何者かに追われる宣夜(センヤ)と幽篁(ユウコウ)の婚礼の儀に乱入したことで、事態は急変する。半夏(ハンゲ)は宣夜の記憶を失っているにもかかわらず、無意識に彼をかばい、共に戦うことに。二人はやがて、自分たちが精巧に描かれた画の中の世界に閉じ込められていることを知る。この偽りの世界を創り出した主は誰なのか、そしてその目的は何なのか。宣夜の卓越した洞察力と、半夏の内に秘めた力が、世界の謎を解き明かす鍵となる。真実が明らかになるとき、彼らを待ち受ける運命とは…。

「無憂渡~瞳に映った真実の愛~」あらすじネタバレ23話

いやあ、今回の『無憂渡』はすごかったですね! まるで精巧な絵巻物を見ているかと思いきや、その絵の中から飛び出してくるような、息もつかせぬ展開でした。偽りの婚礼から始まった怒涛の23話、さっそく振り返っていきましょう!

物語は、宣夜(センヤ)の操る画中替身の兵士たちに追われる、絶体絶命のシーンから幕を開けます。逃げ込んだ先は、なんと半夏(ハンゲ)の婚礼の儀式の真っ最中! 場内は騒然となりますが、半夏(ハンゲ)を見ても、全く見覚えがない様子…。切ない!

しかし、殺気は宣夜だけでなく、新郎である幽篁(ユウコウ)にも向けられていました。これにブチ切れた幽篁が反撃を命じ、事態はさらに混乱の渦中へ。業を煮やした沙満(シャー・マン)は、自ら絵の中に入り込み、軍官の姿となって指揮を執り始めます。

ここで、私たちの半夏が魅せてくれました! 記憶を失っているはずなのに、体が覚えているかのように沙満を蹴り飛ばし、たった一人で兵士たちをなぎ倒し、宣夜を守るんです。私たちは会ったことがある?と問う半夏に、宣夜は共に月を眺めた仲だとだけ告げます。この一言に、どれだけの想いが込められていることか…。

二人はなんとかその場をしのぎ、四毛(スーマオ)の家で落ち合う約束をして一旦離れます。しかし、ここで宣夜の鋭い洞察力が光ります。彼は、この画の世界の些細な違和感から、案内役である四毛(スーマオ)こそが、この世界の創造主蜃であることを見破るのです。

問い詰められた蜃は、自分は広平の街を愛するあまり、この画中世界を創ったのだと語ります。そして、法恩寺の涙を流す観音像の神韻を描くため、半夏の母・唐如云をさらい、彼女が想いを寄せる段英恒(ダン・エイコウ)への手紙を奪ったと白状しました。毎日会えるのに、お互いを認識できない…その悲しみから流れる涙を、蜃は求めていたのです。なんという残酷な芸術家気取り!

母の悲劇を知った半夏は怒りに燃え蜃に斬りかかりますが、刃は全く通りません。しかし、宣夜は蜃の語る物語すら嘘であることを見抜いていました。

お前の正体は、月を恐れる『怯月虫』だ!

宣夜が突きつけた真実。この画の世界に月がなく、住人たちが月の話を避ける理由が、ここで繋がりました。蜃(怯月虫)は、十五夜の月光に焼かれ、地下城に逃げ込んだ妖。現実も幻も同じだと嘯き、逆上した蜃が二人を攻撃します。半夏は宣夜をかばって深手を負い、絶体絶命のピンチに!

しかし、これもすべて宣夜の計算のうちでした。彼が前もって仕込んでいた、怯月虫の大好物である羊肺湯の匂いが、現実世界の本物の月を画境に呼び寄せたのです!

月の光が差し込んだ瞬間、偽りの世界はガラガラと崩壊を始めます。観音像にされていた唐如云は解放され、段英恒(ダン・エイコウ)と涙の再会を果たすのでした。そして、月光を浴びた蜃は、満足げな笑みを浮かべながら本来の虫の姿へと還っていきました…。

現実世界では、司馬令嬴(スーマー・リンイン)が沙満を斬り捨て、事件は一件落着。しかし、物語はまだ終わりません。

幻境での出来事を経て、半夏と宣夜の関係には新たな謎が生まれます。宣夜が半夏をかばった瞬間、彼の影が熊の頭に見えたことを、半夏は目撃していました。そして彼女は相手が妖でも構わないと口にするのです。記憶がなくても、魂が何かを感じ取っているのでしょうか。

ラストには12年前の回想シーンが。何者か(蛮瑛)が熊に襲われた少女を助けていました。そして現代、子空(ズークン)がその時の血染めの手ぬぐいを手に、二殿下を探して無憂河を渡ろうとするところで、今回は幕を閉じます。

画境の謎は解けましたが、宣夜の正体、12年前の事件、そして二殿下とは誰なのか…。新たな謎が山積みで、ますます目が離せませんね!

『無憂渡~瞳に映った真実の愛~』第23話の感想

今回は、偽りの世界が崩壊するカタルシスと、新たに提示された謎が巧みに織り交ぜられた見事な一話でした。蜃が作り上げた広平の街は、一見美しく穏やかでしたが、その実態は彼の孤独と月への恐怖から生まれた歪んだ願望の産物。その嘘を宣夜の知略が暴き、本物の月の光がすべてを浄化していく様は圧巻でした。特に、引き裂かれていた半夏の両親が、世界の終焉と共にようやく結ばれるシーンには胸が熱くなります。一方で、記憶を失っても宣夜を守ろうとする半夏の無意識の行動や、彼女が垣間見た宣夜の熊の影など、核心に迫る伏線が次々と張られていきます。一つの大きな謎が解明されたことで、より深く、根源的な謎へと物語がシフトしていく感覚があり、物語の重層的な魅力を再認識させられました。

つづく