無事に都へ戻った盛家の面々。明蘭(みんらん)は、祖母との穏やかな日々が戻ってきたことを喜びます。しかし、呉大娘子(ごだいじょうし)から聞かされたのは、想い人・斉衡(せいこう)を巡るあまりにも衝撃的な知らせでした。彼の苦境と自分への深い想いを知り、心を痛める明蘭。祖母の心配をよそに、たとえ茨の道であろうと彼を裏切らないと固い決意を固めます。そんな中、元宵節の夜に都を揺るがす大事件が発生し、物語は不穏な空気に包まれていきます。
「明蘭~才媛の春~」あらすじネタバレ26話
いやはや、今回の26話は本当に胸が締め付けられる回でしたね…。穏やかな日常の描写から一転、主人公たちの覚悟が試される、息をのむような展開が待っていました。
旅路を終え、盛家のおばあ様が無事に都へ帰還するところから物語は始まります。華蘭の無事な出産という吉報に屋敷が沸く一方で、明蘭は亡き母・衛恕意(えいじょい)の位牌に手を合わせます。そこへ、母の姉である衛姨媽(えいいま)から都へやって来るとの手紙が届き、明蘭の心に小さな灯りがともります。
その頃、顧廷燁(こていよう)は愛娘・蓉姐児(ようじょじ)のために学堂を探そうと、親友の盛長柏(せいちょうはく) に相談を持ち掛けていました。長柏の婚家である海家の学塾に入れてもらえるかもしれないと話が進む中、蓉姐児(ようじょじ)が顧廷燁(こていよう)おじさまが明蘭おばさまを助けてくれた!と、護送の件をうっかり漏らしてしまう場面は、思わずクスッとしてしまいましたね。慌ててごまかす顧廷燁と、察しの良い長柏のやり取りが絶妙でした。
しかし、そんな和やかな雰囲気は長くは続きません。玉清観へ向かう道中、盛家の馬車は呉大娘子(ごだいじょうし)一行と鉢合わせします。この呉大娘子(ごだいじょうし)、挨拶もそこそこに、とんでもない話を放り込んできました。
なんと、斉衡(せいこう)が母である平寧郡主(へいねいぐんしゅ)と大喧嘩の末、何か月も絶食しており、彼の世話をしていた侍女が郡主によって生きたまま打ち殺されたというのです!しかも、その侍女は明蘭に面差しが似ていたとか…。呉大娘子がわざと明蘭に聞かせるように話しているのは見え見えでしたが、その内容はあまりにも衝撃的でした。
話を聞いた明蘭は、すっかり魂が抜けたようになってしまいます。自分を想うがゆえに斉衡(せいこう)が苦しみ、罪のない侍女まで犠牲になった…。その事実に、彼女がどれほど打ちのめされたかは想像に難くありません。
その夜、おばあ様は斉衡はあなたの縁談相手ではないと、孫娘の身を案じて優しくも厳しく諭します。しかし、明蘭の決意は固いものでした。自分のために命がけで抵抗してくれる斉衡の想いを裏切ることはできない、たとえ斉国公(せいこくこう)府が虎狼の巣窟だとしても、彼のためなら喜んで苦労しますと涙ながらに訴える姿には、彼女の健気さと芯の強さが表れていて、胸が熱くなりました。孫娘の覚悟を受け止めたおばあ様もまた、彼女のために全力で策を練ることを決意するのでした。
そして元宵節の夜。灯会に繰り出した明蘭のもとに、斉衡の腹心・不為(ふい)が面を付けて現れます。やせ細ってしまった主を案じる不為(ふい)に、明蘭は彼が私を裏切らないのなら、私も彼を裏切りませんという、固い誓いの言葉を託します。
ところがその直後、都に不穏な空気が立ち込めます。反乱軍の侵入を恐れた朝廷によって灯会は急遽中止に。しかし、その裏ではもっと恐ろしい事件が起きていました。なんと、栄妃の妹である栄飛燕(えいひえん)が、大勢の目の前で何者かに連れ去られたのです。彼女は後日、血まみれの姿で発見されたものの、その夜、自ら首を吊って命を絶ってしまったのでした…。
都が騒然とする中、明蘭は衛姨媽(えいいま)に会うため玉清観へ。そこでかつての侍女・小蝶(しょうちょう)とも涙の再会を果たします。小蝶(しょうちょう)から渡されたのは、亡き母の唯一の形見である腕輪。お嬢様が嫁ぐ日には、必ずこれを持って行ってください。母の想いを受け取った明蘭の行く末には、一体何が待ち受けているのでしょうか。
『明蘭~才媛の春~』第26話の感想
今回は、登場人物それぞれの覚悟が深く描かれた回でした。特に印象的だったのは、明蘭とおばあ様の夜の対話です。斉衡への想いを断ち切れない孫娘に対し、ただ反対するのではなく、その危うい恋路がいかに困難かを説き、それでも進もうとする彼女の覚悟を受け入れ、支えようとするおばあ様の愛情の深さに心を打たれました。明蘭もまた、ただ恋に盲目なのではなく、斉衡が自分のために払った犠牲を知った上で、その想いに応えようとする強い意志を見せました。彼女の純粋さが、これから彼女自身を傷つけることにならないか、見ている側としてはひどく心配になります。一方で、都を震撼させた栄飛燕(えいひえん)の悲劇的な事件が、今後、明蘭たちの運命にどう影を落としていくのか。甘い恋物語だけでは終わらない、不穏な時代のうねりを感じさせる見事な構成でした。
つづく