宣夜(センヤ)の屋敷から逃げ出そうとした半夏(ハンゲ)は、不気味な傀儡たちに襲われ、絶体絶命の危機に陥る。一方、屋敷では不可解な出来事が続き、宣夜は半夏に化けた何者かの存在に気づき始める。ある父娘が抱える、歪んでしまった愛情の物語が悲劇へと向かう中、宣夜は隠していた知略を巡らせ、事態の収拾を図る。危機を乗り越える中で、宣夜と半夏の距離は少しずつ縮まっていく。そして物語の最後、新たな謎を示す一通の密書が、次の波乱を予感させる。

「無憂渡~瞳に映った真実の愛~」あらすじネタバレ15話

偽りの仮面が剥がされる時

宣夜(センヤ)の屋敷から彼の愛剣をこっそり持ち出し、逃げようとする半夏(ハンゲ)。しかし、その行く手を阻むように、不気味な傀儡(くぐつ)たちが次々と現れます。なんとか幽篁(ユウコウ)たちと合流したものの、そこに現れたのはなんと鳳天(フォンティエン)でした。

娘に化けた半夏(ハンゲ)に対して見せた一瞬の動揺。その些細な変化を、我らが宣夜(センヤ)様が見逃すはずがありません!半夏(ハンゲ)の手からお守りが消えていることに気づいた宣夜は、目の前にいるのが偽物であることを見破ります。正体を暴かれた鳳伍娘(ほうごじょう) は、宣夜に襲いかかり、その場から姿を消してしまうのでした。

父と娘、悲痛なる決別

鳳天は、本物の鳳伍娘(ほうごじょう) の部屋へ向かいます。そこには、娘の姿はなく、無残に壊れた傀儡の人形が転がっているだけ…。戻ってきた鳳伍娘に対し、罪なき人々を殺めるなと叱責する鳳天。彼は娘を守るために屋敷に留めていたと告げますが、鳳伍娘はお父様が望む娘にはなれないと冷たく言い放ちます。

もう二度と人を傷つけないと誓うなら、ここから連れ出してやるという父の最後の願いも、彼女には届きません。あなたはもう、私の父ではない――その言葉と共に、二人の絆は無情にも断ち切られてしまうのでした。

本物と偽物、愛をかけた戦い

一方、宣夜は本物の半夏を探していました。すると、鳳伍娘は妖術で2人の半夏を出現させ、宣夜たちを惑わせます。しかし、宣夜は半夏が不安な時に目元を覆う癖を見抜き、一瞬で本物を見分け、偽物である鳳伍娘に斬りかかります。

私とあなたはお似合いよと嘯く鳳伍娘に対し、偽物がお前に真実の愛がわかるものかと一蹴する宣夜。半夏もまた、あなたの心根が邪悪なだけよ!と叫びます。逆上した鳳伍娘が笛を吹くと、おびただしい数の傀儡が出現!半夏を守るため、宣夜は剣に宿る“離火”の力を解放し、傀儡たちを次々と斬り伏せていきます。その時、傀儡の一体が半夏めがけて槍を投擲!宣夜はとっさに彼女を抱きしめて槍を両断。その光景に、半夏は幼い頃に自分を救ってくれた少年の面影を重ねるのでした。

父の贖罪、そして黒猫の恩返し

そこに鳳天が現れ、娘の命乞いをします。しかし、鳳伍娘が再び宣夜を殺めようとした瞬間、鳳天はこれ以上、人を殺すな!と叫び、その刃を娘の体に突き立て、燃え盛る炎の中へと突き落としました。我が子を手にかけた絶望から自らも命を絶とうとする鳳天を、宣夜が止めに入ります。

その時、あの黒猫が最後の命を吐き出し、鳳天を蘇らせました。意識を取り戻した鳳天は、息絶えた猫の亡骸を見てすべてを悟ります。かつて戦地で飢えていた子猫を見捨てず、九命(キュウメイ)と名付けて育てたこと。傀儡の娘に心を奪われるあまり九命をないがしろにし、鳳伍娘に追い出されてしまったこと…。九命は、あの時の恩を返すため、自らの命を懸けて宣夜たちをこの悲劇に導いたのでした。

すべては宣夜の掌の上で

実は、鳳伍娘が木の目を使って監視していることに、宣夜はとっくに気づいていました。幻覚作用のある酒浮白飲を飲んだのも、すべては彼女をおびき出すための芝居。宣夜は酒を飲むふりをしながら、こっそり半夏の父・段言秋(ダン・ゲンシュウ)の掌に半夏に難ありと書き、鳳伍娘を炙り出したのです。

帰り道、靴が濡れてしまった半夏を、宣夜は優しく背負って歩きます。二人の間には、穏やかで温かい空気が流れていました。しかし、半夏は見てしまいます。彼女のために力を使い、また白髪が増えてしまった宣夜の姿を…。

屋敷に戻った宣夜は、亡き家族のものと思われる位牌に酒を捧げ、静かに別れを告げるのでした。そして翌日、小腹を空かせた遅雪(チセツ)が宣夜の箱から銀子を盗み出した際、一通の密書がこぼれ落ちたことに、まだ誰も気づいていません…。

『無憂渡~瞳に映った真実の愛~』第15話の感想

今回は、鳳天と鳳伍娘という父娘の悲劇が物語の主軸でした。娘を愛するあまり、その魂が歪んでいくのを止められなかった父の苦悩と、愛を求めながらも決して満たされることのなかった娘の執念。その結末はあまりにも痛ましく、深い余韻を残しました。一方で、かつての小さな善行が、命がけの恩返しとなって返ってくる黒猫九命のエピソードは、このドラマが描く妖にも情があるというテーマを際立たせ、涙を誘います。悲劇と慈愛という対照的な物語が、作品に一層の深みを与えていました。もちろん、危機の中で深まっていく宣夜と半夏の絆も見逃せません。静かな優しさの中に、互いを想う強い気持ちが確かに感じられ、今後の二人の関係から目が離せません。

つづく