ついに姿を現した黒幕・離崙(りろん)は、巧みな術と揺さぶりで趙遠舟(ちょうえんしゅう) と卓翼宸(たくよくしん)の仲を引き裂こうと画策する。離崙の術中に落ちた卓翼宸は、過去のトラウマが作り出した悪夢に囚われ、憎しみを増幅させてしまう。仲間が絶体絶命の危機に陥る中、趙遠舟は自らの命を賭した驚くべき行動に出る。一方、事件の中心にいた妖・冉遺(ぜん・い)と斉お嬢様を待っていたのは、あまりにも美しく、そして切ない愛の結末だった。
「大夢帰離~明かせぬ想い、宿命の朱~」あらすじネタバレ6話
離崙(りろん)の策略!引き裂かれる仲間たち
戦いの最中、なんと冉遺(ぜん・い)お嬢様に憑依することで、冉遺を意のままに操っていたのです。その卑劣な手口に、一同は愕然とします。
趙遠舟(ちょうえんしゅう) を庇って矢を受けると、離崙(りろん)はここぞとばかりに二人の仲を裂こうと揺さぶりをかけます。趙遠舟(ちょうえんしゅう) がかつて、卓翼宸(たくよくしん)の兄・翼軒(よくけん)をその手にかけたという、決して消えない過去の事実を突きつけたのです。お前の本当の仇はここにいるぞと。
しかし、卓翼宸(たくよくしん)はお前を先に始末すると離崙に斬りかかり、その挑発には乗りません。ですが、離崙の術は強力でした。冉遺を盾にされ、さらに強力な夢の術をかけられた卓翼宸は、ついに意識を失い、悪夢の中へと囚われてしまいます。
悪夢と覚醒、命がけの選択
卓翼宸が見せられたのは、兄・翼軒が生きていた頃の穏やかな記憶。しかし、その直後に趙遠舟(ちょうえんしゅう) が兄を刺す光景が…!さらに、趙遠舟が文瀟(ぶんしょう)の首を絞めるという、ありえない未来の光景まで見せつけられます。憎しみを極限まで煽られた卓翼宸は、夢の中でついに雲光剣を抜き、趙遠舟へと突き立てるのでした。
現実世界では、趙遠舟が必死に呼びかけますが、深い夢に落ちた卓翼宸は目覚めません。覚悟を決めた趙遠舟は、なんと自らの心臓を、卓翼宸が持つ雲光剣の切っ先へと向けます。俺の血で目を覚ませ!とでも言うように…。
その瞬間、夢の中の卓翼宸はハッと我に返ります。本当の敵は趙遠舟ではない、自分の心の中に巣食う憎しみや弱さなのだと。彼は夢の中で、その剣で自らを貫くことを選びます。その強い決意が、離崙の術を打ち破り、彼は現実世界へと帰還を果たしたのでした。
悲しき愛の結末…冉遺と斉お嬢様の永遠の旅立ち
意識を取り戻した卓翼宸と趙遠舟の連携で、ついに冉遺は離崙の支配から解放されます。しかし、離崙の次の標的は本体である斉お嬢様でした。卓翼宸が斉お嬢様に剣を向けると、冉遺は迷わずその身を盾にして彼女を守ります。
ですが、時すでに遅く…。長期間にわたって離崙に憑依されていた斉お嬢様の体は、内側から蝕まれ、もはや助からない状態でした。
二人は、最後の力を振り絞り、思い出の夢の中へと入ります。そこには、狩人に追われる冉遺を斉お嬢様が助けた出会いの日、外の世界に憧れる彼女のために毎夜美しい夢を見せてあげた日々、そして医者に化けて彼女のそばに寄り添い続けた記憶が広がっていました。
この思い出があれば、永遠だ。そう言って、冉遺は自らの力の源である内丹を砕き、その命を絶ちます。愛する斉お嬢様の魂と共に、彼女が夢見た大荒という世界へ、永遠に旅立つために…。
このあまりにも美しく、そして悲しい結末に、残された者たちは言葉を失います。趙遠舟は、一つの命も救えなかったと自らを責め、文瀟(ぶんしょう)は趙遠舟が正体を隠していたことへのわだかまりを抱えたまま。そして卓翼宸は、父と兄を殺した理由を趙遠舟に問い詰めます。
趙遠舟は白澤令を見つけ出した時、すべてを償うとだけ答えるのでした。一つの事件は終わりましたが、彼らの間には、より深く、複雑な謎が横たわることになったのです。
『大夢帰離~明かせぬ想い、宿命の朱~』第6話の感想
今回のエピソードは、冉遺と斉お嬢様の物語に尽きました。彼らの愛は、種族や形を超えた、純粋で自己犠牲的なものでしたね。特に、斉お嬢様を想うがゆえに夢を見せ続け、それが結果的に彼女の体を蝕む一因になってしまったという皮肉な運命には、胸が締め付けられる思いでした。最後、自らのすべてを捨てて愛する人と共に消えていくことを選んだ冉遺の決断は、悲しいけれど、彼にとって唯一の救いであり、最高の愛の形だったのかもしれません。この悲恋は、ただのサイドストーリーではなく、趙遠舟や卓翼宸が抱える愛する者を守れなかったという後悔やトラウマを浮き彫りにする、重要な役割を果たしていたように感じます。彼らがこの悲劇をどう乗り越え、自らの宿命と向き合っていくのか、物語の深みが一層増した回でした。
つづく