新帝の亡き父母の追尊を巡り、朝廷の対立は激化。太后が追尊を認める手諭に印を押したことで、事態は収束するかに見えたが、斉衡(せいこう)はこれに猛反発する。彼は太后に直接会いに行くが、そこで聞かされた言葉を信じ、正義感から思わぬ行動に出てしまう。一方、顧廷燁(こていよう)と明蘭(みんらん)の夫婦関係にも、朝廷の緊張が微妙な影を落としていた。小秦氏(しょうしんし)がその隙を狙う中、顧廷燁と明蘭はお互いを静かに思いやる。政治の嵐と家の内の静かな絆が交錯する。
「明蘭~才媛の春~」あらすじネタバレ60話
今回の『明蘭』は、朝廷の権力争いが一気にヒートアップしましたね!見ていてハラハラしっぱなしでした。純粋な正義感だけでは渡っていけない、政治の世界の恐ろしさをまざまざと見せつけられた回でした。
太后の策略、斉衡(せいこう)、動く
物語は、太后が新帝・趙宗全(ちょうそうぜん)の亡き父母の追尊を認める手諭に、あっさりと印を押す場面から始まります。これには韓章(かんしょう)もびっくり。あまりにもすんなり進んだことに、逆に不気味さを感じますよね。
案の定、これが新たな火種となるんです。韓章(かんしょう)が意気揚々と朝議で手諭を披露すると、斉衡(せいこう)が猛反発!太后様が垂簾聴政を行っていない日の決定は無効だ!と一歩も引きません。新帝・趙宗全(ちょうそうぜん)は事を荒立てたくないのに、斉衡の正義感は燃え盛るばかり。
そんな中、斉衡は太后に直接会いに行きます。すると太后は韓章に無理やりお酒を飲まされて、酔ったところを騙されて印を押してしまったのです…と涙ながらに訴えるではありませんか!
これを真に受けた純粋な斉衡は、新帝の不孝を確信し、怒りに燃えます。仲間を集め、翌日の朝議で韓章を弾劾することを誓うのでした。父の斉国公(せいこくこう)は、息子が何かに気づくまで痛い目を見るしかないと、静観する構えです。親心としては、見ていて辛いものがありますね。
朝廷での大波乱!利用された正義
そして運命の朝議。太后は体調不良を理由に政治からの引退を申し出ますが、斉衡は手諭は偽造だ!と食い下がります。追い詰められた韓章たちは、太后本人を召喚して証言を求めるしかありませんでした。
皆の前に現れた太后は、お見事なまでの被害者っぷり。私はもう印を押したというのに、なぜ陛下はここまで私を追い詰めるのですかと新帝に向かって拝礼までしてみせます。この一世一代の大芝居で、形勢は一気に逆転!韓章や沈従興(しんじゅうこう)は、まんまと太后の罠にはまったことに気づきますが、時すでに遅し。
自分が太后にまんまと利用されたとも知らず、斉衡はこんな不正がまかり通るならと自らの罷免を願い出ます。さらに韓章たちを邪悪な者どもとまで罵り、朝廷は大混乱に。結果、新帝は怒りを抑え、斉衡とその同調者たちを左遷することになってしまいました。正義を貫こうとした結果、一番大切なものを見失ってしまった斉衡の姿が、あまりにも痛々しかったです。
揺れる顧家と、夫婦の絆
一方、顧家では明蘭が朝廷での夫の身を案じていました。顧廷燁(こていよう)はそんな明蘭に心配しているのは侯爵としての俺か、それとも夫の二郎かなんて、ちょっと拗ねたような態度。夫婦の間に少しだけ距離ができたのを見て、小秦氏(しょうしんし)はほくそ笑み、康姨母(こうおば)と組んで不仲の噂を盛家の祖母の耳にまで入れようと画策します。
しかし、こんな時でも顧家の次世代はしっかりしています。蓉姐児(ようじょじ)は父と明蘭の関係を心配し、嫻姐児(かんじょじ)は小秦氏(しょうしんし)に探りを入れられても、亡き父・顧廷煜(こていよく)の争いに関わるなという遺言を固く守り、賢く立ち回ります。
そして、夜。書斎で眠ってしまった顧廷燁(こていよう)に、明蘭がそっと布団をかけてあげるシーン。言葉はなくても、そこには深い愛情が感じられます。翌朝、廷罰で傷を負った体で輿に乗った顧廷燁は、中にそっと置かれたクッションに気づきます。明蘭のさりげない優しさが、冷え切った彼の心を温めた瞬間でした。
『明蘭~才媛の春~』第60話の感想
今回のエピソードは、斉衡の純粋さが痛々しく、観ていて胸が締め付けられました。彼の抱く正義は一点の曇りもない本物なのでしょう。しかし、百戦錬磨の太后の前では、その純粋さはあまりにも無力で、都合の良い駒として使われてしまうのが政治の非情さなのだと改めて感じさせられます。父の斉国公(せいこくこう)が息子の暴走を止めず、痛みを伴う学びとして静観する姿も印象的でした。一方で、朝廷の嵐とは対照的に描かれる顧廷燁と明蘭の静かな絆には心救われます。言葉少なでも、夜中にそっと布団をかけたり、輿にクッションを置いたりといった行動にこそ、二人の本質的な信頼関係が現れているように思えました。激しい権力闘争と、静かで確かな愛情の対比が見事な回でした。
つづく