都で発生した猟奇殺人を追う捕吏の幽篁(ユウコウ)。一方、妖怪ハンターの宣夜(センヤ)は、謎の黒猫が残した父の遺品を手がかりに、真実を探る旅に出る。道中、二人が立ち寄ったのは、女将が不気味なほど親切な一軒の宿屋だった。歓迎ムードの裏に渦巻く妖気と殺意。そして、都の事件と彼らの旅が、やがて一つの大きな謎へと繋がっていく。二つの事件に隠された秘密とは一体何なのか。

「無憂渡~瞳に映った真実の愛~」あらすじネタバレ11話

今回は、都で起こる猟奇殺人と、半夏(ハンゲ)の過去に繋がる旅という、二つの物語が同時に進んでいきましたね。一見、無関係に見える二つの事件ですが、不気味な糸が少しずつ絡み合っていくような展開に、目が離せませんでした!

【都の猟奇殺人】幽篁(ユウコウ)、新たな犠牲者を追う

物語は、幽篁(ユウコウ)が部下を率いて、ある人物高升(こうしょう)を追跡する緊迫したシーンから始まります。その道中、ベテラン役人の老李(ろう・り)が背中に虫が這うような奇妙な感覚を訴えますが、服をめくっても何もいません。不吉な予感だけが漂います。

追跡の専門家である燕李(えん・り)は、息子の満月祝いの宴を抜け出してまで捜査に合流。申し訳なく思う幽篁(ユウコウ)からの贈り物を、彼は隊長が俺を頼りにしてくれてる証拠ですよと笑顔で受け取ります。部下との信頼関係が垣間見える、いいシーンでしたね。

しかし、一行が目的地に到着したとき、彼らを待っていたのは無残な姿に変わり果てた高升でした。両目はえぐられ、髪は根元からバッサリと断ち切られているという、あまりにも猟奇的な状態。幽篁は遺体にしゃがみ込み、首に残された青い痕を指でなぞります。致命傷は喉だが、この目と髪は…まるで強い恨みによる見せしめだ。彼の鋭い視線が、見えざる犯人に向けられます。

【過去への旅路】猫妖が示した道と怪しい宿屋

一方、宣夜(センヤ)の周りでは、不思議な出来事が起こっていました。以前、銭袋を返してきたあの黒猫が、再び複数の銭袋を宣夜(センヤ)の元へ届けたのです。その中には、なんと半夏(ハンゲ)の亡き父の遺品である銭袋まで混じっていました。

父さんは本当に、命と引き換えにお金を得ていたの…?指先が白くなるほど強く銭袋を握りしめる半夏。宣夜(センヤ)は袋に残っていた猫の毛をつまみ、九つの命を持つ妖が、たった二百両で情報を売るとはな。これは我々への依頼だと冷ややかに笑います。

二人は半夏の父の死の真相を突き止めるため、旅に出ることを決意。出発前、侍女の汀州(テイシュウ)はお嬢様は暗い場所と猫が苦手なんです。どうか、お守りください!と宣夜に必死に頼み込みます。

その夜、荒野を進む馬車の中で、半夏はどこからか聞こえてくる不気味な童謡に怯えていました。宣夜はそっと馬車に入り、彼女を安心させるようにお守りの符をてのひらに描いてやります。前途は凶兆だ。鏡妖の時よりも、やっかいな相手になるだろう。

【陰陽眼の秘密】明かされる過去と新たな謎

翌日、深い霧に包まれた森で、宣夜は薬を使って妖の姿を見えるようにし、人参の精に道を尋ねます。その時、半夏は驚きの声を上げました。あなたと同じように、私の右目でも妖の姿が見える!。そして、彼女はついに自身の秘密を打ち明けます。幼い頃、妖に襲われた際に見知らぬ少年に助けられ、その少年の血が左目に入ったことで、妖が見えるようになったのだと。

その告白を、宣夜は黙って聞いていましたが、やがてポツリと語り始めます。俺は十二歳の時に高熱を出して以来、それ以前の記憶が一切ないんだ。二人の間に横たわる、謎めいた過去。この符合は何を意味するのでしょうか。

【湯池の恐怖】歓迎の裏に隠された殺意

人参の精に教えられた道をたどり、二人が着いたのは修繕中の札が掛かった宿屋でした。しかし、女将の鳳伍娘(ほうごじょう) は満面の笑みで二人を迎え入れます。部屋に充満する養神香の匂いに眉をひそめる宣夜。客もいないのになぜ?

鳳伍娘(ほうごじょう) に勧められるまま湯池(温泉)に向かった半夏は、湯船の底に人間の目玉が浮かんでくるという恐ろしい幻覚を見てしまいます!悲鳴を聞いて駆けつけた宣夜が彼女を救い出しますが、彼の掌にあったのはただの丸い木片でした。

廊下では、小間使いが何かを蹴飛ばすのを目撃。その影は、あの黒猫!後を追うと、物置の前で鳳天(フォンティエン)と名乗る男にここは客人が立ち入る場所ではないと行く手を阻まれてしまいます。部屋に戻ると、先ほどの小間使いが奥様が驚かれたと聞きましてと炭を届けに来る始末。宣夜は確信します。奴らは我々を監視していると。

黒猫が導こうとした物置には何が隠されているのか?半夏の父の死は、この宿屋と関係があるのか?そして、幽篁が追う猟奇殺人と、この事件は繋がっているのでしょうか?謎が謎を呼ぶ展開から、ますます目が離せません!

『無憂渡~瞳に映った真実の愛~』第11話の感想

今回は、これまで以上にミステリーの色が濃い回でしたね。都で発生した猟奇殺人と、宣夜たちが足を踏み入れた怪しい宿屋。二つの場所で起こる事件が、どう繋がっていくのか、考察が捗ります。特に、半夏の陰陽眼の秘密と、宣夜の失われた記憶が語られたことで、二人の宿命的な繋がりがより深く感じられました。鳳伍娘(ほうごじょう) の宿屋の、表面的な歓迎の裏に隠された底知れぬ悪意には、じっとりとした恐怖を覚えます。物語の核心にぐっと近づいたような、重厚な一話でした。

つづく