亡き母・衛恕意(えいじょい)の死の真相を探る明蘭(みんらん)は、ついに当時の担当医を見つけ出し、母の死にまつわる衝撃的な事実を知ります。父・盛纮(せいこう)に訴えかけますが、冷たく突き放されてしまい、失意に暮れます。一方、顧家で開かれた宴に出席した明蘭は、思いがけず斉衡(せいこう)との再会の機会を得ます。やつれた姿の斉衡から変わらぬ愛を告げられ、彼の覚悟に心を揺さぶられる明蘭。しかし、この密会が、誰も予想しなかった悲劇の引き金となってしまいます。
「明蘭~才媛の春~」あらすじネタバレ27話
いやあ、今回の『明蘭』は心がえぐられるような展開でしたね…。母の死の真相に一歩近づくサスペンスフルなパートと、斉衡(せいこう)との恋が迎えるあまりにも悲しい結末。二つの物語が同時進行で描かれ、息つく暇もありませんでした。
母の死の真相…明かされた残酷な医者の指示
物語は、明蘭が母・衛恕意(えいじょい)の死の真相を追う場面から始まります。かつて衛小娘に仕えていた小蝶(しょうちょう)たちが、ついに当時の担当医・張郎中(ちょうろうちゅう)を見つけ出してきました。
最初は昔のことで覚えていないとしらを切っていた張郎中(ちょうろうちゅう)でしたが、明蘭が当時の状況を詳しく話すと、重い口を開きます。彼は、林噙霜(りんきんそう)を診察した後に、妊娠中の衛恕意(えいじょい)を診察したことを思い出しました。そして、彼の口から語られたのは、衝撃的な事実でした。
奥様(衛恕意)は胎児が大きめだったので、食事はあっさりしたものにし、たくさん歩くようにと指示しました
この言葉に、明蘭は血の気が引く思いだったでしょう。なぜなら、あの頃の林噙霜(りんきんそう)は、毎日こってりとした豪華な食事を体に良いからと届けさせ、彼女がよこした侍女は衛恕意が散歩に出かけるのをことごとく妨害していたのですから…。すべてが、医者の指示とは真逆!林噙霜の底知れぬ悪意が、静かに、しかしはっきりと輪郭を現した瞬間でした。
いてもたってもいられず、明蘭は父・盛纮(せいこう)に母は誰かに害されたのかもしれませんと訴えます。しかし、盛纮(せいこう)の関心はもうそこにはなく、過ぎたことだ、もうその話はするなと冷たくあしらうだけ。父の無関心と薄情さに、明蘭の心は冷え切ってしまいます。
華やかな宴の裏で…交錯する思惑と純粋な恋
場面は変わり、顧家の華やかな宴へ。父・顧偃開(こえんかい)の葬儀に際し、弔ってくれた各家への感謝を伝えるための宴です。
盛家の娘たちも母・王若弗(おうじゃくふつ)に連れられて出席しますが、そこは女たちの戦場。盛墨蘭(せいぼくらん) は良縁を求めて梁晗(りょうかん)に色目をつかい、斉衡(せいこう)の縁談相手と噂される余嫣紅(よえんこう)は明蘭に嫌味たっぷりに絡んできます。さらに、斉衡との馬球の一件を根に持つ邕王妃(ようおうひ)からもチクリと刺されてしまいますが、明蘭は柳に風と受け流し、その場を離れます。
そんな明蘭を追いかけてきたのが、呉大娘子(ごだいじょうし)。彼女は明蘭の聡明さや気骨を気に入っているようで、今度、馬球をご一緒しない?と誘いをかけます。
そして、この宴の裏で、斉衡の忠実な従者・不為(ふい)が動いていました。彼は呉大娘子(ごだいじょうし)をうまく引き離し、斉衡と明蘭が二人きりで会えるよう手引きしたのです。
久しぶりに会った斉衡は、すっかり痩せこけていました。彼は明蘭の手を取り、彼女の好物であるお菓子を渡しながら、切々と語りかけます。
世間が何を言おうと、僕が娶る大娘子(正室)は君だけだ
そのまっすぐな言葉に、明蘭の心も揺れます。しかし、斉衡は母上の許しを得るためなら、命も懸けるとまで言い出し、明蘭は慌ててそれを止めます。すると斉衡は、近々宮中で開かれる春の宴で、皇帝に直接、明蘭との結婚の許しを請うという、大胆な計画を打ち明けるのでした。
訪れた束の間の安らぎと、残酷すぎる結末
斉衡が去った後、一人お菓子を食べる明蘭の前に、ひょっこり現れたのは顧廷燁(こていよう)。彼は父の槍を取り返しに来たものの、明蘭と斉衡の会話をすっかり聞いていたようです。二人の関係を『長生殿』の悲恋に例えてからかう顧廷燁(こていよう)と、明蘭の軽妙な口げんかが、束の間の安らぎを感じさせます。
しかし、その直後、物語はあまりにも残酷な結末を迎えます。
斉衡と明蘭の密会が、母である平寧郡主(へいねいぐんしゅ)の耳に入ってしまったのです。激怒した郡主は、手引きをしたのが不為(ふい)だと知るや、彼を捕らえ、庭で打ち殺すよう命じます。
知らせを聞いて駆けつけた斉衡は、母の足元にひれ伏し、すべて自分の罪だと泣き叫び、許しを請いますが、時すでに遅し。彼の目の前で、忠実な従者・不為は、無残にも打ち殺されてしまうのでした…。
純粋な恋心が招いた、取り返しのつかない悲劇。斉衡の悲痛な叫びが、宴の喧騒を切り裂いて響き渡るのでした。
『明蘭~才媛の春~』第27話の感想
今回は、静かなる知略戦と、情熱が引き起こす悲劇という、二つの対照的な物語が胸に迫る回でした。前半、明蘭が母の死の真相に迫る過程は、確たる証拠がない中で、父の心を動かそうと試みる心理戦が見事です。しかし、父・盛纮の冷淡さが、彼女の知恵だけでは越えられない壁として立ちはだかり、観ているこちらも無力感を覚えました。
対照的に、後半の斉衡はあまりにも純粋で情熱的です。彼の君だけを娶るという言葉は甘美ですが、その一途さが結果として忠実な従者・不為の命を奪うという結末は、あまりに酷で、彼の甘さを浮き彫りにします。愛のために知恵を巡らす明蘭と、愛のために感情のままに突き進もうとする斉衡。二人の生き方の違いが、今後の運命を大きく左右していくのだろうと感じさせられ、深い余韻が残りました。
つづく