顧廷燁(こていよう)は、新居である澄園(ちょうえん)のお披露目宴会を催す。しかし、その宴は穏やかなものではなかった。夫・顧廷燁との間に生まれた小さなすれ違いに、明蘭(みんらん)の心は揺れる。そんな中、宴には継母・小秦氏(しょうしんし)やその盟友・康姨母(こうおば)、そしてかつての想い人・斉衡(せいこう)が妻を伴って姿を現す。それぞれの思惑が渦巻き、飛び交う悪意と嫌味。明蘭は、侯爵家の女主人として、そして一人の女性として、過去のしがらみと対峙し、重大な決断を下すことになる。

「明蘭~才媛の春~」あらすじネタバレ56話

新居のお披露目宴会が開かれるわけですが、まあ集まるべくして集まったというか、一筋縄ではいかない顔ぶればかり。穏やかに終わるはずもなく、水面下では火花バチバチ、あちこちで舌戦が勃発!読んでるだけで胃が痛くなりそうな展開ですが、そこを切り抜けていく明蘭の姿には、思わずよく言った!と膝を打ちたくなります。

夫婦の腹の探り合い、その行方は?

前回、小秦氏(しょうしんし)の差し金で側室・銭鳳仙(せんほうせん)を迎えることになった顧廷燁(こていよう)。夫の心の内を確かめたい顧廷燁(こていよう)は、わざと今夜は新人の部屋で過ごすと明蘭に告げ、嫉妬してくれることを期待します。

ところが、我らが明蘭は超クール。どうぞごゆっくり。新人との初夜ですものねなんて笑顔で送り出しちゃうんですから、顧廷燁(こていよう)のプライドはズタズタ。結局、銭鳳仙の部屋で一晩中お茶をすすり、何度も様子をうかがわせるも、明蘭はとっくに寝てしまったとの報告が。怒りと寂しさで眠れぬ夜を過ごした顧廷燁は、夜更けにこっそり明蘭の寝室に戻り、その安らかな寝顔を見て、ため息をつきながら隣で眠るのでした。

侍女の丹橘(たんきつ)は、なぜ明蘭が自ら側室を迎えるようなことをしたのか理解できません。しかし明蘭には深い考えがありました。夫が厄介な姑・小秦氏(しょうしんし)と争って疲弊するくらいなら、自分が側室を受け入れたほうがマシ。それに、いずれ自分が妊娠した時に新しい側室を送り込まれるより、今のうちに夫の気持ちを試しておくべきだと。なんという先見の明…!

しかし、そんな明蘭の深謀遠慮も、恋する乙女心(?)を分かってほしい顧廷ähänには通じません。翌朝、怒り心頭の顧廷燁と、彼のイライラの原因を銭鳳仙が小秦氏の間者だからだろうと見当違いな考察をする明蘭。夫婦の間に、微妙なすれ違いの風が吹き始めます。

嵐の幕開け!新居披露宴

さて、いよいよ澄園(ちょうえん)でのお披露目宴会当日。招待客が続々と集まりますが、これがまたクセ者ぞろい。

まず現れたのが、沈(しん)従興と正妻の張(ちょう)氏。しかし、その後から側室の小鄒(しょうすう)氏が我が物顔で輿に乗って乗り込んできて、正妻である張氏(ちょうし)の顔に泥を塗ります。

盛家の姉妹たちも集まりますが、長姉の華蘭(からん)は、小秦氏の招待で墨蘭(ぼくらん)が来ているのを見るや、母・王若弗(おうじゃくふつ)からさっと引き離すファインプレーを見せます。

そして、この宴の最大の波乱要因、斉衡(せいこう)氏を連れて登場。申氏(しんし)は挨拶もそこそこに、明蘭をわざとおば様と呼び、結婚後も夫があなたを想って憂鬱にしているのよ、と嫌味たっぷりに牽制します。しかし、明蘭は一枚上手でした。姪のお嫁さんと呼び返し、殿方のために女同士が争うなんて無意味。あなたの本当の敵は、あなた自身の心の中にあるのでは?とピシャリ。一本取られた申氏(しんし)は、ぐうの音も出ずに引き下がるしかありませんでした。

小秦氏と康姨母(こうおば)の悪意タッグ

宴が始まると、主催者である小秦氏が本領を発揮します。優しい継母の仮面をかぶりながら、明蘭は若くて大変でしょうと同情するフリをして、用意された菓子をこんなものと貶し、管家権を奪われたと涙ながらに訴え始めます。

待ってましたとばかりに、康姨母(こうおば)が加勢。明蘭さんは、幼い頃に実のお母様を見捨てて、お祖母様に取り入ったそうじゃありませんか!と根も葉もない噂で明蘭を貶めるのです。周りの貴婦人たちはヒソヒソ…。明蘭が原因で邵(しょう)氏が禁足にされたというデマまで流れ、それを聞いた張氏(ちょうし)は激怒。宴の空気は最悪に。

決別!明蘭、過去を断ち切る

様々な悪意が渦巻く中、明蘭はついに決断します。侍女の小桃(しょうとう)を呼び出し、二人きりで対峙するのです。

これからは私のことを『おば様』とお呼びなさい

冷たく言い放つ明蘭に、斉衡(せいこう)はなぜそんなに酷いことができるんだと激しく詰め寄ります。しかし、明蘭の決意は揺るぎません。

亡くなった母は生き返らない。過ぎ去った時間も二度と戻ってはこないのです。私は顧家に嫁いだ身。これが私の一生です

さらに明蘭は、彼が何度も夫・顧廷燁を弾劾したことに触れ、その時、侯爵家で必死に足場を固めようとしている私の立場を考えたことがありますか?と鋭く問いただします。

後悔の念に駆られた斉衡は、思わず明蘭の腕を掴みますが、彼女はそれを振り払います。あなたのために泣いたことなど一度もない。あなたのその執着には、もううんざりなんです。

その言葉は、斉衡の心を打ち砕くには十分でした。その場に立ち尽くし、涙を流す斉衡を背に、明蘭は毅然と去っていくのでした。

帰り道、明蘭はこれで良かったのだと呟きます。彼の優柔不断さが、自分だけでなく彼自身をも傷つけている。この決別は、お互いのために必要なことだったのです。

一方、宴会場では別の火種が燃え上がっていました。沈家の側室・小秦氏が、正妻の張氏に向かって子も産めぬくせにと公然と侮辱し、大騒動が巻き起こるのでした。

『明蘭~才媛の春~』第56話の感想

今回のエピソードは、明蘭の人間としての成長と覚悟が際立つ、非常に見応えのある回でした。これまでどこか受け身で、自分の感情を押し殺してきた彼女が、自らの意志で過去と対峙し、断ち切る姿には胸を打たれました。特に斉衡との決別の場面は圧巻です。彼の未練をただ突き放すのではなく、その行動が今の自分の立場をいかに危うくするかを突きつけ、侯爵家の夫人としての責任と覚悟を示すセリフは、彼女がもはや昔の無力な少女ではないことを雄弁に物語っていました。

一方で、顧廷燁との夫婦関係に生まれた小さな亀裂も気になるところです。互いを深く想い合っているはずなのに、腹の探り合いがすれ違いを生んでしまう様子は、とても現実的で切なく感じられます。小秦氏や康姨母といった敵役たちの、人の心の隙を突くような陰湿な攻撃も巧妙で、物語に一層の深みを与えています。様々な人間模様が複雑に絡み合い、今後の展開から目が離せなくなる、そんな重要な一話だったと思います。

つづく