盛家の宴席で、康姨母(こうおば)が明蘭(みんらん)に嫌がらせを仕掛ける中、明蘭に緊急の知らせが届きます。それは、友人で英国公(えいこくこう)の娘・張氏(ちょうし)が予期せず産気づいたというものでした。明蘭は急いで沈家に駆けつけますが、そこでは張氏を陥れるための卑劣な罠が待ち受けていました。寵妾・小秦氏(しょうしんし)の妨害により、張氏は命の危機に瀕します。友を救うため、明蘭はこれまでにない大胆な行動に出ることを決意。一つの家の後宅で起きた事件は、やがて朝廷をも揺るがす大きな波紋を広げていきます。
「明蘭~才媛の春~」あらすじネタバレ65話
嵐の前の静けさ?盛家の宴席
物語は盛家が王家を招いた宴席から始まります。そこにいるだけで空気をよどませる、あの康姨母(こうおば)が案の定、明蘭(みんらん)に絡んできます。あら、顧家の若奥様、どうしてご自分の侍女を連れてこないのかしら?なんて、ネチネチと。さらに、顧廷燁(こていよう)の出自をことさらに取り上げて、明蘭(みんらん)を貶めようとする魂胆です。
父・盛纮(せいこう)が蓉姐児(ようじょじ)は病気で…と取り繕いますが、康姨母は止まりません。その空気を一変させたのが、王家の大黒柱・王お婆様!康よ、いい加減になさい!の一喝で、康姨母もぐうの音も出ません。さすがの貫禄ですね!
そんな中、明蘭に侍女がそっと耳打ち。友人である英国公(えいこくこう)の娘・張氏(ちょうし)が産気づいたとの知らせ!明蘭はすぐさま席を立ち、沈家へと向かいます。
自業自得の康姨母と、明蘭の覚悟
一方、康姨母の悪だくみは夫である康海豊(こうかいほう)の知るところに。康家の庶女・兆児(ちょうじ)を顧家に送り込もうとした件がバレてしまったのです。盛家が先手を打って兆児を別の縁談のために故郷へ送り返したことを知った康海豊は激怒!お前を離縁してやる!と怒鳴りつけ、逆上した康姨母の頬を平手打ち!夫婦関係は完全に破綻し、康姨母の胸には盛家へのさらなる憎悪の炎が燃え盛るのでした…。これは後々、とんでもない事件に発展する予感しかしませんね。
さて、沈家に駆けつけた明蘭が目にしたのは、衝撃の事実でした。張氏の早産は、寵妾の小秦氏(しょうしんし)が突き飛ばしたことが原因。さらに、呼んだはずの太医が来ていない。なんと、小秦氏(しょうしんし)が兄と結託して太医を自分の屋敷に軟禁していたのです!
この卑劣な妨害に、明蘭の怒りは頂点に達します。小秦氏(しょうしんし)の屋敷に乗り込み、太医の居場所を問い詰める明蘭。しらを切る小秦氏の首に、明蘭はためらうことなく剣を突きつけます!
幼い頃にもこういう汚い手は見たわ。でも今の私は、もう引き下がらない!
そう言い放ち、邪魔する小秦氏の兄の腕を切りつける明蘭。彼女の瞳には、愛する友と、そのお腹の子を守るための固い決意が宿っていました。これまでの知略だけでなく、いざという時には剣も抜く。彼女の成長と覚悟がはっきりと示された、まさに名シーンでした!
後宅から朝廷へ、燃え広がる火種
明蘭の活躍で太医は無事救出され、張氏はなんとか母子ともに一命をとりとめます。駆けつけた英国公(えいこくこう)夫妻は、娘の無残な姿と沈従興(しんじゅうこう)の寵妾をかばう姿に激怒。娘を連れて帰る!離縁だ!と宣言し、事態は後宅の問題だけでは済まなくなります。
翌日、この一件は朝廷を揺るがす大問題に。英国公は国の重鎮。その娘が離縁となれば、政治的なバランスが崩れてしまいます。太后はここぞとばかりに、皇帝と対立する沈従興を弾劾させようと画策。板挟みになった皇帝は苦悩します。
この膠着状態を打ち破ったのが、皇后でした。明蘭からかつて顧廷燁(こていよう)が身を挺して先帝の子を守ったように、時には犠牲も必要ですと助言を受けた皇后は、覚悟を決めます。その夜、皇后は豪華な装飾をすべて外し、かんざしを抜いた質素な姿で皇帝の前にひざまずき、罪は罰せられるべきですと自らの監督不行き届きを詫び、沈家の厳罰を願い出たのです。
この皇后の賢明かつ大胆な行動により、皇帝は決断を下します。沈従興は杖打ちの刑、そして元凶である小秦氏は称号を剥奪され、幽閉。兄たちも流罪や杖打ちの刑に処されました。最後まで過去の情にすがろうとする小秦氏を、沈従興は冷たく突き放し、騒動はようやく幕を下ろしたのでした。
『明蘭~才媛の春~』第65話の感想
今回のエピソードは、明蘭の新たな一面が見られた、非常に印象深い回でした。これまでの彼女は、主に知恵と忍耐で困難を乗り越えてきましたが、友の命が懸かった危機的状況で、迷わず剣を抜いた姿には心を揺さぶられました。それは単なる力任せの行動ではなく、大切なものを守るための覚悟の表れ。彼女が数々の苦難を経て、いかに強く、そして決断力のある女性へと成長したかを物語っています。
また、一つの家の内紛が、いかに朝廷の政(まつりごと)と密接に結びついているかを描いた点も見事でした。英国公の怒り、太后の策略、そして皇后の英断。それぞれの立場と思惑が複雑に絡み合い、物語に深い奥行きを与えています。特に、明蘭の助言を受けて行動を起こした皇后の姿は、本作が描く賢い女性たちの戦いの真骨頂と言えるでしょう。
つづく