法力を取り戻した離崙(りろん)が、かつての友である趙遠舟(ちょうえんしゅう) に牙をむく。駆けつけた卓翼宸(たくよくしん)たち緝妖隊は、仲間を、そして白玖(はくきゅう)を救うため、離崙との総力戦に挑むことに。しかし、あまりにも強大な離崙の力の前に、仲間たちは次々と倒れてしまう。絶体絶命の状況の中、ある人物が皆を守るために大きな決断を下す。その悲しい代償の果てに、彼らが手にするものとは一体何なのか。固い絆が試される、衝撃の回。
「大夢帰離~明かせぬ想い、宿命の朱~」あらすじネタバレ30話
ついにこの時が来てしまいましたね…。法力を完全に取り戻した離崙(りろん)と、緝妖隊の仲間たちとの全面対決が描かれた第30話。あまりにも大きな犠牲に、胸が張り裂けそうでした。
離崙(りろん)、暴走。仲間たちの総力戦
法力を取り戻した離崙は、趙遠舟(ちょうえんしゅう) と碁を打ちながら、もはや人として生きる気がないことを宣言します。かつての友との決別を告げるかのように碁盤をひっくり返し、趙遠舟(ちょうえんしゅう) に襲い掛かりました。内丹を失っている趙遠舟はなすすべもなく、まさに絶体絶命…!
そこへ駆けつけたのは、卓翼宸(たくよくしん)たち緝妖隊の仲間たちでした。趙遠舟が力を失ったのは、雲光剣の修復だけでなく、白玖(はくきゅう)を救うためだったという衝撃の事実が明かされます。仲間を想う趙遠舟の行動とは裏腹に、離崙の怒りは増すばかり。裴思婧(はいしせい)の攻撃も通じず、駆けつけた兄の裴思恒(はいしこう)も一蹴されてしまいます。
文瀟(ぶんしょう)は、自らの体に深く刻まれる毒も顧みず、白澤令の笛を吹き鳴らして離崙を封じようと試みます。しかし、離崙の力はそれを上回り、文瀟(ぶんしょう)は無情にも吹き飛ばされてしまいました。
英磊(えいらい)、魂の叫びと最後の願い
このままでは離崙と白玖(はくきゅう)の神識が共に消滅してしまう…!文瀟の悲痛な叫びが響き渡る中、誰もがためらっていると、離崙の次なる攻撃が卓翼宸(たくよくしん)を襲います。
その瞬間、卓翼宸を突き飛ばし、身を挺して攻撃を受け止めたのは…英磊(えいらい)でした。彼は最後の力を振り絞って離崙を背後から押さえつけ、卓翼宸にすべてを託します。行け!とでも言うように。
卓翼宸は覚悟を決め、雲光剣で離崙を貫きました。
趙遠舟の最後の慈悲により、文瀟が取り出した槐の根に離崙の魂は吸い込まれ、魂飛魄散は免れます。しかし、白玖の体を抱きしめていた英磊は、すでに限界を超えていました。彼は、白玖をずっと見守ってきてくれた卓翼宸に彼女を託し、天都で一番の医者になってほしいという優しい願いと、白玖が一番崇拝していたのは卓翼宸だったという言葉を残し、静かに神識を失っていったのです…。
目覚めた白玖と、卓翼宸の決意
英磊の犠牲と引き換えに、白玖はついに目を覚まします。母・白顔(はくがん)との再会を喜びますが、自分のためにどれほど大きな代償が払われたのか、まだ知る由もありません。
回復した白玖が見たのは、遠ざかっていく英磊の幻でした。兄のように慕っていた彼の背中を、もう追うことはできません。卓翼宸は、英磊が白玖のために心を込めて作った杏仁酪乳を渡します。その優しさに触れ、白玖の目からは涙が溢れました。
友を守れなかったと自責の念に駆られる裴思婧(はいしせい)を文瀟が慰める一方、卓翼宸は大きな決意を固めていました。英磊の自己犠牲を目の当たりにし、そして甄枚(しん ばい)の言葉を胸に、彼は自らの手で文瀟の毒を吸い出すことを選んだのです。
『大夢帰離~明かせぬ想い、宿命の朱~』第30話の感想
今回のエピソードは、誰かのための自己犠牲というテーマが深く、重く描かれていました。特に英磊の行動には、ただただ涙するしかありませんでした。彼は決して物語の中心で輝くタイプではありませんでしたが、その温かく、誰よりも優しい心で常に白玖を想い、最後は仲間全員を守るためにその身を捧げました。彼の最期の願いが、白玖の幸せと成長に向けられていたことに、彼の愛情の深さを感じずにはいられません。この悲しい出来事が、残された者たちの心に何を残し、どう変えていくのか。特に、英磊の想いを受け継ぐ形となった卓翼宸の決意は、今後の物語の大きな原動力となるでしょう。悲しみの中にも、キャラクターたちの絆の強さと、次へ向かうための確かな意志が描かれた、非常に見応えのある回でした。
つづく