顧廷燁(こていよう)と明蘭(みんらん)の間に、些細なことからすれ違いが生じ、二人は気まずい雰囲気になってしまう。そんな中、朝廷では新皇帝の実父の称号を巡って議論が紛糾。顧廷燁は自らの信念を貫き、皇太后の怒りを買ってしまい、厳しい罰を受けることに。一方、明蘭は長年連れ添った侍女の将来を思い、ある大きな決断をする。夫婦の絆が試されると同時に、宮廷内での権力争いが激化し、物語は新たな局面を迎える。

「明蘭~才媛の春~」あらすじネタバレ59話

今回の『明蘭』は、前半の夫婦喧嘩の可愛らしさと、後半の宮廷でのピリピリした緊張感のギャップがたまりませんでしたね。顧廷燁(こていよう)の意外な一面に、思わずニヤニヤしてしまった人も多いんじゃないでしょうか?

拗ねる将軍様と、呆れる奥様

物語は、顧廷燁(こていよう)のちょっとしたすれ違いから始まります。なんだかよく分からない理屈をこねて明蘭に絡む顧廷燁(こていよう)。話にならないと明蘭がその場を去ろうとすると、なんと彼は大きな体で明蘭に抱きつき、もっと俺をかまってくれ!と駄々をこねる始末!側近の石頭(せきとう)が慌てて引きはがしに来るほどの騒ぎです。結局、顧廷燁はへそを曲げてしまい、書斎に引きこもって寝るようになってから、もう五、六日が経っていました。

この夫婦の不和を、ほくそ笑みながら見ているのが小秦氏(しょうしんし)。侍女の銭鳳仙(せんほうせん)から逐一報告を受け、ご満悦の様子です。

一方、明蘭は医者を呼びますが、診察をさせずに帰してしまいます。心配した石頭が顧廷燁に報告するも、彼も意地を張って自分からは行かないと強情な態度を崩しません。

丹橘、涙の嫁入り

そんな中、明蘭は長年自分に仕えてくれた侍女・丹橘(たんきつ)のために、縁談をまとめていました。しかし丹橘は奥様と一生を共に過ごしたいと、嫁入りを固辞します。

明蘭は、丹橘の相手であるいとこの人柄がいかに素晴らしいか、そして彼がずっと丹橘を待ち続けていることを優しく説き伏せます。両親がいない丹橘のために、立派な嫁入り道具を揃え、盛大に送り出してあげようとする明蘭の温情に、丹橘は涙が止まりません。主従を超えた深い絆が感じられる、感動的なシーンでした。

朝廷に嵐!皇考問題で顧廷燁、大暴れ

場面は変わり、緊迫した朝廷へ。新皇帝・趙宗全(ちょうそうぜん)の実父である先舒王(せんじょおう)の称号をどう定めるかで、朝議は紛糾します。

顧廷燁は、皇帝の父なのだから皇考(こうこう)と称するべきだと強く主張。これに対し、皇太后の意向を汲む斉衡(せいこう)とすべきだと真っ向から対立します。

自分は幼くして実の母を亡くしたからこそ分かる。何ものも実の親には代えがたい!と熱弁をふるう顧廷燁。二人の議論はヒートアップし、ついに皇太后が激怒。その者を引っ立てて、杖刑二十回に処せ!と命じます。しかし顧廷燁は臆することなく、自ら罰を受けるために堂々と下がっていくのでした。

怪我しても甘えん坊な夫と、聡明な妻

杖刑を受け、血だらけで屋敷に担ぎ込まれた顧廷燁。それでも意地を張り、明蘭の部屋へは戻ろうとしません。しかし、夫の負傷を聞きつけた明蘭が、慌てて駆けつけます。彼の背中の痛々しい傷を見て、明蘭は息をのみました。

自分を心配して会いに来てくれた明蘭に、顧廷燁は大喜び。さっきまでの意地はどこへやら、ここぞとばかりに甘え始めます。その子供のような姿に、明蘭は呆れながらも、どこか安心したような表情を浮かべるのでした。

食事の世話をしながら、明蘭は皇帝も皇太后を止めないなんて、少しひどいのではとこぼします。しかし、続けて彼女は驚くべき推察を口にするのです。

でも、あなたが打たれたのは、悪いことばかりではないかもしれません

昔、父の盛纮(せいこう)が盛おばあ様から今は頭を低くして、情勢をよく見極めなさいと諭された話を例に出し、これも皇帝が何かを狙って打った芝居ではないかと分析します。

その聡明な分析に、顧廷燁は俺の妻は賢い!と感心しきり。同時に、彼女が自分を心配してくれたことが嬉しくてたまりません。

そして、彼は改めて尋ねます。お前の心の中の『大奥様』とはどんな姿なのだ?俺は妾(銭鳳仙)を迎えたのに、お前は少しも嫉妬しないじゃないかと。

すると明蘭は冷静にこう答えるのでした。あの方は小秦氏(しょうしんし)が送り込んできた駒で、あなたも心に留めていない。私が何を嫉妬する必要があるのですか?と。この一言に、顧廷燁はまたもやぐうの音も出ないのでした。

『明蘭~才媛の春~』第59話の感想

今回は、顧廷燁の新たな魅力が炸裂した回でした。朝廷では誰にも臆せず正論をぶちまける剛胆さを見せる一方で、明蘭の前ではもっとかまってと駄々をこねる子供っぽさ。このギャップが人間味にあふれていて、彼をより一層好きになりました。そして、そんな夫を大きな愛情と冷静な視点で見守り、的確に状況を分析する明蘭の聡明さには、ただただ感服するばかりです。また、丹橘との別れの場面は、主従という関係性を超えた深い愛情が描かれており、胸が熱くなりました。夫婦の痴話喧嘩という微笑ましい日常と、宮廷の権力闘争という非日常が巧みに織り交ぜられ、物語に更なる深みを与えています。一見、顧廷燁が窮地に陥ったように見えましたが、明蘭の言う通り、これも皇帝の大きな策略の一部なのかもしれないと考えると、今後の展開から目が離せません。

つづく