大荒の未来をかけた白澤令の統合が目前に迫る中、離崙(りろん)の策略によって事態は急変します。不吉な血月が昇り、その影響で趙遠舟(ちょうえんしゅう) は恐ろしい力に呑まれ、自我を失ってしまいます。仲間たちが必死に彼を止めようとする一方で、これまで謎に包まれていた過去の悲劇が明らかに。それは、趙遠舟と卓翼宸(たくよくしん)、そして文瀟(ぶんしょう)の宿命を根底から揺るがす衝撃的な真実でした。逃れられない運命と繰り返される絶望を前に、仲間たちは大きな決断を迫られます。愛と友情が試される、緊迫のエピソードです。

「大夢帰離~明かせぬ想い、宿命の朱~」あらすじネタバレ16話

血の月夜に狂う、悲しき宿命の始まり

物語は、大荒の消滅を目論む離崙(りろん)と、それを阻止しようとする趙遠舟(ちょうえんしゅう) の緊迫した対峙から始まります。離崙(りろん)は弱肉強食こそが世の理だと主張し、聞く耳を持ちません。趙遠舟(ちょうえんしゅう) は、離崙の真の目的を探りつつも、万が一の事態に備え、すでに卓翼宸(たくよくしん)と英磊(えいらい)に策を授けていました。

ついに白澤令が一つになろうとしたその瞬間、事態は最悪の方向へ。燭陰(しょくいん)が離崙の側に付き、強制的に夜を呼び寄せたのです。空には不吉な血色の月が浮かび上がり、その邪悪な気に呼応するように、趙遠舟の体に強大な戾気(れいき)が流れ込みます。彼の姿はみるみるうちに恐ろしく変貌し、自我を失ってしまいました。

暴走した趙遠舟の力は圧倒的。仲間であるはずの燭陰(しょくいん)の首を締め上げ、その両目を潰してしまいます。この光景に、離崙は世界の破滅を確信し、歪んだ笑みを浮かべるのでした。

英招(えいしょう)と英磊(えいらい)が命がけで趙遠舟を鎮妖塔に封じ込めますが、それは一時しのぎに過ぎません。卓翼宸(たくよくしん)は、初めて会った日に趙遠舟からいつか俺を殺してくれと頼まれた言葉を思い出します。その時が、今まさに訪れようとしていたのです。

繰り返される絶望…明かされた過去の罪

文瀟(ぶんしょう)が必死に趙遠舟を庇うと、離崙は彼女に残酷な真実を突きつけます。それは、趙遠舟がかつて、彼の最愛の人であったはずの趙婉児(ちょう えんじ)をその手で殺めたという衝撃の過去でした。

離崙が見せた記憶の中で、若き日の趙婉児(ちょう えんじ)と趙遠舟は、掟を破った離崙を封印します。しかしその直後、血月が昇り、趙遠舟は戾気に呑まれて暴走。愛する趙婉児の胸を剣で貫いてしまったのです。趙婉児は最後の力を振り絞り、白澤令を未来の文瀟(ぶんしょう)へと託しました。さらに、駆けつけた卓翼宸の父・卓翼軒(たくよくけん)までもが、暴走した趙遠舟の犠牲となっていたのでした。

血月が消え、正気に戻った趙遠舟は、自らが犯した罪の重さに絶望します。そして今、再び同じ悲劇が繰り返されようとしているのです。

三界の血を力に…卓翼宸、苦渋の決断

離崙の策略が続く中、裴思婧(はいしせい)と白玖(はくきゅう)、そして裴思恒(はいしこう)が駆けつけますが、封印を解かれた離崙の力は強大で、歯が立ちません。

ついに鎮妖塔が破壊され、完全に暴走した趙遠舟が姿を現します。卓翼宸は、趙遠舟から事前に託されていた最後の策を実行に移すことを決意します。それは、人・神・妖、三界の血をもって戾気を制すというものでした。

卓翼宸は英磊の手を傷つけ、その血を、そして自らの血をも雲光剣に滴らせ、趙遠舟に立ち向かいます。二つの強大な力が激しくぶつかり合いますが、趙遠舟の力はあまりに強大。必死に抵抗する卓翼宸でしたが、趙遠舟が放った夢の呪いによって、ついに膝から崩れ落ちてしまうのでした…。

『大夢帰離~明かせぬ想い、宿命の朱~』第16話の感想

今回のエピソードは、物語の核心に触れる非常に重い内容でした。これまで断片的に語られてきた過去の悲劇、その全貌がこれほどまでに残酷だったとは…。趙遠舟が背負ってきた罪と苦しみの深さを思うと、胸が締め付けられます。彼が自ら殺してくれと頼んだ理由が、あまりにも悲痛です。愛する者をその手で殺めてしまうという、逃れられない宿命。血月の下で繰り返される絶望に、ただ言葉を失いました。一方で、その宿命に抗おうとする卓翼宸の覚悟と、仲間たちの絆が唯一の光のように感じられます。特に、趙遠舟を信じ、彼の策を実行しようとする卓翼宸の姿には、悲壮な決意が滲み出ていました。物語は取り返しのつかない領域に踏み込んだように見えますが、彼らがこの絶望的な状況からいかにして希望を見出すのか、今後の展開を静かに見届けたいと思います。

つづく