斉衡(せいこう)との縁談が破談となり、失意の底にいた明蘭(みんらん)。そんな彼女を、祖母は心優しい賀弘文(がこうぶん)と結びつけようとします。一方、有力な伯爵家の呉大娘子(ごだいじょうし)が、なぜか盛家の娘たちに興味を示し、馬球会へと招待状を送ってきました。彼女の真の目的は一体誰なのか。娘たちの幸せな結婚を願う親たちの思惑が交錯し、盛家に新たな波乱の予感が漂います。明蘭の周りで、またしても恋の駆け引きが始まろうとしていました。

「明蘭~才媛の春~」あらすじネタバレ29話

斉衡(せいこう)との縁談が白紙に戻り、すっかり気落ちしてしまった明蘭(めいらん)。そんな彼女を見かねた顧廷燁(こていよう)は、過ぎたことを悔やむな、前を向いて生きろと力強く励まします。彼の言葉に、明蘭の心にも少しだけ光が差したようでした。結局、人生は自分の足でしっかりと歩んでいくしかないのですから。

さて、そんな明蘭を心配するもう一人の人物が。それは、おばあ様が新たな縁談相手として考えている賀弘文(がこうぶん)です。彼はわざわざ故郷の宥陽(ゆうよう)から新鮮な魚を取り寄せ、落ち込む明蘭のために滋養たっぷりの魚のスープを届けに来てくれました。宥陽にいた頃、魚のスープが好きだったでしょうと優しく微笑む賀弘文。その温かい心遣いに、ふさぎ込んでいた明蘭の表情も自然と和らぐのでした。そばで見守る小桃(しょうとう)たちも、二人の穏やかな雰囲気に一安心です。

そんな中、盛(せい)家に新たな波乱の種が舞い込みます。永昌伯爵家の呉(ご)大娘子が、なぜか盛家の娘たちにご執心なのです。彼女は盛んに馬球会への招待状を送ってくるのですが、そのお目当ては、なんと明蘭! 王若弗(おうじゃくふつ)はてっきり自分の娘・如蘭(じょらん)が気に入られたのだと早とちりしますが、呉大娘子(ごだいじょうし)が熱い視線を送るのは、もっぱら明蘭の方でした。

馬球会当日、明蘭は水を得た魚のように生き生きと活躍します。その姿に呉大娘子(ごだいじょうし)はすっかり魅了され、うちの息子・梁晗(りょうかん)の嫁に!と決意を固めた様子。

一方、梁晗に気のある墨蘭(ぼくらん)は面白くありません。彼女はなんとか梁晗に近づこうと、彼がいる詩会へ向かおうとしますが、その魂胆を見抜いた明蘭が、こっそり泥団子を投げて阻止! 大事な服を汚された墨蘭は、詩会へ行くのを諦めざるを得ませんでした。明蘭の、見事なファインプレーです。

呉大娘子は、息子の梁晗に明蘭さんを正室に迎えなさいと説得しますが、梁晗は庶出の娘なんてと乗り気ではありません。それどころか、色気のある墨蘭の方に興味がある始末。これには呉大娘子も激怒。あんな狐みたいな娘を嫁にしたら、あなたの将来は終わりよ!と一喝し、墨蘭との接触を固く禁じるのでした。

呉大娘子の明蘭への熱烈なアプローチは止まりません。今度は花会を開き、招待客は明蘭ただ一人という徹底ぶり。この知らせに、盛家の女性たちの思惑が渦巻きます。

王若弗(おうじゃくふつ)は、明蘭に良縁が舞い込んだことへの嫉妬と、宿敵である林噙霜(りんきんそう)と墨蘭が悔しがるであろうことへの喜びで、複雑な心境。当の如蘭は伯爵家だからって幸せとは限らないわと至って冷静です。

そして、最も焦っているのが墨蘭とその母・林噙霜(りんきんそう)。目の前で良縁をかっさらわれそうになり、墨蘭は食事も喉を通りません。追い詰められた林噙霜(りんきんそう)は、男心を掴むにはね…と、これまで自分が使ってきた”妾の処世術”を娘に授け始めるのでした。そのやり方は、正室を目指すにはあまりにも品がなく、危ういものばかり。母娘の暴走が、盛家に新たな嵐を呼び込もうとしていました。

『明蘭~才媛の春~』第29話の感想

今回は呉大娘子という新たなキーパーソンが登場し、物語が大きく動き出しましたね。息子・梁晗の嫁に明蘭を、と熱烈にアプローチする姿は、見ていて痛快ですらあります。一方で、盛家の女性たちの反応が実に対照的で、人間の本質が垣間見えるようでした。良縁を逃したくない王若弗(おうじゃくふつ)の嫉妬と、娘を玉の輿に乗せたい林噙霜の執念がぶつかり合い、静かな火花を散らしています。そんな周囲の思惑をよそに、冷静に行動する明蘭の聡明さが際立つ回でした。賀弘文の変わらぬ優しさも、荒波の中で心が安らぐ貴重な場面となっています。

つづく