幽篁(ユウコウ)の部下が、背中の皮を剥がされるという残忍な手口で殺害される事件が発生。捉妖師の宣夜(センヤ)は、現場の痕跡から犯人像を割り出すが、宿の女主人・鳳伍娘(ほうごじょう) の妨害にあい、捜査は難航する。一方、半夏(ハンゲ)は、亡き恋人の幻を見続ける兄・段言秋(ダン・ゲンシュウ)の身を案じていた。その奇行には、鳳伍娘が差し入れる特別な酒が関係しているようだった。やがて鳳伍娘の邪悪な手は半夏自身にも忍び寄るが、その危機を謎の黒猫が救う。
「無憂渡~瞳に映った真実の愛~」あらすじネタバレ13話
惨殺事件発生、謎が謎を呼ぶ不気味な宿屋
物語は、幽篁(ユウコウ)が例の宿屋を再調査するところから始まります。どうも様子がおかしい。高升(こうしょう)という人物が4日間も滞在していたはずなのに、宿屋の主人はそんな客は知らないの一点張り。この時点で、もう怪しさ満点ですよね。時を同じくして、宣夜(センヤ)の様子から、彼が何か重要な情報を隠していると見抜きます。
幽篁(ユウコウ)から話を聞こうとしたその時、山下の村人から緊急の知らせが!それはなんと、以前、幽篁(ユウコウ)に託したはずの手紙でした。胸騒ぎを覚えながら現場に駆けつけた幽篁が目にしたのは、無残な姿に変わり果てた燕李…。信じられない光景に、言葉を失います。
幻に溺れる男と、暗躍する父娘
一方、段家では、半夏(ハンゲ)がとんでもないものを見てしまいます。兄の段言秋(ダン・ゲンシュウ)が、誰もいない部屋で楽しそうに鼻歌を歌い、舞を踊っているのです。まるで、亡き妻・曲蛮娘(キョク・バンジョウ)がそこにいるかのように…。その狂気じみた光景に、半夏(ハンゲ)は背筋が凍る思いをします。
その頃、幽篁と宣夜(センヤ)は燕李の遺体を調べていました。犯人は人間離れした怪力の持ち主で、素手で背中の皮を引き剥がすという残忍な手口。しかし、現場には争った形跡も血痕もほとんどなく、まるで獣が獲物をいたぶるかのよう。宣夜(センヤ)は傷口から犯人の指が一本欠けていることを見抜き、現場に落ちていた小さな木球を拾い上げます。
宿屋に戻った一行。宣夜が指の欠けた人物を見なかったか?と遅雪(チセツ)に尋ねると、彼女は鳳伍娘(ほうごじょう) に仕える下男を指差します。しかし、驚くべきことに、鳳伍娘(ほうごじょう) はその下男のために失われた指を治してやったと言うのです。宣夜が真偽を確かめようとしますが、父親の鳳天(フォンティエン)がそれを阻止。父と娘の間には、ピリピリとした険悪な空気が流れます。鳳天(フォンティエン)は娘を厄介者と罵り、祖母に会うことすら許しません。激しい口論の末、鳳天(フォンティエン)が娘の頬を張ると、鳳伍娘(ほうごじょう) は憎しみに満ちた目で父を睨みつけ、その場を去っていくのでした。
忍び寄る魔の手と、黒猫の警告
鳳伍娘は、亡き妻に会いたいと願う段言秋に故人に会える酒と称して怪しげな酒を渡そうとします。もちろん、半夏(ハンゲ)は猛反対。そんな中、宣夜は自らその酒を手に取り、段言秋と向き合います。そして、自分もかつて親を殺めた辛い記憶から逃れるために、同じような酒に溺れた過去を告白。幻に逃げるなと、自身の痛みをもって段言秋を諭すのでした。宣夜の言葉に、段言秋はついに幻の中の妻に別れを告げます。しかし、その一部始終を、鳳伍娘が操る不気味な“眼球”がのぞき見ていたのです…。
さらに、帰り道で半夏は鳳伍娘に後をつけられ、襲われそうになります。絶体絶命のその時、黒猫の九命(キュウメイ)が現れ、半夏を安全な場所へ導きました。九死に一生を得た半夏は、宣夜にあの猫は敵じゃないと伝えます。一方、九命(キュウメイ)は鳳天の部屋に忍び込みますが、そこには鳳伍娘が操る木偶人形が。九命は追い詰められ、次に近づけば、その命を奪うと脅されてしまうのでした。
酔いに任せて幻の正体を看破する言葉を漏らす宣夜を、半夏が介抱する中、物語は幕を閉じます。事件の真相は闇の中。宿屋に渦巻く人々の思惑と、暗闇で光る妖しい瞳。真犯人は一体誰なのでしょうか…。
『無憂渡~瞳に映った真実の愛~』第13話の感想
今回は、物語の不穏さが一層深まり、登場人物たちの心の闇が色濃く描かれた回でした。特に印象的だったのは、鳳伍娘というキャラクターの複雑さです。彼女の行動は残忍で恐ろしいものですが、その裏には父・鳳天からの抑圧や、祖母に会えない悲しみといった動機が垣間見えます。ただの悪役として片付けられない、彼女の人間的な苦悩が物語に奥行きを与えているように感じました。
また、宣夜が自身の最もつらい過去をさらけ出してまで段言秋を救おうとする場面は、彼の優しさと人間味が溢れていて胸を打たれました。普段はクールな彼が見せた弱さと誠実さは、半夏だけでなく、見ているこちらの心にも深く響きます。
妖術のグロテスクな描写と、登場人物たちの心理的な駆け引きが巧みに織り交ぜられ、上質なミステリーを読んでいるかのような満足感がありました。単純な勧善懲悪ではない、それぞれの正義と哀しみが交錯する物語から、ますます目が離せません。
つづく