大荒の未来を懸けた星宿の陣を開く儀式を目前に控え、一行は準備を進める。しかし、最も妖の気が強まる血月の夜が近づく中、趙遠舟(ちょうえんしゅう) は自身の暴走を深く憂慮し、文瀟(ぶんしょう)に悲痛な願いを託す。一方、卓翼宸(たくよくしん)もまた、趙遠舟からある覚悟を伝えられていた。そして訪れた儀式の当日、信頼していた仲間の一人による予期せぬ裏切りが、すべてを混乱に陥れる。時を同じくして、謎の集団が一行に襲いかかり、絶体絶命の危機の中で、事件の背後にいた黒幕の真の目的が明かされる。

「大夢帰離~明かせぬ想い、宿命の朱~」あらすじネタバレ15話

ついに物語が大きく動き出した第15話! これまで水面下で進んでいたいくつかの企みが一気に表面化し、息もつかせぬ展開になりましたね。今回は、趙遠舟(ちょうえんしゅう) の悲痛な覚悟と、仲間だと思っていた人物による衝撃の裏切りが描かれました。さっそく、怒涛の15話の全貌を振り返っていきましょう!

決戦前夜、それぞれの覚悟

大荒を守るための星宿の陣。山神(さんしん)である英招(えいしょう)の協力のもと、趙遠舟(ちょうえんしゅう) と文瀟(ぶんしょう)が白澤令を催動させるという、一行の命運を懸けた儀式がいよいよ始まろうとしていました。

しかし、その前夜、趙遠舟(ちょうえんしゅう) の心は深く沈んでいました。翌日は、最も妖の気が強まる血月の夜。彼は自身の制御が効かなくなり、戾気に飲み込まれてしまうことを恐れていたのです。これまでも、そのせいで多くの過ちを犯してきたと語る趙遠舟。彼は文瀟(ぶんしょう)に、もし自分が暴走したら、ためらわずに白澤令で自分を殺してほしいと懇願します。それは、長年彼が抱き続けてきた悲しい願いでした。

文瀟(ぶんしょう)は、先に陣を開いてから白澤令を趙遠舟の体内に戻せばいいと提案しますが、趙遠舟の苦悩は消えません。恋人となったことで、かつて結んだ同僚でいるという契約に背く代償の胸の痛みに耐えながらも、彼は文瀟と出会って初めて心から生きたいと願うようになっていました。死を望みながらも、誰よりも生を渇望する…その矛盾が、彼の心を締め付けていたのです。

一方、趙遠舟は夜更けに一人で剣の稽古をする卓翼宸(たくよくしん)のもとを訪れます。そして、自身を含むあらゆる妖邪を滅ぼすことができるという、古の剣技を授けました。家族の仇である自分を殺すという誓いを立てた卓翼宸(たくよくしん)に、その覚悟を改めて問い、もし儀式で自分に万が一のことがあれば、必ず文瀟を守ってほしいと後を託します。その瞳には、以前の死を覚悟した光とは違う、この世への未練が確かに宿っていました。

衝撃の裏切りと、現れた黒幕

そして、運命の儀式当日。不穏な空気は、別の場所でも漂っていました。裴思婧(はいしせい)が謎の黒衣の人物と密会しているのを、偶然にも白玖(はくきゅう)が目撃してしまいます。物音を立てて気づかれてしまった白玖(はくきゅう)は、その後姿を消してしまいました。

英招と燭陰(しょくいん)によって、ついに星宿の陣を開く儀式が始まります。しかし、儀式が始まった直後、燭陰(しょくいん)が力を抜き、陣を破綻させてしまうのです! そう、仲間であるはずの山神(さんしん)・燭陰こそが、大荒の破滅を目論む内通者でした。

時を同じくして、乾坤門には黒衣の集団が襲来。門を守る卓翼宸(たくよくしん)と英磊(えいらい)の前に現れたのは、崇武営の兵士ではなく、刀も槍も通じない凶暴な妖邪、横公魚(おうこうぎょ)でした。

陣の中で、文瀟は燭陰になぜ裏切ったのかと問い詰めます。すると、燭陰の体に、かつて趙遠舟の親友であった千年槐妖・離崙(りろん)が憑依して姿を現しました。離崙(りろん)は、自分と燭陰の目的は同じ、人と妖を隔てる結界を破壊し、両界を自由に行き来できるようにすることだと、その真の野望を明らかにしたのでした。

『大夢帰離~明かせぬ想い、宿命の朱~』第15話の感想

今回は、物語の前提が大きく覆される、まさに転換点となる回でした。趙遠舟の抱える苦悩と、文瀟や卓翼宸との間に芽生えた複雑で深い絆が丁寧に描かれていたからこそ、終盤の裏切りがより一層際立ちました。特に、信頼していた山神・燭陰が内通者だったという事実は衝撃的です。彼の裏切りによって、これまで積み上げてきた計画がすべて崩れ去る絶望感は計り知れません。

さらに、敵として立ちはだかる離崙(りろん)の目的が、単なる破壊ではなく人と妖の共存という、ある種の理想に基づいている点も物語に深みを与えています。彼の掲げる理想は、趙遠舟や文瀟が目指す未来と、どこかで交差する可能性はあるのでしょうか。多くの謎と新たな対立軸が提示され、物語がどこへ向かうのか、ますます目が離せなくなりました。

つづく