盛家に起きた大きな醜聞の裏で、明蘭(みんらん)は祖母にだけある重大な秘密を打ち明ける。それは、彼女が長年胸に秘めてきた強い決意の表れだった。一方、反乱鎮圧で功績を上げた顧廷燁(こていよう)は、旧友である趙策英(ちょうさくえい)・宗全親子と再会する。しかし、彼らが皇帝から密詔を受け取り、危険な陰謀に巻き込まれていることを知る。顧廷燁は彼らを守るため、新たな戦いに身を投じることを決意する。都では皇太子冊封の準備が進み、それぞれの思惑が静かに動き始めていた。

「明蘭~才媛の春~」あらすじネタバレ34話

いやあ、今回の『明蘭』は息を飲む展開の連続でしたね!ついに、あの大人しかった明蘭が、内に秘めていた牙を剥きました。

ついに明蘭が告白!母のための復讐劇

物語は、盛家の奥深く、明蘭がおばあ様(大奥様)に衝撃の事実を打ち明ける場面から始まります。房(ぼう)ままが人払いをした緊迫した空気の中、明蘭は、林噙霜(りんきんそう) を陥れた一連の醜聞が、すべて自分の計画だったと告白します。

当初はただ墨蘭を怒らせるつもりだったのが、彼女が梁(りょう)家の若様に気があることを知り、この計画を思いついたこと。そして、母である王若弗(おうじゃくふつ)に二人の密会現場を目撃させたのも、すべて自分が仕組んだことだと。

これを聞いたおばあ様は、激しく動揺し明蘭を叱責します。なんて馬鹿なことを!もし計画のどこかで一つでも間違いが起きていたら、お前の人生はどうなっていたと思うんだい!と。

しかし、明蘭も引き下がりません。母の仇は、この世で共に生きてはいけないほど深いものです!たとえ死んで墓の下から這い出してでも、この恨みは晴らします!と、涙ながらに叫びます。

その気迫に、おばあ様は思わず明蘭の頬を打ちます。しかし、すぐに我に返り、愛しい孫娘を強く抱きしめました。私がもっと早くお前の力になってやれなかったばかりに…と、後悔の涙を流すおばあ様。そして、このことはもう忘れなさい。二度と口にしてはならないよと固く口止めするのでした。祖母と孫の深い絆が、涙なしには見られない名シーンでしたね。

顧廷燁(こていよう)、命を狙われる天子の血筋を救う

一方、都の外では顧廷燁(こていよう)が新たな戦いに身を投じていました。反乱軍を鎮圧して手柄を立てた彼は、旧知の仲である趙策英(ちょうさくえい)の元を訪れます。そこで知らされたのは、趙策英の父・趙宗全(ちょうそうぜん)が皇帝から密詔を受け取ったという驚愕の事実。

趙家は太宗皇帝の血筋でありながら、長年冷遇されてきた一族。その彼らに新帝を全力で補佐せよとの密命が下ったのです。これは、彼らが次期皇帝候補の争いに巻き込まれることを意味していました。案の定、趙宗全は正体不明の刺客に命を狙われます。

絶体絶命のピンチに駆けつけたのは、もちろん我らが顧廷燁(こていよう)!たった一人で数十人の敵をなぎ倒し、趙宗全を救い出します。捕らえた刺客を、壁一面に並べた拷問具で脅しつけ、黒幕が兗(えん)王であることを吐かせるシーンは、彼の知略と冷徹さが際立っていました。

臆病風に吹かれて隠れようとする趙宗全に対し、顧廷燁はいっそのこと、都へ乗り込み、皇帝に直接会って兗王(えんおう)の罪を暴きましょう!と大胆な策を提案。度重なる刺客の襲撃を乗り越えるうちに、趙宗全もついに覚悟を決め、顧廷燁、趙策英と共に商人になりすまし、動乱渦巻く都・汴京(べんけい)を目指すことを決意するのでした。

それぞれの思惑が交錯する都

その頃、都では皇太子冊封の準備が進んでいました。顧廷燁の実家である寧遠侯爵家では、当主の座を巡る静かな戦いが。小秦氏(しょうしんし)は、病弱な現当主・顧廷煜(こていよく)が亡き後、自分の息子・顧廷煒(こていい)が爵位を継ぐ日を虎視眈々と狙っています。

盛家では、明蘭とおばあ様が穏やかに碁を打っていました。皇太子の冊封準備で宮仕えに出ている夫・盛長柏(せいちょうはく) を恋しがる兄嫁・海朝雲(かいちょううん)に、明蘭は差し入れを持って会いに行けると教えます。家を離れられない海朝雲に代わり、明蘭が彼の元へ魚のスープを届けることになりました。

母の仇討ちという大きな仕事を終えた明蘭。そして、天子の血筋を担いで都へ向かう顧廷燁。二人の運命が、この後どう交錯していくのか。新たな物語の幕開けを予感させる、非常に中身の濃い一話でした。

『明蘭~才媛の春~』第34話の感想

今回は、これまで静かに耐え忍んできた明蘭の、内に秘めた激情と覚悟が明らかになる重要な回でした。彼女が祖母に復讐計画のすべてを打ち明ける場面は、本作屈指の名シーンと言えるでしょう。か弱い少女が、母の無念を晴らすためにどれほど深く、そして緻密に策略を巡らせていたかを知り、胸が締め付けられる思いでした。祖母が明蘭を一度は打ちながらも、すぐに後悔と愛情で抱きしめる姿には、二人の絆の深さを改めて感じさせられます。一方で、顧廷燁のパートでは、彼の武人としての圧倒的な強さと、目的のためなら非情にもなれる策略家としての一面が描かれ、その魅力が一層深まりました。盛家の内なる嵐と、国の命運を揺るがす外の嵐。二つの物語が同時進行し、やがて大きな川となって合流していくであろうことを予感させる、見事な構成だったと思います。

つづく