郊外で頭蓋骨以外が砕かれた奇妙な白骨死体が発見され、宣夜(センヤ)が捜査に乗り出します。被害者の妻・杏仙に話を聞きますが、彼女の周りでは、白いカラスが関わるかのように不可解な死が連鎖していきます。一方、宣夜と半夏(ハンゲ)の仲は、半夏の父親からの反対と、彼女の婚約者の出現により、決定的な危機を迎えることに。さらに、謎多き青年・子空(ズークン)が神都に現れ、宣夜を探し始めます。新たな事件の謎と、登場人物たちの切ない恋模様が交錯し、物語は大きく動き出します。

「無憂渡~瞳に映った真実の愛~」あらすじネタバレ25話

新たな怪事件と謎の死

物語は、郊外で発見された奇妙な遺体から幕を開けます。なんと、頭蓋骨以外は粉々に砕かれた白骨死体…。現場に残された鑑札から、被害者は役所の閑職を買っていた張璞(ちょうはく)という男だと判明します。

宣夜(センヤ)が張璞の家を訪ねると、妻の杏仙(きょうせん)は、夫が半年も帰ってこないが、普段から飲み歩いては数ヶ月家を空けることもあったため、特に気にしていなかったと話します。どこか影のある彼女の様子が気になりますが、ひとまず遺体を引き取るよう伝え、その場を後にします。

しかし、その直後、事態は急変!家の前を通りかかった呂三郎(りょさんろう)という男が、杏仙と意味深な視線を交わしたかと思うと、突然つまずいて後頭部を強打し、あっけなく命を落としてしまうのです。偶然その場に居合わせた半夏(ハンゲ)は、呂三郎の肩に白いカラスがいたのを目撃していました。まるで何かに操られたかのような、あまりにも不自然な死。この白いカラスは一体…?事件はますます謎を深めていきます。

引き裂かれる想い、宣夜(センヤ)の決別

一方で、宣夜(センヤ)の恋模様は、これ以上ないほど切ない局面を迎えます。

半夏の父・段英恒(ダン・エイコウ)は、娘の幸せを想うあまり、捉妖師である宣夜に娘とは関わらないでほしいと頭を下げて懇願します。父親の深い愛情と、自身の立場との間で、宣夜の心は揺れ動きます。

そんな中、追い打ちをかけるように、半夏の婚約者である李賢(りけん)が彼女を迎えにやってきます。宣夜は、道中で狼に襲われていた李賢を助けたのですが、その相手が半夏の婚約者だったとは…なんという皮肉な運命でしょうか。

すべてを知った宣夜は、黙ってその場を去ります。慌てて追いかける半夏に、彼はこれまでだと、冷たく関係の終わりを告げるのでした。半夏のために身を引くことを選んだ宣夜の苦渋の決断が、胸に突き刺さります。

神都に現れた嵐の目・子空(ズークン)

そして、今回のエピソードで物語を大きくかき回したのが、謎の青年・子空(ズークン)という名を頼りに神都へやってきました。

街中でいざこざを起こしたところを司馬令嬴(スーマー・リンイン)に見つかり、妖(あやかし)だと疑われた子空(ズークン)は、大理寺で役人たちに囲まれてしまいますが、圧倒的な力でその場を切り抜けます。その後、彼は司馬令嬴(スーマー・リンイン)を捕らえ、蛮瑛(ばんえい)という人物を知らないか、そして宣夜の居場所を問い詰めるのでした。彼はいったい何者で、何が目的なのでしょうか。その鋭い眼差しは、今後の波乱を予感させます。

絶望の淵で祈る杏仙

夫と、自分に言い寄ってきた呂三郎が立て続けに死んだことで、杏仙は親戚から不貞を疑われ、家を奪われそうになります。半夏に助けられますが、彼女の心はすでに限界でした。

実は、夫と呂三郎の死は、彼女が菩薩にいなくなってほしいと祈った直後に起きていたのです。彼女は再び菩薩に祈りを捧げます。女として生きるのは、もうこりごりだと…。彼女の悲痛な願いが、さらなる悲劇を呼び起こさないことを祈るばかりです。

『無憂渡~瞳に映った真実の愛~』第25話の感想

今回は、登場人物それぞれの願いが、皮肉な形で現実になっていく様が描かれ、非常に考えさせられる回でした。特に、杏仙の物語は胸が痛みます。夫からの暴力や隣人からの嫌がらせに苦しみ、ただ平穏を願っただけなのに、その結果は人の死という最悪の形。彼女の絶望的な状況と、そこから生まれた歪んだ祈りが、この物語の根底にある人の想いと妖しの世界の関わりというテーマを深くえぐり出しています。彼女の行動は許されるものではありませんが、そうなるまで追い詰められた彼女の境遇には、同情を禁じえません。

そして、宣夜と半夏のあまりにも切ないすれ違い。お互いを想い合っているからこその決別は、見ていて本当に苦しかったです。半夏の幸せを願って身を引く宣夜と、ただ彼と共にいたいと願う半夏。二人の純粋な想いが、周囲の状況によって無情にも引き裂かれていく展開は、本作の持つロマンスの側面をより一層際立たせていました。新たに現れた子空という存在が、このもどかしい二人の関係に、そして物語全体にどのような影響を与えていくのか、目が離せません。

つづく