えいじょい)の死の真相を探るため、静かに動き出していました。母の元侍女・小蝶(しょうちょう)が濡れ衣を着せられた件に、林噙霜(りんきんそう)夫人が関わっていると確信した明蘭。訪ねてきた衛(えい)おばにわざと夜更けに揚州へ帰るよう指示し、敵が尻尾を出すのを待つという罠を仕掛けます。案の定、その動きを察知した林噙霜たちは、衛おばを始末しようと追っ手を差し向けるのでした。明蘭の知略が光る瞬間ですね!
学堂での論戦!明蘭の才能が開花する
孔嬷嬷が去り、三姉妹は再び学堂での勉強を再開します。そこで出された議題は家を継ぐべきは嫡子か、賢者か。これは、当時の都で話題となっていた皇位継承問題になぞらえたものでした。
顧廷燁(こていよう)は嫡子を立てるべし、盛長柏(せいちょうはく) もそれに賛同。一方、盛長楓(せいちょうふう)は賢者を立てるべしと主張し、議論は白熱します。
墨蘭と如蘭は、それぞれ自分の母親の立場(側室か正室か)から意見を述べますが、話はまとまりません。そこで、まだ発言していなかった明蘭に白羽の矢が立ちます。
姉たちに追い詰められる明蘭を見かねて、斉衡(せいこう)が助け舟を出そうとしますが、顧廷燁(こていよう)はそれすらも明蘭を追い詰めるだけだと見抜き、彼女に発言を促します。覚悟を決めた明蘭は、こう切り返しました。
嫡子であるお二方(顧廷燁(こていよう)にお尋ねします。もし自分より賢い庶子の兄弟がいたとして、その者に爵位を譲れますか?
この見事な切り返し!問題を自分から相手に投げ返すことで、明蘭は議論の中心からするりと抜け出してみせました。この才覚には、先生も顧廷燁も斉衡(せいこう)も舌を巻くばかり。しかし、おかげで姉たちの嫉妬の炎にさらに油を注ぐことになってしまいました。
斉衡の想いと明蘭の壁
授業の後、斉衡は必死に明蘭を追いかけます。以前贈ろうとした筆を受け取ってもらえなかった理由を問い、これからはこっそり良いものを贈るとまで言う始末。しかし明蘭は、あなた様のご厚意は、私にとって災いのもとですと冷たく突き放します。彼女の立場では、斉衡の寵愛はあまりにも危険すぎたのです。悲しげに去っていく明蘭の後ろ姿を見つめ、斉衡は必ず君を守り抜くと心に誓うのでした。
冬になり、科挙の試験が近づきます。明蘭は兄たちのために夜なべをして膝当てを作りますが、こっそり斉衡の分も用意していました。そんな折、斉衡から盛家へ贈り物が。そして明蘭にだけ、特別な紫毫筆が添えられていたのです。
『明蘭~才媛の春~』第10話の感想
今回のエピソードは、まさに明蘭の知性が光る回でした。これまでは爪を隠し、ただ耐え忍ぶだけに見えた彼女が、その聡明さを武器として使い始めたのが印象的です。特に学堂での討論シーンは圧巻でした。姉たちや若様たちの間で追い詰められながらも、たった一言で形勢を逆転させる鮮やかさ。孔嬷嬷の賢さを内に秘め、時が来るまで待てという教えが、早くも彼女の中で処世術として花開いた瞬間を見た気がします。
一方で、斉衡との関係が切ないですね。彼女の賢さと慎重さが、皮肉にも彼との恋路を阻む壁となってしまっている。彼のまっすぐな想いを受け止められない明蘭の苦しい胸の内が伝わってきて、胸が締め付けられました。ただ甘いだけの恋物語ではない、身分や家のしがらみが複雑に絡み合うからこそ、このドラマは深みを増しているのだと改めて感じさせられました。
つづく