皇帝の命で夫・顧廷燁(こていよう)が塩務巡察の旅に出ることになり、出発直前に明蘭(みんらん)の懐妊が判明します。夫婦が喜びを分かち合う一方、夫の留守宅を預かる明蘭には、姑の小秦氏(しょうしんし)や厄介な親戚・康夫人(こうふじん)の嫌がらせが待ち受けていました。そんな中、明蘭を助けるべく、頼もしい乳母の常ばあやが駆けつけます。しかし、宮廷では顧廷燁を陥れようとする陰謀が渦巻き始め、顧家には新たな火種が持ち込まれようとしていました。

「明蘭~才媛の春~」あらすじネタバレ62話

夫である顧廷燁(こていよう)が、皇帝の勅命で塩務巡察という重要な任務に就くことになりました。側近に有能な武官がいないため、彼自ら赴くしかない状況だったのです。出発を前に、明蘭(めいらん)は自分が妊娠していることを告げます。 それを聞いた顧廷燁(こていよう)は、天にも昇る気持ちで大喜び!愛おしそうに明蘭を抱きしめ、お腹の子を心肝宝貝(しんかんほうばい)(目に入れても痛くないほど可愛い宝物)と呼び、その喜びようは側仕えの小桃(しょうとう)がうろたえるほどでした。

しかし、喜びも束の間、顧廷燁(こていよう)に連れ去られた息子・昌哥(しょうか)のことを思い出し、今度こそ我が子を守り抜かねばと固く決意します。彼は明蘭の身を案じ、信頼できる乳母の常(じょう)ばあやを揚州から呼び寄せ、さらに腕利きの護衛部隊を手配するなど、万全の体制を整えてから都を旅立っていきました。城壁の上から遠ざかる夫の背中を、明蘭は涙ながらに見送るのでした。

最強の味方、常ばあや見参!

顧廷燁の留守中、明蘭を支えるために祖母が訪れます。祖母は、何かと明蘭に突っかかってくる王(おう)家の康(こう)夫人など気にする必要はないと励まします。その言葉通り、康夫人(こうふじん)は姑の小秦氏(しょうしんし)の屋敷に入り浸っては、明蘭に会うたびに嫌味を言いたい放題。

そんな中、ついに最強の助っ人、常ばあやが顧(こ)家に到着します!侍女の丹橘(たんきつ)の横暴な振る舞いを聞いた常ばあやは、たちまち不快感を露わに。後日、またもや康夫人が明蘭を呼びつけた際、体調が優れない明蘭に代わって常ばあやが単身で乗り込みます。

小秦氏(しょうしんし)と康夫人が談笑しているところへ現れた常ばあやは、開口一番、痛烈な皮肉を飛ばします。長輩を敬えと反論する康夫人に対し、常ばあやは犬のような顔つきの輩と一刀両断!そのあまりの剣幕に康夫人は逆上し、つかみかかろうとしますが、小秦氏(しょうしんし)が慌てて制止。常ばあやは帰り際まで当てこすりの罵詈雑言を浴びせ続け、悔しさのあまり康夫人は足をもつらせて転んでしまう始末でした。この一件で、表向きは平静を装う小秦氏でしたが、内心では明蘭への憎しみを燃やし、次なる策略を巡らせるのでした。

宮廷に渦巻く陰謀と、新たな火種

一方、宮廷では静かなる嵐が吹き荒れていました。皇帝・趙宗全(ちょうそうぜん)貴妃が顧廷燁は野心家で、塩務巡察も渋々引き受けただけですと讒言します。さらに、彼の妻である明蘭は、かつて斉衡(せいこう)様と親密な仲でしたと根も葉もない噂を吹き込みます。

皇帝が動揺を見せないと見るや、劉貴妃(りゅうきひ)は皇太子の趙策英(ちょうさくえい)様が、顧廷燁や盛長柏(せいちょうはく) と徒党を組んでいると追い打ちをかけます。これは全て、皇太后の差し金でした。さすがの皇帝も、信頼する顧廷燁に対して、わずかながらも警戒心を抱き始めてしまいます。

その頃、顧家では康夫人の庶女である兆児(ちょうじ)が、母の非礼を詫びたいと明蘭を訪ねてきます。しかし、その本当の目的は、明蘭を康夫人が開く宴席に連れて行くことでした。庶女の辛い立場を察した明蘭は、仕方なくその招きに応じます。

すると宴席で、小秦氏が涙ながらに顧家は世継ぎが少なく、家が寂しいと嘆き始め、なんとその場で兆児を顧廷燁の側室に迎えようと提案するのでした。夫の留守中に、家庭と宮廷の両方から、明蘭に新たな試練が迫ります。

『明蘭~才媛の春~』第62話の感想

今回は、まさに嵐の前の静けさならぬ嵐の中の小休止と、次なる嵐の到来といった趣の回でした。前半のハイライトは、なんといっても常ばあやの登場でしょう。これまで何かと理不尽な目に遭ってきた明蘭にとって、これほど頼もしい味方はいません。康夫人を相手に一歩も引かず、痛快な啖呵を切る姿には、見ているこちらも胸がすく思いでした。

しかし、その爽快感も束の間、物語は宮廷の陰湿な権力争いと、顧家の内紛という二つの軸で不穏な空気を増していきます。特に、立場の弱い庶女・兆児を利用して明蘭を追い詰めようとする小秦氏と康夫人のやり口は、これまでの嫌がらせとは一線を画す悪質さを感じさせます。夫が不在の中、お腹に新しい命を宿しながら、内外の敵に立ち向かわなければならない明蘭の境遇を思うと、心が痛みます。彼女の知恵と勇気が、この難局をどう切り開いていくのか、固唾をのんで見守りたいと思います。

つづく