妖が見えることに不安を抱える半夏(ハンゲ)と共に滞在する客栈で、奇妙な出来事に次々と遭遇します。客栈の主人である鳳天(フォンティエン)と、その娘・伍娘には何か大きな秘密がある様子。そんな中、殺人事件を追う役人の幽篁(ユウコウ)が客栈を訪れ、緊張が走ります。さらに、行方不明だった半夏の兄・言秋が突然姿を現しますが、その様子は以前とまるで別人でした。人々と妖の思惑が渦巻く客栈で、隠された真実が少しずつ明らかになっていきます。
「無憂渡~瞳に映った真実の愛~」あらすじネタバレ12話
深まる謎、夜の語らい
妖が見えるようになってから、ずっと心に不安を抱えていた半夏(ハンゲ)。その気持ちを、ついに宣夜(センヤ)に打ち明けます。あなたも何かを怖いと思ったことはある?と尋ねる半夏(ハンゲ)は少年時代の虎狩りの思い出を語り始めました。
それは、父と山に入り、子を連れた母虎を見つけたときのこと。父が狩りをやめたのを見て、虎の皮を手に入れられなかったと当時は不満に思ったそうです。しかし後になって、医者だと思っていた父が実は捉妖師(妖怪ハンター)であり、多くのものを失ってきたと知ったとき、初めて失うことの本当の怖さを理解したのだとか。今では何も持たないからこそ、怖いものはないと宣夜は言います。
そんな彼に、半夏はあなたには遅雪(チセツ)と私がいると伝え、冷たい彼の手を取って温めようとします。でも、宣夜はそれをやんわりと拒否…。二人の間にある、もどかしい壁が感じられる切ないシーンでした。
怪しすぎる父娘の秘密
舞台は謎めいた客栈。ここの主人である鳳天(フォンティエン)は、なんと20年も砦を守り続けたという驚きの過去の持ち主。皇位争いの混乱で誰も交代に来ず、たった一人で砦に残り続けたという話には、彼の異常なまでの忠誠心や執念が感じられます。
さらに衝撃的なのが、娘の鳳伍娘(ほうごじょう) の告白。彼女は生まれつき味覚がなく、料理の味見ができないというのです。だからこそ、見た目の美しさにこだわっているのだとか。この人間離れした秘密に、宣夜だけでなく、見ているこちらもまさか…と勘繰ってしまいますよね。
妖の気配と暴かれた正体
夜、客栈の周りをうろつく山猫の存在が、物語を大きく動かします。猫の鳴き声に外へ出た一同が見たのは、猫を捕らえている役人の幽篁(ユウコウ)。彼は、以前起きた殺人事件の捜査でこの地を訪れていたのです。
その瞬間、捕まっていた猫が逃走!すると、宣夜の相棒である遅雪(チセツ)が、なんとウサギの姿に変化して猫を追いかけていきました。その場にいた幽篁(ユウコウ)は、遅雪が妖だったという事実に衝撃を受けます。そして物陰では、荷物の中から不気味な“眼球”がその一部始終を覗いていました…。客栈に渦巻く妖気が、いよいよ隠しきれなくなってきました。
豹変した兄との再会
山猫の騒ぎが続く中、半夏の前に突然、行方知れずだった兄の段言秋(ダン・ゲンシュウ)が現れます。しかし、その姿は以前とはまるで別人。顔色は青白く、宣夜が診察しようとすると頑なに拒否します。
昔は厳格だった兄が、半夏と宣夜が二人きりでいることを全く気にしない様子に、宣夜は強い違和感を覚えました。彼の体から漂う酒の匂いを隠すかのような、不自然な香の匂い…。宣夜は、言秋が妖に取り憑かれているのではないかと疑います。
芽生え始めた想い
兄の変わり果てた姿に心を痛める半夏。そんな彼女の目に入ったゴミを、宣夜が優しく取ってあげます。顔が近づいた二人を、遅雪がキスしてる!と勘違い。宣夜は慌てて否定しますが、遅雪に半夏を見つめる目が、お父さんがお母さんを見ていた目と同じだよと、核心を突かれてしまいます。
一方、半夏もまた、宣夜の優しさに胸をときめかせていました。そんな中、鳳伍娘(ほうごじょう) は半夏に兄といつかここから逃げると意味深な言葉を残します。客栈に隠された秘密と、登場人物たちの想いが複雑に絡み合い、物語は一気に加速していきます!
『無憂渡~瞳に映った真実の愛~』第12話の感想
今回は、客栈に集う人々の謎が一気に深まる回でした。20年も砦を守ったという鳳天(フォンティエン)の執念や、味覚がない伍娘の告白は、彼らがただの人間ではないことを強く示唆しています。そこに現れた変わり果てた兄・言秋の存在が、不穏な空気をさらに掻き立てます。一方で、宣夜と半夏の距離は少しずつ縮まっているように見えました。特に、遅雪が宣夜の恋心を指摘する場面は、シリアスな展開の中での一服の清涼剤のようです。しかし、伍娘のここから逃げるという言葉が、この客栈がまもなく危険な舞台と化すことを予感させます。各キャラクターの背景にある謎と、人間と妖の境界線で揺れ動く感情が巧みに描かれ、物語への没入感を一層高めてくれました。
つづく