盛家の祖母・大奥様への毒殺未遂事件の真相を明らかにするため、盛家の広間に王家と康家の一族が集められます。明蘭(みんらん)は確固たる意志で場を仕切り、実行犯である康姨母(こうおば)を追い詰めていきます。しかし、康姨母は実の妹である王若弗(おうじゃくふつ)を巻き込み、母の王お婆様は必死に長女を守ろうとします。家の面子、家族の情、そして国の法。三つの間で板挟みになった盛纮(せいこう)は苦悩し、一族は分裂の危機に瀕します。正義を貫こうとする明蘭と長柏に対し、王家が突きつける非情な選択とは。盛家が迎える最大の試練の行方が描かれます。

「明蘭~才媛の春~」あらすじネタバレ68話

夜を徹して祖母のそばに付き添い、疲れ果てていた明蘭(みんらん)。しかし、休む間もなく房ままに起こされます。盛家の広間には、すでに王家と康家の一族が集結し、ただならぬ空気が立ち込めていました。

王家は老太太を筆頭に長男夫婦も駆けつけ、まさに一族総出といった威圧感。対する康家は、なんと康姨母(こうおば)の息子である康晋(こうしん)が一人で来ているだけ。この時点でもう勝負は見えているようなものですが、ここからが本当の地獄の始まりでした。

娘に仮病を使って休んでと手配された盛纮(せいこう)は、ご機嫌斜め。しかし明蘭(みんらん)がお父様の孝行心が都で評判になっていますよと機転を利かせ、なんとかその場を収めます。

広間では、王若弗(おうじゃくふつ)が母である王お婆様に泣きつき、これまでの仕打ちを訴えます。待ってましたとばかりに王お婆様は盛纮(せいこう)に娘をどうするつもりだ!と詰め寄りますが、盛纮は冷たく言い放ちます。毒を盛ったのは、若弗一人ではないでしょう?と。

その瞬間、明蘭が口を開くと、王お婆様は小娘が口を出すな!と一喝。しかし、明蘭はもはや以前の彼女ではありません。その叱責をものともせず、康姨母(こうおば)を広間へ引きずり出すよう命じます。

髪を振り乱した康姨母は、兄である王舅父にすがりつき私は無実だ!と泣き叫ぶ始末。被害者である大奥様がまだ病床にいるというのに、この罪人のふてぶてしさに、盛纮も怒りを通り越して呆れ笑いを浮かべるしかありません。

明蘭は次々と証拠を突きつけます。康姨母の侍女が毒の出所を自白し、共犯の祁ままの袖からは、使い残しの砒素まで見つかりました。追い詰められた康姨母は若弗が毎日、姑にいびられると泣きつくから、私が毒を手に入れてやったんだ!と、あっさり妹を裏切ります。王若弗(おうじゃくふつ)はあまりのことに卒倒寸前です。

王家が必死に自分たちの関与を否定しようとする中、明蘭は康姨母はとっくに身代わりの下僕まで用意していた。この極悪人、決して許してはなりません!と声を張り上げ、情に流されそうになる盛纮を制します。

場は大混乱。康姨母は王お婆様の服にすがりついて助けを求め、王お婆様は苦悩の末、なんと娘である王若弗の頬をひっぱたきます。お前を甘やかしすぎた!もう私にもかばいきれない!と。しかし、康姨母は私を康家に無理やり嫁がせたのは誰よ!私が狂ったのはお母様たちのせいじゃない!と逆ギレ。挙句の果てに柱に頭を打ち付けようとする大芝居。

騒ぎに乗じて康姨母を逃がそうとする祁ままを、劉ままが取り押さえます。王お婆様は別室で休ませましょうと提案し、盛纮も一瞬同意しますが、明蘭がここで縄を解けば必ず逃げます!と断固として許しません。

ついに王お婆様は盛纮の前にひざまずき、かつて娘を嫁がせた恩や、王・康・盛の三家は運命共同体だと泣き落としにかかります。一人が損をすれば、三家すべてが損をするのですよ!と。

心が揺らぐ盛纮に、明蘭は決定的な一言を突きつけます。お父様を育てたのは大奥様です!この方ではありません!

その言葉に盛纮はハッと我に返ります。王お婆様はどうしたいのだと開き直り、明蘭は静かに、しかしはっきりと告げました。殺人に、命の償いをと。

盛纮は、事が公になれば三家が破滅すると私的な解決を望みますが、王お婆様はあくまで康姨母をかばい、王若弗に罪をなすりつけようとします。その魂胆を知った王若弗はお母様は、結局お姉様だけが大事なのね…と絶望。

王お婆様が顧廷燁(こていよう)の権力を笠に着るのか!と明蘭を追い出そうとしたその時、夫である顧廷燁(こていよう)が明蘭を支え、そして兄の盛長柏(せいちょうはく) が毅然とした態度で広間に入ってきました。

母の腕の中で泣きじゃくる王若弗。王お婆様が再び明蘭を非難すると、顧廷燁は妻は祖母のために正義を求めているだけだ。何が悪いと一蹴。

そして、盛長柏(せいちょうはく) が静かに、しかし重く口を開きます。国の法によれば、姑殺しは斬首、あるいは凌遅(りょうち)の刑です。

満堂が静まり返る中、彼は続けます。しかし、今回の主犯は康姨母。これは彼女一人の罪です。血のつながりを訴える祖母に、長柏は祖母上は血の繋がらない盛家に心を尽くした。康姨母は血の繋がりを盾に悪事を働いた!と反論。そして、辞官を願い出る上奏文を取り出し、この一件が片付いたら、私は官職を辞します。盛家の名誉を汚すわけにはいきませんと宣言します。

息子の将来を潰さないでくれ!王若弗はそう叫んで気絶。王お婆様も、ついに悟るのでした。康姨母がここまで増長したのは、自分がいつも後始末をしてきたせいだと。王若弗もまたお姉様をかばうなら、私に実家はもうないも同然です!と母との決別を宣言するのでした。

『明蘭~才媛の春~』第68話の感想

今回は、息をのむような心理戦と法廷劇が繰り広げられました。これまで幾度となく描かれてきた家族の情と正義の対立が、ついに最終局面を迎えた印象です。特に印象的だったのは、登場人物それぞれの覚悟と人間性でした。明蘭はもはやただのか弱い娘ではなく、家の存亡を懸けて悪と対峙する強い女性へと完全に脱皮しました。彼女の毅然とした態度は、見ていて胸がすく思いです。

そして、もう一人の主役が盛長柏。彼の清廉潔白さと、家の名誉のために自らのキャリアを投げ打つ覚悟には、心を打たれずにはいられません。一方で、最後まで娘かわいさから目を曇らせる王お婆様や、保身と情の間で揺れ動く盛纮の弱さが、物語に深い奥行きを与えています。悪役である康姨母の狂気じみた自己正当化も見事で、各キャラクターの思惑が複雑に絡み合い、非常に見ごたえのある回でした。

つづく