天香閣での事件の真相が明らかになり、文瀟(ぶんしょう)にかけられていた嫌疑は晴れる。しかし、戾気に蝕まれる趙遠舟(ちょうえんしゅう) の命は風前の灯火。彼を救う唯一の方法である白澤令の修復には、枯れてしまった神木を蘇らせる必要があった。仲間たちの協力で神木再生の糸口は見つかるも、そこには大きな時間の壁が立ちはだかる。愛する人を救うため、文瀟は危険な賭けに出ることを決意するが、その裏で、仲間であるはずの卓翼宸(たくよくしん)の行動に不審な影が差し始める。
「大夢帰離~明かせぬ想い、宿命の朱~」あらすじネタバレ22話
やれやれ、一難去ってまた一難とはこのことね!天香閣での大捕り物の末、ついに傲因(ごういん)が正体を現したことで、文瀟(ぶんしょう)にかけられた濡れ衣がやっと晴れたわ!多くの人が見ていたから、もう誰も文瀟(ぶんしょう)を疑えない。これで一安心…と思いきや、物語はそんなに甘くなかったのよ。
疑惑の種は、静かに芽吹く
まず、文瀟(ぶんしょう)と、一緒に捕らえられていた裴思婧(はいしせい)が無事に釈放されたの。裴思婧(はいしせい)は、温宗瑜(おんそうゆ)が密かに進める妖化人研究の秘密を、趙遠舟(ちょうえんしゅう) に記録していたから、それを盾に解放されたのね。仲間を思う卓翼宸(たくよくしん)は、その証拠の日晷を温宗瑜の目の前で破壊して見せた。これで一件落着…のはずだった。
でも、本当の戦いはここから。戾気(れいき)に蝕まれ、命の刻限が迫る趙遠舟(ちょうえんしゅう) を救うには、白澤令(はくたくれい)の修復が不可欠。でも、そのために必要な神木は枯れたまま。
ここで、山神(さんしん)の孫である英磊(えいらい)の血が木を蘇らせたことを思い出すの。人・神・妖の三族の血を引く自分なら…と一縷の望みをかけて血を滴らせると、神木に緑の枝が一本だけ芽吹いた!でも、喜んだのも束の間。白澤令の修復には、なんと三百年以上育った幹が必要で、これじゃ全然間に合わない。趙遠舟(ちょうえんしゅう) の命は、あと三日も持たないかもしれないのに…。
文瀟の決死の策と、深まる謎
愛する人を救いたい一心で、文瀟は寝る間も惜しんで古文書を読み漁る。その姿を見て、卓翼宸(たくよくしん)が心配して夜食を届けたりするんだけど、彼の優しさの裏に何が隠されているのか、この時はまだ誰も知らなかったのよね。
そんな中、文瀟は白玖(はくきゅう)との会話をヒントに、とんでもない方法を思いつく。それは、時間を操る宝具日晷を使って時の流れを止め、神木の枝を時空のトンネルへ持ち込むこと。そうすれば、外の世界では一瞬でも、時の流れが違う場所で神木を三百年分成長させられる!陸吾(りくご)は、その方法は可能だけど、止まった時の中で過ごすのは耐え難い苦痛を伴うと警告する。それでも文瀟の決意は固かったわ。
そして、文瀟が命がけで神木の幹を手に入れた、まさにその時よ。英磊が衝撃の事実を告げるの。卓翼宸(たくよくしん)が、半日も前に趙遠舟を捕まえに向かったって。
文瀟は心配ないわ、彼とは策を話し合ってあるのと落ち着いて答える。その策とは、白玖(はくきゅう)が作った特製の落魂針(らっこんしん)で趙遠舟を仮死状態にし、追手をごまかすというもの。でも、それを聞いた白玖は真っ向から否定。そんな針、作った覚えはないって。
その瞬間、みんなの頭の中に、これまでの卓翼宸の不可解な行動がパズルのピースのようにはまっていく。天香閣で傲因を追った時もそう。白玖の術で傲因の動きは鈍っていたはずなのに、先頭にいた卓翼宸がなぜか取り逃がした…明らかに不自然だった。仲間だと思っていた彼の行動のすべてが、大きな疑惑に変わった瞬間だったわ。
『大夢帰離~明かせぬ想い、宿命の朱~』第22話の感想
今回は、安堵と絶望が目まぐるしく入れ替わる、息もつけない展開でした。文瀟の無実が証明され、一息つけるかと思いきや、趙遠舟の命の危機という、より大きな問題が突きつけられます。仲間たちが知恵を絞り、英磊の自己犠牲で一筋の光が見えたかと思えば、三百年の時間という壁に阻まれる。この緩急の付け方が、物語への没入感を一層深めています。
そして何より、信頼していた仲間、卓翼宸への疑惑が物語に不穏な影を落としました。彼の優しさや苦悩の裏に隠された真意は何なのか。彼の行動の一つ一つに裏があった可能性が示唆され、これまでの物語の見方すら覆されるような衝撃があります。文瀟の趙遠舟への一途な想いと、彼女が払おうとする大きな犠牲の対比も鮮やかで、キャラクターたちの覚悟の重さが胸に迫る回でした。
つづく