弟・裴思恒(はいしこう)をその手にかけた裴思婧(はいしせい)は、大妖・乗黄(じょうこう)から弟が操られていた衝撃の真相を知らされ、深い後悔の念に苛まれる。乗黄は、弱った彼女の心につけ込み、魂を奪おうと画策する。一方、趙遠舟(ちょうえんしゅう) と卓翼宸(たくよくしん)は、都で起きていた連続殺人事件の真犯人と、その背後にいる乗黄の企みを突き止める。仲間たちが次々と窮地に陥る中、ついに乗黄との直接対決の時が訪れる。激しい戦いの末、乗黄の口から、彼の秘められた過去と初代神女との関係が語られ始める。
「大夢帰離~明かせぬ想い、宿命の朱~」あらすじネタバレ9話
いやあ、第9話は本当に色々なことが明らかになりましたね。特に裴姉弟の物語には、胸が締め付けられる思いでした。今回は、そんな第9話の出来事を、私の心の声も交えながら振り返っていきたいと思います!
悲劇の真相:裴思恒の執念と裴思婧(はいしせい)の涙
物語は、大妖・乗黄(じょうこう)に衝撃の事実を告げるところから始まります。なぜ乗黄が弟の裴思恒(はいしこう)を操れたのか。その理由は、弟の強くなりたいという切なる願い、執念そのものだったのです。
幼い頃から病弱だった裴思恒。姉の裴思婧(はいしせい)は、そんな弟を守るために、本当は好きでもない武術の鍛錬に明け暮れていました。弟は、そんな姉の姿を見て、自分が姉の負担になっていると感じ、強く変わることを何よりも望んでいたのです。乗黄は、その心の隙間に巧みにつけ込み、願いを叶えてやると囁きました。姉の重荷を軽くできるなら…その一心で、裴思恒は代償を問うことさえせず、悪魔の契約にサインしてしまったのでした。
弟を死に追いやったのは、私だったんだ…。自らが弟を射殺する間際に浴びせたのが責める言葉ばかりだったことを思い出し、裴思婧は悔恨の念に打ちのめされます。そんな彼女の弱った心に、乗黄はさらに追い打ちをかけ、弟に会わせてやると誘惑し、その魂を吸い取ろうとします。
絶体絶命のその時、日晷(にっき)のそばで二人の会話を耳にしていた白玖(はくきゅう)が、裴思婧の名を叫びます! しかし声は届かず…。万事休すかと思われた瞬間、白玖(はくきゅう)は日晷の力を使い、時空を超えて裴思婧の元へ! 見事、乗黄の企みを阻止したのでした。
怒り狂う乗黄は白玖(はくきゅう)を宙吊りにしますが、意識を取り戻した裴思婧が弓を構えるのを見て、ひとまず白玖を解放。しかし、次なる手はさらに残酷でした。乗黄は裴思恒の人形を呼び覚まし、なぜ僕にあんなに冷酷だったんだと姉を問い詰めさせ、姉弟を殺し合わせようと煽り立てるのです。
趙遠舟(ちょうえんしゅう) たちの推理と日晷での決戦
その頃、趙遠舟(ちょうえんしゅう) は、一連の事件の真相にたどり着いていました。芷梅(しばい)こそが連続殺人犯であり、彼女は永遠の若さと美貌を保ちたいという執念を乗黄に利用され、人の血を吸う人形に成り果てていたのです。被害者の家で見つかった梅の花びらが、その決定的な証拠でした。裴思恒が現場に現れたのは、捜査の目をくらますための陽動だったというわけです。
場面は再び裴姉弟の元へ。姉を殺すことなど到底できない裴思恒に業を煮やした乗黄は、自ら裴思婧の命を奪おうとします。その瞬間、裴思恒は最後の力を振り絞り、芷梅の夢の中へ飛び込んで趙遠舟(ちょうえんしゅう) に助けを求めます。そして、まさに裴思婧の首が絞め落とされようとしたその時、趙遠舟が颯爽と駆けつけ、彼女を救い出したのでした!
趙遠舟は、乗黄が離崙(りろん)と手を組んでいることを見抜いていました。離崙(りろん)に何を約束した?と問い詰めると、乗黄はあっさりと昆崙の門を開く力を与えたと白状します。
激しい戦いの火蓋が切られ、卓翼宸(たくよくしん)が雲光剣で、趙遠舟が傘で応戦する中、ついに文瀟(ぶんしょう)が白沢神女(はくたくしんにょ)としての力を覚醒させます。なぜこれほどの力を持ちながら、人の執念を利用して人形に変え、血を吸わせるような悪事を働くのかと、神女は乗黄を厳しく問い詰めるのでした。
しかし乗黄は、初代神女ですら私をどうすることもできなかった。半分の力しかないお前に何ができると嘲笑います。そして、もはや自分の意のままにならない裴思恒を容赦なく殺害し、日晷から姿を消してしまうのです。
腕の中で消えていく弟の体を抱きしめ、なすすべもなく泣き崩れる裴思婧。裴思恒もまた、最期の瞬間に姉の本当の愛に気づき、姉上、どうか幸せに生きて…という言葉を残して、光の粒となって消滅しました。
新たな謎:初代神女と乗黄の過去
乗黄は去ったものの、一行は日晷に閉じ込められてしまいます。趙遠舟は、そこに並ぶ人々の願いが込められた人形の中に、一つだけ記憶を持たない女性の人形があることに気づきます。
文瀟(ぶんしょう)は、それが師から聞いたことのある初代神女の人形だと説明します。さらに趙遠舟は、その人形だけが新しく色が塗り直されていることから、乗黄にとって特別な存在なのではないかと推測。趙遠舟がこの人形を壊すと脅すと、案の定、乗黄が再び姿を現しました。
そして乗黄は、一行を大荒と人間界を繋ぐ昆崙の門へと誘い、自らの過去を語り始めます。かつて、白沢令を守っていたのは、神女と大妖の二人だったこと。そして、その二人は深く心を通わせ、共に大荒を守っていたのだと…。物語は、乗黄の秘められた過去という、新たな局面へと突入していくのでした。
『大夢帰離~明かせぬ想い、宿命の朱~』第9話の感想
今回のエピソードは、裴姉弟の物語に深く心を揺さぶられました。弟を想うがゆえに武を極めた姉と、姉の負担になりたくないと願った弟。互いを大切に想う気持ちが、最も残酷な形で悲劇を招いてしまう展開は、あまりにも切なかったです。特に、弟が消えゆく間際にようやく二人の心が通じ合う場面は、涙なしには見られませんでした。
一方で、これまで絶対的な悪として描かれてきた乗黄の背景に、初代神女との関係という新たな謎が提示されたことで、物語に一気に深みが増しました。彼がなぜ人の執念を利用するようになったのか、その過去に何があったのか。単なる勧善懲悪ではない、キャラクターたちの複雑な心情が垣間見え、今後の展開から目が離せません。
つづく