行方不明になった龍の鱗を巡り、趙遠舟(ちょうえんしゅう) の隠された真意が明らかになります。一方、文瀟(ぶんしょう)は原因不明の毒に蝕まれ、苦しんでいました。彼女を救うため、そしてそれぞれが守りたいもののために、登場人物たちは大きな決断を迫られます。友情と信頼が試される中、失われた神器の修復には大きな犠牲が伴うことに。さらに、文瀟の解毒薬を巡って新たな争いが勃発し、ある人物の秘められた深い愛情が、悲劇的な結末を引き起こします。それぞれの思惑が複雑に絡み合い、物語が大きく動く注目の回です。
「大夢帰離~明かせぬ想い、宿命の朱~」あらすじネタバレ29話
いやあ、今回の『大夢帰離』第29話、とんでもない展開の連続でしたね!息つく暇もないとはこのこと。信じていたものが揺らぎ、敵だと思っていた人物の意外な一面が見えたりと、感情がぐちゃぐちゃにかき乱されました。
龍の鱗の真実と白顔の非情な決断
物語は、離崙(りろん)が龍の鱗の箱を開けるシーンから始まります。しかし、中身は空っぽ!激昂する離崙(りろん)は英磊(えいらい)を人質に取ります。
実は、龍の鱗を隠していたのは趙遠舟(ちょうえんしゅう) でした。彼は、鱗にはもっと重要な使い道があると主張します。その使い道とは…なんと、毒に侵された文瀟(ぶんしょう)の治療でした。
趙遠舟(ちょうえんしゅう) は、文瀟(ぶんしょう)が持つ白澤令(はくたくれい)の木簫に離崙(りろん)が毒を仕込んでいたこと、そして文瀟(ぶんしょう)がすでにその毒に深く侵されていることを見抜いていたのです。
しかし、ここで衝撃の事実が白顔(はくがん)の口から語られます。彼女は、龍の鱗を息子の白玖(はくきゅう)から離崙を引き剥がすために使いたかったという母親としての私情を明かします。それだけでなく、神族の後継者として、世界の平和を優先する非情な決断を口にするのです。もし文瀟が死ねば、白澤令は新たな主を選び毒は浄化される。しかし、白玖(はくきゅう)と離崙が分離できなければ世界は滅びる。白澤の神女とは、天下蒼生のために命を捧げるのが宿命なのだと…。あまりにも過酷な運命に、文瀟は恐怖に震えますが、それでも白玖(はくきゅう)に助かってほしいと願うのでした。
趙遠舟(ちょうえんしゅう) の犠牲と卓翼宸(たくよくしん)、苦渋の刃
白顔によれば、かつての神器・雲光剣(うんこうけん)を修復すれば、離崙を白玖から引き剥がせるかもしれないとのこと。しかし、修復には龍の鱗だけでなく、趙遠舟の妖力の源である内丹(ないたん)の中にある不燼木(ふじんぼく)が必要でした。
それを聞いた趙遠舟は、一切のためらいなく自らの内丹を取り出し、雲光剣の修復に捧げます。妖力を大幅に失い、弱々しくなった趙遠舟。
そんな彼に、卓翼宸(たくよくしん)が近づきます。これまでの趙遠舟の行動に複雑な想いを抱えながらも、彼は酒を酌み交わします。そして次の瞬間…なんと、修復されたばかりの雲光剣で趙遠舟の心臓を貫いたのです!
しかし、これもまた芝居でした。すべては文瀟を救うため。温宗瑜(おんそうゆ)が文瀟の解毒薬を持っていると踏んだ二人は、彼が執着する不燼木を趙遠舟の体から取り出し、取引するための苦肉の策だったのです。
解毒薬の行方と傲因(ごういん)の究極の愛
卓翼宸(たくよくしん)は不燼木を手に温宗瑜との取引に臨みます。しかし、温宗瑜が解毒薬を投げた瞬間、待ち伏せしていた傲因がそれを奪い取ります!
卓翼宸と傲因が争う隙に不燼木に触れようとした温宗瑜は、卓翼宸に刺されながらも手を伸ばしますが、不燼木に触れた途端、炎に包まれ灰となってしまいました。生身の人間が触れてはならない神物だったのです。
一方、傲因が開けた薬瓶は空っぽ。離崙を蝕む毒に解毒薬など存在せず、誰かが自らの妖力で毒を吸い出すしかないという絶望的な真実が明かされます。
そして、物語は最も悲しいクライマックスへ。故郷の昆侖山へ戻った離崙の前に、傲因が現れます。彼女は、自らの全妖力を懸けて離崙の毒をその身に吸い出し、力尽きて倒れてしまうのです。離崙を見つめるその瞳には、紛れもない愛がありました。傲因の命を懸けた愛によって救われた離崙は、彼女を抱きしめ、その深い愛情と犠牲を悟るのでした。
『大夢帰離~明かせぬ想い、宿命の朱~』第29話の感想
今回は自己犠牲が大きなテーマとして描かれていたように感じます。文瀟のために内丹を差し出す趙遠舟、その趙遠舟を刺すという苦渋の決断を下す卓翼宸、そして何より、愛する離崙のために命を捧げた傲因の姿には胸を締め付けられました。これまであまり深く描かれてこなかった傲因の秘めた想いが、最も悲しく、そして美しい形で示されたことには言葉を失います。それぞれのキャラクターが、守りたいもののために大きな代償を払う姿は、物語に一層の深みと重みを与えています。悪役であった温宗瑜のあっけない最期は因果応報と言えますが、彼の執念もまた物語を動かす重要な力でした。多くの謎が解明されると同時に、新たな悲劇が生まれ、登場人物たちの感情が複雑に絡み合う、非常に見応えのある回でした。
つづく