第29話は、もう…切なさの大洪水でした。特に赤練(チー・リェン)と杏仙の物語には、胸を締め付けられます。一方で、宣夜(センヤ)の恋模様も、まさかの人物によって大きく動き出しましたね。それでは早速、波乱の29話の詳しいあらすじとネタバレを見ていきましょう!
謎の青年・子空(ズークン)、復讐の旅へ
物語は、見知らぬ屋敷で目覚めた青年・子空(ズークン)のシーンから始まります。彼を助けたという女性に礼もそこそこに、慌てて自分の荷物を探る子空(ズークン)。血のついた手ぬぐいを見つけると、それを強く握りしめ、弟・蛮瑛(ばんえい)の名を呟きます。その瞳に宿る決意の炎は、明らかに平穏な再会だけを望んでいるものではありませんでした。彼の復讐の旅が、静かに幕を開けたのです。
赤練(チー・リェン)の覚悟と杏仙の殺意
その頃、赤練(チー・リェン)に別れの手紙を残し、去る決意を固めていました。半夏(ハンゲ)は彼は悪い妖じゃないと庇いますが、宣夜(センヤ)は妖は人の命を軽んじる。厳しく律するべきだと厳しい姿勢を崩しません。
一方、杏仙(きょうせん)は寺で手を合わせながら、その実、恐ろしい願いを立てていました。赤練をこの手で殺せますようにと。彼女の歪んだ執着は、もはや誰にも止められません。聴雨軒で別れの挨拶をしていた赤練は、その殺気を敏感に感じ取りますが、彼は逃げることなく、静かにその時を待っていました。
毒酒に込めた最後の優しさ
杏仙は、自ら毒酒を携えて赤練のもとへ現れます。赤練はすべてを悟りながらも、彼女を問い詰めることはしませんでした。代わりに、彼女の琴の由来を尋ねます。杏仙は、幼い頃から母に琴を弾くことを禁じられてきた悲しい過去を打ち明けました。
もうすぐ自由に弾けるようになると優しく慰める赤練。彼は、亡き友のために作ったという曲を奏でます。その哀しくも美しい音色に、杏仙は涙を流しました。演奏を終えた赤練は、喜んでくれたか?と問いかけ、彼女が頷くのを見ると、迷いなく毒の杯をあおるのでした。
李賢の奇策!まさかの師娘爆誕
場面は変わり、まさかの展開が!なんと李賢(りけん)が半夏(ハンゲ)の前にひざまずき、半夏との婚約解消を申し出たのです。自分が未熟なため、まずは学問に励みたいとすべての責任を負う姿に、半夏も感謝の言葉を述べます。
しかし、話はこれで終わりません!李賢はその足で宣夜に弟子入りを志願。そして、皆の目の前で半夏のことを師娘(奥様)!と呼んだのです。これには宣夜もタジタジ。半夏の取りなしもあり、渋々ながらも拝師の茶を飲む宣夜。彼は半夏にだけ聞こえるように、本当に師娘を彼に嫁がせるわけにはいかないだろうと囁くのでした。李賢、とんだ策士ですね!
偽りの告白と、明かされた真実
杏仙は宣夜のもとへ駆け込み、涙ながらに嘘の物語を語ります。張璞(ちょうはく)は私の夫でした。赤練が夫を殺し、私を無理やりそばに置いて琴を弾かせたのですと。そして、自分が雄黄酒を使って赤練を殺したと主張します。
しかし、宣夜が遺体が入っているはずの箱を開けると、中は空っぽ。宣夜の鋭い目は、すべてを見抜いていました。彼は、赤練が恩返しのために杏仙の罪をすべて被り、彼女が白先生として生きられるよう、自らの修為(妖力)を捨てて姿を消したという真実を突きつけます。
その頃、すべてを失い重傷を負った赤練は、静かに驢馬に乗って去っていきました。彼を追ってきた霊蝶にさえ、別れを告げて…。
壁越しの恋心
物語の終わり、司馬令嬴(スーマー・リンイン)のコミカルなやり取りを挟みつつ、半夏は宣夜が勝手に結婚の日取りを決めたことに腹を立てていました。命を懸けて君を守ると約束する宣夜。壁一枚を隔てて、明日の甘味の話をする二人。その甘酸っぱい空気を破ったのは、半夏の父の声でした。二人の恋の行方は、まだまだ一筋縄ではいかないようです。
『無憂渡~瞳に映った真実の愛~』第29話の感想
今回のエピソードは、赤練というキャラクターの深い愛情と自己犠牲に心を揺さぶられました。彼は杏仙の歪んだ執着と殺意に気づきながらも、彼女が抱える過去の傷を思いやり、自らの命と力を差し出す選択をします。その姿は、人と妖という種の壁を超えた、純粋で悲しい愛の形を見せてくれました。一方で、杏仙の行動は、愛が執着に変わる恐ろしさと哀れさを浮き彫りにしています。
また、策士・李賢の登場により、宣夜と半夏のじれったい関係が公の場で一気に進展したのも見どころでした。これまで妖に対する厳しい姿勢を崩さなかった宣夜が、赤練の真実を知り、半夏の考え方にどう影響されていくのか。物語の核心に迫る、非常に重層的で考えさせられる回でした。
つづく