ある人物の突然の死が、花垣(かえん)城に新たな波紋を広げます。脚本家である陳芊芊(ちんせんせん)は、自分が知る物語の筋書きと現実が奇妙に絡み合うことに不安を募らせていました。そんな中、韓爍(かんしゃく) に殺人の嫌疑がかけられる事態が発生。芊芊は真相を突き止め、大切な人を守るために大胆な行動に出ます。しかし、その決断が思わぬ悲劇を招いてしまうのでした。一方、芊芊と韓爍の絆は政務を通してさらに深まっていきますが、運命は彼らに安息の時を与えてはくれません。

「花の都に虎(とら)われて~The Romance of Tiger and Rose~」あらすじネタバレ17話

悲劇の連鎖、狂い始める歯車

物語は、大郡主・沅沅(げんげん)に取り入って成り上がろうとしていた楽師の陸鵬(りくほう)で蘇沐(そぼく)に絡むところから始まります。沅沅を侮辱する言葉を吐いた陸鵬に、蘇沐(そぼく)は激怒し殴りつけて追い返しました。しかしその帰り道、陸鵬は何者かによってあっけなく殺されてしまいます。犯人は、韓爍(かんしゃく)でした。

脚本家である芊芊(せんせん)は、自分が物語に介入したことで少しずつ変わっていくはずの未来が、なぜか原作の陸鵬の死という結末にたどり着いてしまったことに強い不安を覚えます。原作では、この事件をきっかけに韓爍(かんしゃく) と楚楚(そそ)が対立し、最終的に韓爍(かんしゃく) は楚楚の手にかかって死ぬ運命だったからです。

芊芊の不安は的中します。林七(りんしつ)が、陸鵬殺しの罪を韓爍になすりつけようと、偽の証拠をでっちあげていたのです。芊芊はすぐさま林七の屋敷に乗り込み、その証拠を発見。しかし、ここで衝撃の展開が待っていました。

なんと、林七と親しいはずの楚楚が、自分への疑惑が及ぶことを恐れ、皆の前で林七を処刑すべきだと進言したのです。冷酷な親友の裏切り。芊芊は楚楚と袂を分かつ覚悟を決め、林七を死罪ではなく玄虎(げんこ)城への流罪に処し、密かに花垣(かえん)城の金牌を渡して彼女の身の安全を図ろうとします。

しかし、悲劇は終わりません。護送される途中、林七は黒ずくめの刺客に襲われます。必死に応戦した林七は、刺客の一人の仮面を剥ぎ取り、その正体が楚楚の配下であることを知ります。驚愕する林七でしたが、矢で射抜かれ川へ転落。生死不明となってしまうのでした。

邪魔され続ける恋と、固まる決意

シリアスな展開が続く中、芊芊と韓爍の仲はますます深まっていきます。城主代理として政務に追われる芊芊を、韓爍は優しく支えます。彼が玄虎(げんこ)城のスパイを撤退させたと知り、感動した芊芊は永遠に花垣(かえん)城にいてくれる?と尋ねます。韓爍は印章と印泥を例えに出し、二つで一つだと、決して離れないことを誓うのでした。

いい雰囲気になり、二人がキスをしようとしたその瞬間…! 梓鋭(しえい)、そして孟過(もうか)が次々と現れ、ことごとく邪魔をするのです。このコミカルなシーンには、思わず笑ってしまいましたね。

しかし、そんな穏やかな時間も束の間、林七が死んだという知らせが届き、芊芊は絶望の淵に立たされます。自分が脚本家として作り出した悲劇の運命を、今度こそ自分の手で変えなければならない。芊芊は固く決意します。

彼女はまず、韓爍を蘇沐(そぼく)探しの名目で遠ざけ、裴恒(はいこう)に協力を求めます。そして、韓爍の元へ戻ると、彼の私兵である衛隊の指揮権を自分に渡してほしいと頼むのです。部下の白芨(はくきゅう)が止めようとするのも聞かず、韓爍は芊芊を信じ、ためらうことなく指揮権の証である令牌を差し出しました。

その絶対的な信頼に心を打たれた芊芊は、万感の思いを込めて韓爍を呼びます。

夫君(あなた)と。

『花の都に虎(とら)われて』第17話の感想

今回は、物語のターニングポイントとなる重要なエピソードでした。特に印象的だったのは、陳楚楚(ちんそそ)の変貌です。これまで正義感の強い優等生として描かれてきた彼女が、保身のために親友の林七を切り捨てる姿は衝撃的でした。彼女の中の脆さや野心が露わになり、物語に一層の深みを与えています。

一方で、芊芊は脚本家としての知識と、物語の当事者としての感情の間で激しく揺れ動きます。大切な人を守るために必死で運命に抗おうとする姿は、応援せずにはいられません。そして、どんな状況でも芊芊を信じ、無条件の愛を注ぐ韓爍の存在が、この物語の大きな救いとなっています。彼の揺るぎない信頼が、芊芊の夫君という言葉を引き出したシーンは、本作屈指の名場面と言えるでしょう。甘さと苦さが交錯し、キャラクターたちの覚悟が胸を打つ、見ごたえのある回でした。

つづく