温宗瑜(おんそうゆ)の策略により、卓翼宸(たくよくしん)は仲間たちが次々と命を落とす悪夢沈溺の夢に囚われてしまう。夢の中で死ねば現実でも死ぬという絶望的な状況の中、趙遠舟(ちょうえんしゅう) や駆けつけた離崙(りろん)たちが必死の救出を試みる。一方、地牢では裴思婧(はいしせい)が、不死の体を持つ甄枚(しん ばい)との宿命の対決に挑む。自らの内なる恐怖と向き合った時、彼女が下す決断とは。仲間たちの絆と犠牲が交錯する、緊迫の物語が繰り広げられる。

「大夢帰離~明かせぬ想い、宿命の朱~」あらすじネタバレ32話

いやー、今回の32話は本当に心が揺さぶられましたね…。仲間たちが次々と絶体絶命のピンチに陥る中、夢と現実が入り乱れて、もう何が本当なのか分からなくなるような展開でした。

物語は、文瀟(ぶんしょう)が范瑛(はんえい)を緝妖司に連れ帰ったところから始まります。でも、安心したのも束の間、范瑛の様子が突然おかしくなるのよ。目がギラつき、恐ろしい形相に…。心配して近づいた文瀟(ぶんしょう)は、妖と化した范瑛に強烈な一撃を食らって倒れてしまいます。

その頃、地牢では裴思婧(はいしせい)と甄枚(しん ばい)が激しい戦いを繰り広げていました。でも、不死の体を手に入れた甄枚(しん ばい)の力は圧倒的。裴思婧(はいしせい)は追い詰められ、なんと甄枚に内丹を無理やり体内に注入されてしまうんです!

普通の人間なら耐えられないはずなのに、裴思婧は最後の力を振り絞って立ち向かいます。でも、体はどんどん弱っていくばかり…。

一方、温宗瑜(おんそうゆ)と対峙する卓翼宸(たくよくしん)と趙遠舟(ちょうえんしゅう) も絶体絶命。温宗瑜の猛攻に、二人はなすすべもなく深手を負わされてしまいます。温宗瑜は容赦なく、弟子の白玖(はくきゅう)にまで手をかけ、その首を締め上げる始末。もう見ていられない…。

意識が朦朧とする卓翼宸(たくよくしん)に、温宗瑜は追い打ちをかけるように文瀟と裴思婧はもう死んだと告げます。振り返ると、そこには二人の亡骸が…。さらに、目の前の白玖(はくきゅう)が、自分が贈ったはずの鈴をつけていないことに気づいた卓翼宸は、自分が夢の中にいることを確信します。

以前の冉遺(ぜん・い)の夢の経験から、夢の中で死ねば抜け出せると考えた卓翼宸は、自らの首に剣を…。しかし、温宗瑜はこれは沈溺(ちんでき)の夢。夢で死ねば、現実でもお前は死ぬと嘲笑うのです。

万事休すかと思われたその時、離崙(りろん)が颯爽と登場!まだ修行が終わっていない身でありながら、仲間を救うために駆けつけたんです。離崙(りろん)は卓翼宸に、幻を見破る力破幻真眼を授けます。さらに趙遠舟(ちょうえんしゅう) は青耕(せいこう)を呼び出し、温宗瑜が生み出した蜚(ひ)の幻影と戦わせることに。青耕は自らの内丹を犠牲にして蜚の妖化人を封印し、卓翼宸の解毒のためにその力を捧げました。

その間、白玖(はくきゅう)は崇武営から瞬間移動ができる畢方(ひっぽう)の羽を盗み出し、趙遠舟に託します。そして、青耕の内丹の力で、ついに卓翼宸が悪夢から目覚めるのです!

目覚めた卓翼宸が温宗瑜と対峙する中、離崙(りろん)は破幻真眼で温宗瑜の弱点が左肘に隠された内丹であることを見抜きます。そして白玖は、畢方の羽を使って緝妖司へと飛んでいきました。

地牢では、裴思婧が最後の戦いを繰り広げていました。甄枚が兄・裴思恒(はいしこう)の人形を壊した瞬間、裴思婧は気づきます。目の前の甄枚は、自分自身の心の弱さや恐怖が生み出した幻影なのだと。心の壁を乗り越えた裴思婧は、迷いなく甄枚の心臓を匕首で貫きました。

現実世界でも、その一撃は致命傷に。白玖が駆けつけた時、甄枚はすでに血を吐いて倒れていました。しかし彼女は、最後の力を振り絞って懐から一粒の飴を取り出します。それは、かつて白玖が傷を癒してくれるたびに、お礼として渡していた飴でした。これで、もう永遠に傷つくことはない…そう言い残すかのように、甄枚は静かに息を引き取るのでした。

『大夢帰離~明かせぬ想い、宿命の朱~』第32話の感想

今回のエピソードは、登場人物それぞれの覚悟が胸に迫る回でした。特に印象的だったのは、裴思婧と甄枚の対決の結末です。甄枚は単なる悪役ではなく、裴思婧自身の恐怖心の象徴として描かれました。彼女が最後に白玖へ渡した一粒の飴は、彼女の中にあった純粋な感謝の気持ちの表れであり、その悲しい最期に思わず涙がこぼれました。悪意の裏に隠された孤独や純粋さが描かれることで、物語に深い奥行きが生まれています。また、仲間を救うために自らを犠牲にすることも厭わない離崙や青耕の姿も心を打ちました。絶望的な状況だからこそ、彼らの絆や自己犠牲の精神が一層輝いて見え、物語の重厚さを増しています。

つづく