科挙に落第した顧廷燁(こていよう)は、その衝撃的な理由を知り、父や兄への不信感から絶望の淵に立たされる。彼はついに顧家との決別を決意し、愛する人と新たな人生を歩もうとするが、父との間に決定的な亀裂が生じてしまう。一方、盛家では主君である盛纮(せいこう)が突然宮中に留め置かれるという一大事が発生。家中が混乱に陥る中、妻の王若弗(おうじゃくふつ)はこれを好機と捉え、長年対立してきた側室・林噙霜(りんきんそう)を失脚させるべく大胆な計画を実行に移す。二つの名家で、運命を揺るがす嵐が吹き荒れる。
「明蘭~才媛の春~」あらすじネタバレ12話
いやはや、今回の『明蘭』は息つく暇もありませんでしたね!顧家と盛家、二つの名家で同時に大事件が勃発。それぞれの家族が抱える闇と、ここぞとばかりに動き出す人々の思惑が渦巻く、見応え抜群のエピソードでした。
絶望の淵の顧廷燁(こていよう)、父との決別
まずは顧廷燁(こていよう)サイドから。科挙に落第した理由は、なんと答案で朝廷に物申したことが皇帝の耳に入ってしまったから。しかも罰として50年間は科挙を受けさせないという、あまりにも無慈悲な宣告!武芸だけでなく文才にも秀でた彼の、官吏になるという夢が完全に断たれてしまいました。
さらに彼を追い詰めたのが、その失言はかつて兄の顧廷煜(こていよく)にだけ話した内容だったという事実。顧廷燁(こていよう)は兄の裏切りを確信しますが、病弱な兄を問い詰めても父の顧偃開(こえんかい)は信じてくれません。また兄のせいにするのかと、放蕩息子扱いです。信じてほしい人に信じてもらえない…この絶望感、胸が痛みますね。
完全に心を折られた顧廷燁は、顧家を捨てる決意をします。そんな中、ちゃっかりと動き出すのがあの朱曼娘(しゅまんな)。顧廷燁の将来に不安を感じた彼女は、娘の蓉姐児(ようじょじ)を連れて侯爵家の前に現れるという大胆な行動に!案の定、母子は捕らえられ、顧偃開の前でただおそばに置いてもらえるだけで…と哀れな女を演じます。
娘と愛する女が捕らわれたと聞き、顧廷燁は侯爵家に乗り込みます。父と息子は激しく衝突。顧廷燁はついに、亡き母・白氏(はくし)の死の真相を父に問い詰めます。激しく動揺しつつも否定する父。しかし、二人の間の溝はもはや修復不可能なほどに深まっていました。顧廷燁は朱曼娘(しゅまんな)と蓉姐児を救い出し、憎しみと絶望を胸に顧家を去っていくのでした。その様子を物陰から見て、ほくそ笑む顧廷煜の姿が不気味でしたね…。
盛家の危機!そして王若弗(おうじゃくふつ)、覚醒す
一方、盛家もとんでもない事態に。主である盛纮(せいこう)が、朝議のあと宮中に軟禁されてしまったのです!理由はわからず、家中は大パニック。特に奥様である王若弗(おうじゃくふつ)のうろたえっぷりといったら…!
しかし、ここで頼りになるのが盛家のゴッドマザー、大奥様です。泣いていても始まらない。今すべきは家の門戸を固く守ることと、王若弗(おうじゃくふつ)を一喝。この冷静さ、さすがです。
そんな中、盛家の長男・盛長柏(せいちょうはく) は友人のために奔走し、斉衡(せいこう)にこっそり伝言を送るなど、若者たちの動きも描かれます。
そして、この主人不在という最大の危機を、最大の好機と捉えた人物がいました。そう、王若弗です!大奥様に叱られて一度は逆上したものの、ふと今こそ、あの林噙霜(りんきんそう)を始末するチャンスでは?と閃いてしまうのですから、彼女もなかなかのものです。
林噙霜(りんきんそう)も、かつて実家が没落した経験から、盛家の危機を察知。こっそり屋敷や田畑を売り払って現金化しようと画策します。しかし、これが完全に裏目に出ました。買い手の徐員外(じょいんがい)と会っているところを、王若弗の手の者たちに男と密会していた現場として押さえられてしまったのです!
屋敷に引きずられてきた林噙霜(りんきんそう)に、王若弗は不貞を働いたという偽の証文を突きつけ、無理やり署名させます。娘の盛墨蘭(せいぼくらん) が泣いて止めようとしますが、もう止まりません。そこへ明蘭が現れ、お祖母様が倒れられました。あとは若弗様にお任せするようにと…と告げます。この一言が決定打となり、林噙霜は下女たちに引きずられていくのでした。これまで散々煮え湯を飲まされてきた王若弗の、積年の恨みが爆発した瞬間でしたね。
『明蘭~才媛の春~』第12話の感想
今回は顧家と盛家、二つの名家で同時に起こる大事件が対照的に描かれ、物語の歯車が大きく動き出した回でした。顧廷燁が家族に裏切られ、父と決裂していく悲劇的な展開は非常に胸が痛みます。彼の純粋さや豪快さが、結果的に自らを追い詰めてしまう皮肉な運命に、見ているこちらも辛くなりました。一方で、その状況を利用しようとする朱曼娘(しゅまんな)のしたたかさには、ある種の感心すら覚えます。
対する盛家では、主人不在という危機を逆手に取った王若弗の逆襲劇が痛快でした。これまで林噙霜にしてやられてばかりだった彼女が、知恵と行動力で一気に形勢を逆転させる様は見事です。そして、その裏で静かに状況を見つめ、決定的な一言で流れを作る明蘭と、おそらくは全てを承知の上で倒れてみせたであろう大奥様。盛家の女性たちの強かさと絆が垣間見え、今後の展開から目が離せなくなる、非常に密度の濃いエピソードでした。
つづく