昆仑山を目指す緝妖隊一行。しかし、ある人物の策略により、予定を変更して謎の疫病が蔓延する思南水鎮へ立ち寄ることになる。かつて栄えた町は見る影もなく寂れ、不穏な空気が漂っていた。文瀟(ぶんしょう)と趙遠舟(ちょうえんしゅう) は白澤令の力で疫病の拡大を防ごうとするが、卓翼宸(たくよくしん)は一連の出来事が巧妙に仕組まれた罠ではないかと疑い始める。やがて一行は妖気の発信源である霊犀山荘へと向かうが、そこには彼らを待ち受けるさらなる陰謀が渦巻いていた。
「大夢帰離~明かせぬ想い、宿命の朱~」あらすじネタバレ11話
姉弟の涙の再会と、裏でうごめく巨大な陰謀
冒頭は、涙なしには見られないシーンから。趙遠舟(ちょうえんしゅう) の計らいで、裴思婧(はいしせい)のもとに弟・裴思恒(はいしこう)の人形が届けられます。彼女がそっとそれに触れると、なんと人形が本物の裴思恒(はいしこう)の姿に!趙遠舟(ちょうえんしゅう) の混沌法術によって、意識だけでも姉の元へ来られるようになったんですね。
姉さんの足手まといだったと自分を責める弟に、あなたの病を治すためなら、なんだってしたかったと返す思婧。この姉弟愛、本当に泣かせます…。でも、この感動的な再会の裏で、とんでもない計画が進行していたなんて、この時の私たちは知る由もありませんでした。
場面は変わって、謎の黒衣の人物と密会する離崙(りろん)。どうやら二人はグルで、緝妖隊の持つ白澤令を破壊しようと企んでいる様子。そのために、緝妖隊の昆仑への到着を遅らせる必要がある、と。そして、そのための駒として、昆仑山麓にはすでに青耕(せいこう)という妖を配置済み。さらに、交換条件として趙遠舟の内丹を狙っていることも明らかに…。計画が壮大すぎて、ちょっと鳥肌が立ちました。
そして、衝撃の事実が判明します。なんと、緝妖隊の到着を遅らせる役目を担っていたのは、裴思婧(はいしせい)だったのです!彼女は黒衣の人物が送り込んだスパイだったのでした。弟を想うあの涙は本物だったはず。それなのに、なぜ…。彼女の行動の裏には、どんな事情が隠されているのでしょうか。
疫病の町・思南水鎮に仕掛けられた罠
緝妖隊は予定通り昆仑へ向かおうとしますが、出発間際に英磊(えいらい)が裴思婧の思南水鎮というつぶやきを耳にしたことで、運命の歯車が狂い始めます。一行は、かつての賑わいが嘘のように寂れ、疫病が蔓延する思南水鎮へと足を踏み入れてしまうのです。
この疫病も、もちろん偶然ではありません。黒衣の人物と青耕(せいこう)が仕組んだ罠でした。
文瀟(ぶんしょう)と趙遠舟は、白澤令の力で疫病の拡大を食い止めようとしますが、ここで卓翼宸(たくよくしん)が鋭い指摘をします。乗黄(じょうこう)の一件から、何もかもが誰かに仕組まれているようだと。そう、彼もまた、この一連の流れに違和感を覚えていたのです。さすが卓翼宸(たくよくしん)、ただのクールなだけじゃない!
そんな中、白玖(はくきゅう)と英磊(えいらい)は薬草を探す中で、師匠の温宗瑜(おんそうゆ)と再会。彼もこの町で人々を救っていました。やがて、文瀟(ぶんしょう)が白澤令で妖気の発信源が霊犀山荘であることを突き止め、一行はそこへ向かうことに。
囚われの卓翼宸と、敵の真の狙い
霊犀山荘へ向かう途中、白玖(はくきゅう)が妖風にさらわれ、それを助けようとした趙遠舟と卓翼宸も後を追います。しかし、これは巧妙な罠でした。
卓翼宸は山荘に忍び込みますが、あっけなく黒衣の人物に気絶させられ、棺の中に閉じ込められてしまいます。一方、趙遠舟は気絶していた白玖を発見。そこに文瀟たちも合流します。
そして、事態はさらに悪化。黒衣の人物は、卓翼宸を青耕の元へ連れて行きます。彼らの真の狙いは、卓翼宸を利用して趙遠舟の内丹を奪うことだったのです!気絶したふりをして会話を盗み聞きしていた卓翼宸は、その卑劣な計画を知り協力を拒否。すると、青耕は妖骨針で彼を容赦なく突き刺し、卓翼宸は激痛にのたうち回るのでした…。
仲間がスパイで、信頼していた仲間が敵に利用されようとしている…。緝妖隊、最大のピンチです!趙遠舟たちは、この絶体絶命の状況をどう切り抜けるのでしょうか!?
『大夢帰離~明かせぬ想い、宿命の朱~』第11話の感想
今回のエピソードは、物語の裏で進行していた巨大な陰謀の輪郭がはっきりと見え始め、息を呑む展開の連続でした。特に衝撃的だったのは、裴思婧がスパイだったという事実です。あれほど弟を想う深い愛情を見せていた彼女が、なぜ仲間を裏切る道を選んだのか。その背景にあるであろう葛藤や苦悩を思うと、胸が締め付けられます。また、鋭い洞察力で陰謀の気配を察知していた卓翼宸が、敵の罠に落ちてしまう皮肉な展開も印象的でした。彼の忠誠心と仲間への想いが、逆に敵に利用される形となってしまったのが非常につらいです。物語の縦軸である大きな謎と、キャラクターそれぞれの宿命や想いという横軸が巧みに絡み合い、物語に一層の深みを与えています。単純な善悪二元論では語れない、複雑な人間(妖)模様から目が離せません。
つづく