夫・顧廷燁(こていよう)が流罪となり、絶望の淵に立たされた明蘭(みんらん)。彼女は周囲の制止を振り切り、皇帝に直訴するため登聞鼓を叩くという決死の行動に出る。しかし、宮廷に渦巻く巨大な陰謀は、彼女の訴えを退けるばかりか、さらなる苦境へと追い込んでいく。味方が次々と現れる一方、敵の策略はより一層陰湿さを増し、ついに都を揺るがす大事件へと発展。明蘭と顧家は、最大の危機を迎えることになる。

「明蘭~才媛の春~」あらすじネタバレ72話

夫・顧廷燁(こていよう)に下されたのは、投獄の末、二千里先への流罪というあまりにも過酷な判決でした。それを聞いた明蘭(みんらん)は、その場で取り乱し、夫の無実を叫びますが、親友の張氏(ちょうし)に抱きかかえられるようにして、なんとかその場を後にします。

この絶望的な状況に、手を差し伸べたのは意外な人物でした。かつての恋敵、斉衡(せいこう)です。彼らは、顧家の人間と関わることをよしとしない平寧郡主(へいねいぐんしゅ)の目をかいくぐり、明蘭のもとへ駆けつけます。申氏(しんし)の機転と聡明さには、本当に頭が下がりますね。

斉衡(せいこう)たちの励ましに感謝しつつも、明蘭の決意は固いものでした。なんと、登聞鼓(とうぶんこ)を叩いて皇帝に直訴し、それがだめなら太廟(たいびょう)に乗り込むというのです。あまりに危険な計画を斉衡(せいこう)は必死で止めますが、明蘭の覚悟は揺らぎません。申氏(しんし)は、闇雲に動くのではなく、まず水をかき混ぜて時間を稼ぎ、証拠を探す時間を稼ぐべきだと助言します。この夫婦の支えが、どれほど明蘭の力になったことでしょう。

そんな中、明蘭は息子の団哥児(だんじ)の満月祝いを催すことを決めます。後ろ盾を失い、世間から白い目で見られる中での宴は、案の定、寂しいものでした。そこへ案の定、盛墨蘭(せいぼくらん) が嫌味を言いに現れます。しかし、今の明蘭はもはや墨蘭の相手をする気力もありません。

ですが、明蘭の味方はちゃんといました。張氏と小沈氏(しょうしんし)が駆けつけ、無礼な墨蘭を追い払ってくれます。さらには、親友の余嫣然(よえんぜん)、そしてはるばる宥陽(ゆうよう)から淑蘭(しゅくらん)と品蘭(ひんらん)まで!この再会のシーンは、涙なしには見られませんでした。

その夜、事件が起こります。黒装束の刺客が団哥児の寝所に忍び込みますが、これはすべて明蘭が仕掛けた罠でした。刺客の正体は、顧廷燁(こていよう)の妾だった銭鳳仙(せんほうせん)。そして揺りかごの中にいたのは人形で、団哥児は無事でした。明蘭は、ただ守られるだけの弱い女性ではないのです。

ついに明蘭は、緋色の诰命服(こうめいふく)をまとい、登聞鼓を叩きます。夫の無実と、かつて祖母を毒殺しようとした康姨媽(こういま)の罪を訴えるためです。皇帝・趙宗全(ちょうそうぜん)は激怒し、兄の盛長柏(せいちょうはく) に阻まれ、明蘭は完全に孤立無援。

皇后に呼び出されても、待っていたのは慰めではなく、夫は驕り高ぶっているから罰が必要だという冷たい言葉でした。絶望の淵で、明蘭は自らの诰命冠(こうめいかん)を床に叩きつけ、叫びます。狡兎死して走狗烹らる(こうとしてしゅくほうにらる)――用が済めば、忠実な家臣も殺される、と。その壮絶な姿に、父もただうろたえるばかりでした。

一方で、明蘭を嘲笑っていた墨蘭にも天罰が下ります。夫・梁晗(りょうかん)が侍女と戯れている現場に踏み込むと、逆にこれまでの悪事をすべて暴露され、夫からも侍女からも見捨てられてしまうのです。母・林噙霜(りんきんそう)の真似をしてきた彼女ですが、その手管が自分には通用しないことを思い知るのでした。

事態はさらに悪化します。辺境で戦が勃発し、顧廷燁(こていよう)は罪人のまま戦地へ送られることに。これは、彼を戦場で始末しようとする太后と小秦氏(しょうしんし)の策略でした。そして届いたのは、顧廷燁の部隊は全滅、生存者なしという非情な知らせ…。

悲しみに打ちひしがれる明蘭のもとに、宮中から偽の使者が現れ、都では反乱が勃発。反乱軍は小秦氏(しょうしんし)の手引きで、澄園(ちょうえん)へと迫ります。絶体絶命の危機に、友の張氏が剣を抜き、敢然と立ち向かうのでした。

『明蘭~才媛の春~』第72話の感想

今回は、これまでの物語の中でも特に重く、息苦しい展開が続きました。しかし、その暗闇の中でこそ、人間の真価が問われるのだと改めて感じさせられます。夫を失い、後ろ盾をなくし、四面楚歌の状況にありながら、決して諦めず、自らの知恵と覚悟で道を切り開こうとする明蘭の姿には、心を揺さぶられました。特に、诰命冠を叩きつける場面の彼女の怒りと絶望は、圧巻の一言です。また、斉衡と申氏夫婦の支援は、この物語における大きな救いでした。かつてのライバルが時を経て最も頼れる味方になるという構図は、彼らの人間的成長を感じさせ、物語に深い奥行きを与えています。悪役たちの策略がことごとく成功していく一方で、墨蘭の自業自得な転落が描かれるなど、因果応報の理もしっかりと示されており、非常に見応えのある回でした。

つづく