沈家の騒動を収め、ようやく一息つけるかと思った明蘭(みんらん)。しかし、彼女を待ち受けていたのは、実家からの祖母危篤という衝撃的な知らせだった。駆けつけた明蘭は、意識なく横たわる祖母と、どこか様子のおかしい侍医の姿に、ただの病ではないと直感する。家族の中に潜む悪意を確信した彼女は、愛する祖母を救うため、これまでの自分を捨てて非情な決断を下す。盛家の屋敷を舞台に、明蘭の人生で最も熾烈な戦いの幕が上がる。
「明蘭~才媛の春~」あらすじネタバレ66話
前回、沈家で大立ち回りを演じた明蘭(みんらん)ですが、本当の嵐は自分の家、盛家で待っていました。大切な人を守るため、これまで見せたことのないほどの覚悟を決めた明蘭(みんらん)の姿には、ただただ圧倒されるばかり。
沈家の火消しと、盛家の燃え盛る炎
満月宴で大騒ぎを起こした小秦氏(しょうしんし)は、無理やり屋敷から連れ出されていきました。しかし、これで一件落着とはいきません。妹を溺愛する小沈氏は逆上し、夫の沈従興(しんじゅうこう)に泣きついて許しを請い、さらには仲裁に入った明蘭にまで怒りの矛先を向けます。
これに対し、明蘭は冷静そのもの。問題の根源は、あなたがた夫婦が側室を甘やかし続けたことにあるとバッサリ。さらに亡き大鄒氏が遺した子供たちを引き合いに出し、小沈氏をぐうの音も出ないまでに論破します。この辺りの明蘭の口達者ぶりは、さすがの一言ですよね。
ところが、沈家の問題を片付けた明蘭に、息つく暇もなく衝撃的な知らせが舞い込みます。おばあ様がご病気で倒れられた!
急いで盛家に戻った明蘭が見たのは、顔色を失い、意識なく横たわる祖母の姿でした。盛纮(せいこう)が取り乱す中、診察した侍医はどこか歯切れが悪い様子。何かを隠していると直感した明蘭は、その夜、侍医を一人呼び出し、真実を問い詰めます。
そして、侍医の口から語られたのは、最も恐れていた言葉でした。老太太様は…毒を盛られたやもしれません
明蘭、覚醒。家族との全面戦争へ
祖母が中毒だと知った明蘭の行動は、迅速かつ苛烈でした。まず、祖母が最近口にしたものを調べさせると、王若弗(おうじゃくふつ)が届けさせたお菓子が浮上します。残っていたお菓子を調べた結果、中から銀杏の芽の汁という、銀針では検出できない猛毒が発見されました。幸い、祖母が口にした量は少なかったものの、命の保証はないという絶望的な状況です。
涙を流しながらも、明蘭は決断します。夫である顧廷燁(こていよう)の護衛を呼び寄せ、盛家の屋敷を完全に封鎖。誰一人として外に出ることを許しませんでした。
翌朝、事態を知らない盛纮(せいこう)は、出仕できないことに腹を立てます。しかし明蘭は、父の面子を逆手に取り、病の母に付き添う孝行息子として、むしろ名声が上がりますとやり込めます。そして、皆の前でおばあ様は毒を盛られましたと宣言し、その視線はまっすぐに王若弗を射抜きました。
お前がやったのか!と激昂する盛纮に対し、王若弗は必死に否定します。家門の恥が広まることを恐れる盛纮は内密に調査しようとしますが、明蘭は祖母の無念は晴らさねばなりません!と一歩も引きません。
父と娘の対立は激化。明蘭が、かつて祖母が盛纮の出世のために実家と縁を切った恩義を語り始めると、痛いところを突かれた盛纮は、ついに娘の頬を打ちます。
しかし、この一撃が明蘭を完全に覚醒させました。
夫の地位も、屋敷も、富も名誉も、すべて捨てても構わない!私が欲しいのは、ただ道理だけです!
そう叫び、食卓をひっくり返す明蘭。その気迫に押された盛纮は、矛先を妻に向け、白状しなければ離縁だ!と王若弗を追い詰めます。
暴かれる真実と、黒幕への罠
追い詰められた王若弗を守ろうと、腹心の劉ばあやが泣きながらすべてを暴露します。悪事を唆したのは、王若弗の実の姉、康夫人(こうふじん)でした。
王若弗はあれはただの滋養薬で、毒ではないと姉上に騙されたのです!と泣き崩れます。愚かにも姉の言葉を信じ、毒殺の片棒を担がされてしまったのでした。明蘭は冷たく言い放ちます。もしおばあ様が亡くなれば、康夫人(こうふじん)は『姑殺し』というあなたの弱みを握り、盛家すべてを意のままにするつもりだったのですよ!
まさにその時、屋敷から逃げ出そうとした女中が捕らえられます。彼女は康夫人に買収され、内通者として動いていたのでした。
これで役者は揃いました。明蘭は劉ばあやに命じ、おばあ様が危篤だと嘘の知らせを康夫人に届けさせます。まんまと罠にかかり、一人で屋敷にやってきた康夫人が王若弗の部屋で捕らえられたとの報告を受けると、明蘭は氷のような声で命じました。
屋敷の外で、始末なさい
かつての優しく穏やかだった娘が、復讐の鬼と化した姿を目の当たりにし、父・盛纮はただただ愕然とするのでした。
『明蘭~才媛の春~』第66話の感想
今回のエピソードは、物語全体の大きな転換点と言えるでしょう。これまでの明蘭は、あくまで聡明さと忍耐力で困難を乗り越える少女でした。しかし、唯一無二の味方であり、心の拠り所であった祖母の命が狙われたことで、彼女の中に眠っていた激情が爆発します。父に逆らい、家を封鎖し、黒幕を誘き寄せて冷徹に処分を命じる姿は、もはやこれまでの彼女ではありません。それは、数々の理不尽に耐え抜いてきた彼女が、守るべきもののために修羅となることを選んだ覚醒の瞬間でした。王若弗の愚かさと、それを巧みに利用する康夫人の底知れぬ悪意が、家族という名の檻の中でいかに恐ろしい悲劇を生むかを見せつけられた回でもありました。
つづく