白玖(はくきゅう)を救う鍵となる龍鱗を求め、趙遠舟(ちょうえんしゅう) と文瀟(ぶんしょう)は気難しい龍魚姫(りゅうぎょひめ)のもとを訪れます。しかし、龍魚姫が突きつけてきたのは、龍鱗と引き換えに趙遠舟の内丹を差し出すという、あまりにも過酷な条件でした。その要求の裏には、彼女の悲しい過去と、ある男への消えない憎しみが隠されていました。仲間を救うための苦渋の決断、仕組まれた策略、そして明らかになる復讐劇。緝妖隊の絆が試される中、事態は予期せぬ方向へと転がっていきます。
「大夢帰離~明かせぬ想い、宿命の朱~」あらすじネタバレ28話
白玖(はくきゅう)を救うため、ついに龍魚姫(りゅうぎょひめ)の封印を解いた文瀟(ぶんしょう) と一緒に彼女の住む洞窟へ向かうんだけど、この龍魚姫(りゅうぎょひめ)、とんでもなく気難しいことで有名。特に男嫌いってことで、卓翼宸(たくよくしん)たちは白帝塔で待機することに。遠舟は卓翼宸(たくよくしん)と千里伝音で連絡を取り合えるようにして、万全の態勢で臨むんだ。
洞窟に入る前、遠舟と文瀟(ぶんしょう)がイチャイチャしてるのを、英磊(えいらい)がちゃかしたりして、束の間の和やかなムードが流れるんだけどね…。
龍鱗の代償と、明かされる龍魚姫の悲恋
龍魚姫に会ってみると、なんと龍鱗を求めに来たのは彼らで三組目!すでに離崙(りろん)も来ていたらしい。龍魚姫は言うんだ。龍鱗は奪い取ったら効果を失う。自ら進んで与えなければ、万物を蘇らせる力は発揮されないってね。
そこへ、甄枚(しん ばい)からの手紙を龍魚姫に届ける。差出人の名は孟玄(もうげん)。その名を聞いた龍魚姫の顔色が変わる。そして、この手紙の出所を知りたければ、趙遠舟(ちょうえんしゅう) の内丹と交換だ、ととんでもない条件を突きつけてきたんだ!
龍魚姫は、遠舟と文瀟(ぶんしょう)の深い愛情を目の当たりにして、かつての恋人・孟玄を思い出していた。二人は一目で恋に落ち、生涯を誓い合う仲だった。でも、孟玄には不治の病に侵された妻がいて、彼は妻を救うために龍魚姫の首の後ろにある逆鱗を狙って近づいていただけだったんだ。
裏切りを知った龍魚姫は激怒し、嫉妬に狂う。孟玄を城外に呼び出し、その隙に彼の家に猛毒の銷骨香を仕掛けた。しかし、孟玄は約束の場所には現れず、真っ直ぐ家に帰ってしまった。そして、その日、偶然孟玄の家を訪れていた文瀟の父親が、銷骨香によって命を落としてしまったんだ…。
偽りの取引と、暴かれる復讐の刃
文瀟の父親の命を奪った負い目がありながらも、龍魚姫は態度を崩さない。龍鱗が欲しければ、趙遠舟(ちょうえんしゅう) の内丹をよこせと。
仲間たちは究極の選択を迫られる。卓翼宸(たくよくしん)を苦しめたくない遠舟は、自ら内丹を差し出す覚悟を決める。卓翼宸はもちろん大反対。でも、白玖(はくきゅう)を救うことが最優先だと考える英磊。そんな中、文瀟だけが遠舟だって愛されるべき存在よ!と叫ぶんだ。
卓翼宸は、白玖(はくきゅう)がいつも自分を頼っていたことを思い出し、心が揺れる。裴思婧(はいしせい)も白玖を救う方に傾いている。皆の葛藤を知り、遠舟は心を鬼にして、自ら内丹を取り出そうとする…!
龍魚姫は約束通り龍鱗を差し出す。そして、かつての恋人・温宗瑜(おんそうゆ)と対峙する。温宗瑜は昔の情など微塵もなく、妻の仇として龍魚姫に襲いかかる!その瞬間、裴思婧(はいしせい)の矢が龍魚姫を救った。ここで温宗瑜は、自分が緝妖隊と龍魚姫にまんまと騙されていたことを知る。そう、遠舟が取り出したのは偽物の内丹だったんだ!
しかし、話はこれだけじゃ終わらない。龍魚姫はその偽の内丹に猛毒を塗っていた。だが、この数年で格段に力をつけた温宗瑜は、その偽の内丹をいとも簡単に握りつぶしてしまう。龍鱗を渡せば自分の命が尽きることを文瀟は知らなかった。瀕死の龍魚姫を前にしても、温宗瑜はお前が俺の妻と子を殺したんだ!大荒の妖獣すべてを道連れにしてやる!と憎しみをぶつける。
深まる絆と、新たな亀裂
一部始終を盗み聞きしていた遠舟たちは、温宗瑜の計画を探るためにひとまず身を隠す。温宗瑜が去った後、龍魚姫の魂は静かに消え、大荒へと還っていった。
運命の無情さを嘆く文瀟を、遠舟は優しく抱きしめる。もう死のうなんて思うな。一緒に生きて、大荒を守ろう。二人の気持ちが通じ合い、遠舟は文瀟に口づけをするんだ。
一方で、事態は最悪の方向へ。離崙(りろん)は毒でどんどん衰弱し、彼を慕う傲因(ごういん)は必ず龍鱗を奪うと復讐を誓う。
そして緝妖隊にも亀裂が。卓翼宸は、内丹の一件で自分を騙した遠舟たちに怒りを隠せない。遠舟は罪滅ぼしに龍鱗を差し出すが、誰も雲光剣の修復方法を知らないため、白玖の兄・白顔(はくがん)が来るまで待つことに。遠舟は離崙(りろん)の襲撃を警戒し、自分以外には開けられない封印を龍鱗に施す。
案の定、傲因が卓翼宸の姿に化けて龍鱗を奪いに来た!英磊は見破るも敵わず、龍鱗は奪われてしまう。遠舟が異変に気づいたその時、背後から本物の卓翼宸が剣を突きつけてきた。趙遠舟、お前は緝妖隊を裏切った。
ああ、なんてこった!仲間同士で剣を向け合うなんて…。
『大夢帰離~明かせぬ想い、宿命の朱~』第28話の感想
今回の物語の中心は、間違いなく龍魚姫の悲恋でした。愛した人に裏切られ、その憎しみが巡り巡って、愛するがゆえに罪を犯した文瀟の父親の命まで奪ってしまう。そして、その罪が再び自分に返ってくるという、あまりにも救いのない連鎖には胸が締め付けられました。純粋な愛が憎悪へと変貌する過程と、すれ違ったまま決して交わることのなかった温宗瑜との関係は、この物語の持つ無常観を象徴しているようでした。一方で、絶望的な状況の中で趙遠舟と文瀟の絆が確かなものになったのは、唯一の光でした。しかし、その光が強くなるほど、緝妖隊という家族の間に生まれた信頼の亀裂という影もまた、色濃くなっていくのが皮肉です。登場人物それぞれの正義と想いが複雑に絡み合い、物語に深い奥行きを与えていました。
つづく