盛墨蘭(せいぼくらん) が念願の梁家へと嫁ぐ日、盛家はお祝いムードとは程遠い、重苦しい空気に包まれていた。娘の結婚のために家の面目を汚した母・林噙霜(りんきんそう)に対し、父・盛纮(せいこう)はついに厳しい罰を下すことを決意する。その裏で、亡き母の無念を晴らすため長年耐え忍んできた盛明蘭(みんらん)もまた、静かに最後の計略を実行に移す。盛家の内宅で繰り広げられてきた女たちの長きにわたる権力争いが、一人の女性の死によって、衝撃的な形で一つの終焉を迎える。
「明蘭~才媛の春~」あらすじネタバレ33話
ついにこの時がやってきましたね…。長年、盛家の奥様方を、そして我々視聴者をやきもきさせてきたあの林噙霜(りんきんそう)の物語が、衝撃的な結末を迎える第33話。娘・盛墨蘭(せいぼくらん) の嫁入りという、一見華やかな出来事の裏で、静かに、しかし確実に進められていた復讐劇の幕が下ります。今回は、まさに因果応報という言葉がふさわしい、見応えのある回でした。
盛墨蘭(せいぼくらん) の嫁入りと林噙霜(りんきんそう)の断罪
念願叶って梁家へと嫁ぐ盛墨蘭(せいぼくらん) 。しかし、その嫁入り道具は姉の盛華蘭(せいからん)の半分にも満たないものでした。それでも彼女は母上がいざという時にと残していくあたり、したたかさは母親譲りなのでしょう。
盛大なはずの嫁入りの日、盛家にはお祝いムードなど微塵もありません。父・盛纮(せいこう)は墨蘭に自分で選んだ道だ。今後つらいことがあっても泣きついてくるなと冷たく言い放ちます。母・林噙霜(りんきんそう)は側室ゆえに表立って見送ることも許されず、駆け寄ろうとすれば取り押さえられる始末。娘の晴れ姿をまともに見ることもできず、ただ涙するしかないのでした。
宴の喧騒をよそに、盛纮(せいこう)の怒りは頂点に達します。林噙霜は祠堂へと引きずられ、まだ伯爵家の岳母よ!などと叫んでいますが、もはや誰も耳を貸しません。盛纮(せいこう)の命令で、容赦ない板打ちの罰が下されます。あれほど寵愛した女性が打ちのめされ、気を失う姿に、盛纮は一筋の涙をこぼします。なぜ、私を騙し続けてくれなかったのだと。その愛憎入り混じった涙は、長年の過ちを悔いる涙でもありました。この一部始終を、明蘭は壁の向こうで静かに聞いていたのです。
罰が終わると、林噙霜は城外の屋敷へと送られ、二度と都には戻れぬよう言い渡されます。彼女の人生は、事実上ここで終わりを告げたのでした。
明蘭、母の仇を討つ
自室に戻った盛明蘭(せいめいらん)は、亡き母・衛恕意(えいじょい)が遺した絵の前にひざまずき、ついに仇を討ったことを報告します。
しかし、彼女の復讐はまだ終わっていませんでした。明蘭は大奥様の言いつけだと偽り、林噙霜が送られた屋敷へと向かいます。そこで待っていたのは、見る影もなく落ちぶれ、ただ悪態をつくことしかできない林噙霜の姿でした。
お前が仕組んだのか!と悟った林噙霜に対し、明蘭は静かに一枚の絵を取り出します。それは、かつて墨蘭が明蘭に贈った舐犢情深(しとくじょうしん)の図。母牛が子牛を舐めて慈しむ姿を描いたその絵を、明蘭は母の絵の隣に飾り、来る日も来る日も母の仇を忘れるなと自分に言い聞かせていたのです。
自分が梁家に嫁ぐ気など毛頭なかったこと、すべては母の仇を討つための計略だったことを暗に告げる明蘭。その静かな怒りの前に、林噙霜は完全に打ちのめされ、ただ震えるしかありませんでした。
衝撃の結末と新たな火種
数日後、盛家に衝撃的な知らせが届きます。林噙霜が、板打ちの傷がもとで死んだというのです。長年の宿敵の死に、王若弗(おうじゃくふつ)は喜びを隠せませんが、同時に夫・盛纮の非情な決断に底知れぬ恐怖を感じるのでした。
大奥様もまた、この結末に言葉を失います。悪人には相応の報いがあったとはいえ、人が一人死んだという事実に胸を痛めます。その時、明蘭が大奥様のもとを訪れ、一枚の書状を差し出しました。それは、かつて母の死に関わった医師の証言録。
林噙霜の死によって一つの復讐は終わりましたが、それは同時に、母の死の真相を明らかにする新たな戦いの始まりでもあったのです。
『明蘭~才媛の春~』第33話の感想
長年にわたり盛家を掻き回してきた林噙霜の最期は、想像以上にあっけなく、そして強烈なものでした。あれほどの権勢を誇った彼女が、愛した男の手によって断罪され、誰にも看取られず寂しく死んでいく姿は、まさに因果応報と言えるでしょう。盛纮の、愛していながらも家のために罰せざるを得ない苦悩と、最終的に非情な決断を下す冷徹さには、人間の複雑な感情が凝縮されていました。
そして何より、今回の主役は明蘭です。静かに、しかし執拗に復讐の機会を待ち続けた彼女の執念には、ただただ圧倒されます。林噙霜との対決シーンでは、激しい言葉を交わすのではなく、静かな佇まいと一枚の絵だけで相手を絶望の淵に突き落とす。その演出が見事でした。彼女が背負ってきた悲しみの深さを改めて感じさせられる、非常に重厚な一話だったと思います。
つづく