澄園の女主人となった明蘭(みんらん)は、顧家から送り込まれてきた古参の女中たちが引き起こす問題に直面する。特に女中頭の頼媽媽の横暴は目に余るものがあった。しかし明蘭はすぐには動かず、使用人同士の対立を静観し、巧みに状況を操り始める。その狙いは、屋敷にはびこる悪習を一掃することにあった。一方、夫の顧廷燁(こていよう)はそんな明蘭を全面的に信頼し、すべてを彼女に委ねる。夫婦の絆が深まる裏で、ついに屋敷内の女たちの激しい権力争いが勃発する。

「明蘭~才媛の春~」あらすじネタバレ45話

雨にずぶ濡れで帰ってきた顧廷燁(こていよう)。なんだかちょっと拗ねた様子で、明蘭(めいらん)のことを見ようともしません。そんな彼に、明蘭はちゃんと傘を届けさせたじゃないですかと優しく声をかけます。でも、顧廷燁(こていよう)は馬で参内したんだとポツリ。どうやら、馬で走っている人間に傘を渡しても意味がないだろう、と言いたいみたいですね。甘えん坊な一面を見せる顧廷燁(こていよう)は、明蘭の膝に頭を乗せ、最近の世間の噂のせいで心を痛めているんじゃないかと尋ねます。

実は、英国公夫人の誕生祝いの宴に、顧廷燁と明蘭は招待されませんでした。都の名士たちは、顧廷燁のことを快く思っていないのです。明蘭は夫婦は一心同体。良いことも悪いことも共に受けますと健気な言葉で夫を励ましますが、本当は世間の評判をとても気にしていました。そんな明蘭を愛おしく思った顧廷燁は、彼女に口づけをし、夜は一緒に食事をしようと約束するのでした。

さて、澄園(ちょうえん)の屋敷内では、不穏な空気が漂い始めていました。顧家から送り込まれてきた女中頭の頼媽媽(らいばあや)が、備品がなくなったのを若い女中のせいにして、王五(おうご)の嫁と口論になります。明蘭はその場を通りかかりますが、今はまだ動く時ではないと静観します。

その後、明蘭は王五の嫁を呼び出し、庭の花木の手入れという、うまみのある仕事を与えました。頼媽媽と喧嘩したばかりの彼女に良い役目を与えることで、明蘭はどちらが自分の味方なのかを他の使用人たちに暗に示したのです。風向きが変わったことを、皆が感じ取り始めました。

一方、明蘭は継娘の蓉姐(ようじょう)に勉強を教えようとしますが、蓉姐がすでに多くの書物を暗唱していることに驚かされます。教えることがなくなった明蘭に、蓉姐は馬球を習いたいとお願いしました。まだ幼い蓉姐のために、明蘭は子馬を買ってあげることを約束します。その様子を見ていた常(じょう)ばあやは、明蘭が亡き朱曼娘(しゅまんな)の息子である昌哥児(しょうか)のことも気にかけていると知り、その賢明で優しい心根に深く感心するのでした。

案の定、頼媽媽と王五の嫁は再び激しい口論を始めます。蓉姐が喧嘩よ!と嬉しそうに駆け込んできても、明蘭は動じません。焦る常ばあやに、明蘭はこの屋敷の膿を一度にすべて出し切るのです。そのためには、ばあやの協力が必要なのですと、自らの計画を打ち明けます。

その頃、斉(せい)国公府では、平寧(へいねい)郡主と斉国公(せいこくこう)が明蘭たちの噂話をしています。病から回復した斉衡(せいこう)は、両親が明蘭を悪く言うのを聞き、思わず彼女をかばってしまいます。そして、自分の再婚については両親に一任すると告げ、新たな一歩を踏み出す決意を見せるのでした。

夜になり、常ばあやは計画通り、顧家から来た他の女中頭たちと酒を酌み交わし、頼媽媽を追い出せば、奥様(明蘭)はあなたたちを決してないがしろにはしないと焚きつけます。彼女たちは、その言葉に心を動かされ始めました。

後日、明蘭は沈(しん)皇后の妹である小沈氏(しょうしんし)と釣りを楽しみ、すぐに意気投合します。その裏では、ついに最終決戦の火蓋が切られました。頼媽媽が厨房から野菜を盗んだことをきっかけに、田媽媽(でんばあや)が激しく彼女を追及。口論は殴り合いの大乱闘に発展し、多くの女中たちを巻き込む大騒ぎとなります。

知らせを受けた顧廷燁は、前庭で沈従興(しんしょうこう、小沈氏の兄)と武術の稽古をしながらも、奥のことは明蘭に任せてあると介入しません。その絶対的な信頼に、沈従興は驚きを隠せません。

やがて沈兄妹が帰ると、顧廷燁はこんな騒ぎが外に知れたら笑いものだぞと明蘭に尋ねます。しかし明蘭は、小沈氏が自分の味方になってくれるはずだから心配ない、と自信に満ちた笑みを浮かべるのでした。

『明蘭~才媛の春~』第45話の感想

これまで受け身の姿勢を貫いてきた明蘭が、ついに澄園の女主人として采配を振るい始めた、非常に見応えのある回でした。彼女の真の賢さは、ただ耐え忍ぶことではなく、状況を的確に読み、最適なタイミングで大胆な手を打てることにあるのだと改めて感じさせられます。使用人たちの対立を静かに見つめ、あえて火種を大きくしてから一網打尽にしようとする策略は、まさに圧巻です。その一方で、夫である顧廷燁の前では甘えたり、拗ねたりする可愛らしい姿も見せ、そのギャップが彼女の人間的な魅力を深めています。顧廷燁が明蘭を全面的に信頼し、屋敷のすべてを委ねる姿は、理想的な夫婦の絆を示しており、見ていて心温まるものがありました。物語が大きく動き出したことを実感する、重要なエピソードだったと思います。

つづく