霊犀山荘に封印されていた青耕(せいこう)の謎と、彼女に付き従う蜚の正体が明らかになる。趙遠舟(ちょうえんしゅう) たちは、青耕を苦しみから解放し、町に蔓延する疫病を根絶しようと奔走する。しかし、治ったはずの病が再び人々を襲い、その背後には千年槐妖・離崙(りろん)の邪悪な陰謀が渦巻いていた。回想の中で語られる、蜚と青耕の出会いと悲しい宿命。果たして一行は、すべての呪いを解き、山荘に平和を取り戻すことができるのか。愛と犠牲が交差する、涙の第13話。
「大夢帰離~明かせぬ想い、宿命の朱~」あらすじネタバレ13話
今回は、霊犀山荘に隠された悲しい恋の物語が、ついに核心を迎えました。涙なしには見られない、蜚(ひ)と青耕(せいこう)の結末。そして、全ての元凶である離崙(りろん)の悪意が、静かに、しかし確実に物語を侵食していきます。
蜚の自己犠牲と、青耕に隠された真実
疫病を広めてしまうという呪われた宿命を持つ蜚は、孤独な日々を送っていました。そんな彼にとって、青耕は初めてできた、かけがえのない友人。しかし、皮肉にも彼女の住む町に疫病を運んでしまい、二人は白沢神女(はくたくしんにょ)によって霊犀山荘に封印されることになります。
そして現代。趙遠舟(ちょうえんしゅう) たちが青耕を救ったことで、蜚はある決意を固めます。それは、自らの命の源である内丹を砕き、その力で青耕を完全に解放することでした。蜚は静かに消滅し、後には小さな鈴だけが残されます。目覚めた青耕は、その鈴を見て初めて蜚の大きな愛と犠牲を知り、静かに涙を流すのでした。自由になれて嬉しいと口では言いながらも、その涙は彼女の本当の気持ちを物語っていました。
しかし、青耕の態度の豹変には理由がありました。趙遠舟(ちょうえんしゅう) は、彼女の耳の後ろにある印から、離崙(りろん)を植え付けられていたことを見抜きます。趙遠舟(ちょうえんしゅう) の力で青耕の中の戾気が焼き払われると、彼女は本来の心優しい姿を取り戻しました。
回想で明かされる、幸せな過去と悲劇の始まり
心を取り戻した青耕は、蜚との出会いを思い出します。それは、町の祈福大会の日。灯籠を掛けようとして脚立から落ちた彼女を、蜚が助けてくれたのが始まりでした。やがて二人は友人となり、疫病が流行した際には、青耕が自ら望んで蜚と共に封印される道を選んだのです。
二人きりの山荘での日々は、穏やかで幸せなものでした。しかし、そこに千年槐妖の離崙(りろん)が現れます。離崙は青耕に幻を見破る破幻真眼を与え、彼女が神女であり、災獣の蜚とは身分が違うと囁き続けます。さらに、白沢神女(はくたくしんにょ)が平和を偽っていると嘘を吹き込み、少しずつ青耕の心に憎しみを植え付けていったのです。青耕が蜚に冷たく当たっていたのは、彼を離崙から守るため。しかし、その真意を伝える前に、蜚は永遠に姿を消してしまいました。
消えぬ疫病と、新たなる希望
蜚が消えても、彼がもたらした疫病は完全には消えていませんでした。裴思婧(はいしせい)が突然倒れ、皆の体から赤い斑点が消えないのを見て、一行は愕然とします。
ここで立ち上がったのが、天才医師の白玖(はくきゅう)です。彼は必死に解毒薬を調合しますが、なかなか完成しません。文瀟(ぶんしょう)が、青耕が薬の力を一つにまとめる薬引が足りないと話していたことを思い出します。それを聞いた白玖(はくきゅう)は、古書にあった青耕鳥が棲む木の樹皮を薬引に使うことを思いつき、見事、解毒薬を完成させました。
黒幕の影と、それぞれの道
皆の病が癒えた後、卓翼宸(たくよくしん)は、青耕が使っていた毒針が、数年前に崇武営が開発したものだと気づきます。これにより、離崙と崇武営が裏で繋がっているという、物語の根幹を揺るがす事実が判明しました。
事件解決後、文瀟(ぶんしょう)と趙遠舟は白澤令を使い、青耕の封印を解きます。彼女が離崙に操られていただけだと分かり、罪には問われませんでした。しかし、青耕は山荘を去ろうとはしません。趙遠舟はそっと冉遺(ぜん・い)の鱗片を差し出します。それは、彼女が望むなら、夢の中で蜚と共に幸せな時を過ごせるようにという、彼の優しさでした。
一方、白玖(はくきゅう)は疫病を払った枯れ木を見て、樹妖に殺された母を思い出し怯えてしまいます。そんな彼を卓翼宸(たくよくしん)が慰め、二人の間には確かな絆が芽生え始めているようでした。
『大夢帰離~明かせぬ想い、宿命の朱~』第13話の感想
今回は、蜚と青耕の物語に一つの区切りがつき、その結末には胸を締め付けられました。自らの存在が呪いであると知りながら、ただ一人の友人のために全てを捧げた蜚の愛は、あまりにも純粋で切ないです。彼の犠牲によって青耕は救われましたが、残された彼女の悲しみを思うと、やりきれない気持ちになります。
しかし、青耕が離崙に操られていたという事実が明かされたことで、物語に深みが加わりました。彼女が蜚を突き放したのは、彼を守るためだった。この救いのある真実が、単なる悲恋物語で終わらせない巧みな脚本だと感じます。悪役である離崙の暗躍が、登場人物たちの行動原理をより複雑で魅力的なものにしています。物語のスケールが一段と広がり、今後の展開から目が離せなくなりました。
つづく